コヤマタカヒロの男の料理道具!
日本で一番売れた高級炊飯器の艶やかごはんは本当に旨い!
by コヤマタカヒロ(2014/9/3 07:00)
今年も新米の季節がやってきた。九州産のお米や一部地域の早場米などがすでに米穀店の店頭を賑わしており、筆者もいち早く宮崎産コシヒカリなどを楽しんでいる。
美味しい新米を食べながら毎年悩むのが、炊飯器の買い換えだ。筆者宅で使っているのは、某社の2007年モデル。当時3万円台で購入したミドルレンジの炊飯器だ。日常レベルでの炊飯に機能として不満がある訳ではないが、仕事柄、毎シーズン各社の最新炊飯器をテストさせていただいていると、だんだんと口も肥えてくると言うわけだ。
そして、今個人的に欲しいと思っているのがパナソニックの「スチームIHジャー炊飯器SR-SPX104」。かまど炊きの美味しさを追求したという評判のモデルで、高級炊飯器としては2013年最も売れたという。編集部より試食させていただく機会をいただいたので早速、試してみた。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器 |
型番 | SR-SPX104 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 65,800円 |
鏡面仕上げで炊飯器としては洗練されたデザインを採用
まずは外観から観ていこう。カラーは写真のルージュブラックの他、ホワイトを用意。どちらも、上面は鏡面仕上げで、非常に上質。液晶ディスプレイは今回より、フルドット液晶となっている。側面から観ても、後部が大きく飛び出していることもない。
ボディサイズは、266×338×233mm(幅×奥行き×高さ)で、5.5合クラスの炊飯器としては一般的なサイズ。最近はデザイン上の都合で省略されることもあるハンドルも装備しており、本体の移動にも対応できる。
内釜は0.5mmのステンレスをベースにダイヤモンドハードコートなどを施した「ダイヤモンド竈釜」を採用している。内釜自体の重さは778gで、内釜に凝った高級炊飯器に比べるとそれほど重くない。お米と水をいれても難なくシンクから運ぶことができるだろう。
パナソニックの炊飯器の特徴のひとつが、スチームを発生させるために水容器を搭載していることだ。炊飯時に水をセットしておくことで、炊飯工程の後半で200℃に加熱したスチームをごはんに吹きかけ、旨みを閉じ込めるコーティングを施すことができる。
機能面では、昨年モデルで採用したWおどり炊き機能を継承。底面と側面のIH加熱を高速で切り替えることでお米の対流を促す「高速交互対流」と、加圧と減圧を繰り返すことで、突沸を起こし、釜底からかき混ぜる「可変圧力」を利用した「Wおどり炊き」機能を搭載している。
さらに「200℃スチーム」機能が「200℃トリプルスチーム」に強化。スチームの投入を早めることで、でんぷんのα化をさらに促進し、ごはんの甘み成分が10%アップしているという。
旨いお米を用意して早速炊きまくる!
では旨いごはんを炊いていこう。今回は、大正6年創業の老舗米穀店「米家きゅうさん 町田総本店」で、数種類のお米を買い求めた。北海道産のふっくりんこ、庄内ひとめぼれ、新潟県上越市のコシヒカリだ。
「SP-SPX104」ではお米の銘柄を指定して炊く、「銘柄炊き分けコンシェルジュ」機能を搭載。20銘柄(21品種)を指定することで、それぞれの銘柄の個性を活かして炊くことができる。上記の3銘柄も当然、対応銘柄だ。
早速、それぞれの銘柄のお米で炊き比べてをしてみた。利用するのは「銘柄白米・銀シャリ(おすすめ)」コース。同モデルでは同じ「銀シャリ」コースでも、白米、無洗米なら、「ふつう・かため・やわらかめ・しゃっきり・もちもち」の5種類の食感を選ぶことができる。なお、「銘柄白米、無洗米」の場合は「おすすめ・かため・やわらかめ」と3種類が選択可能だ。
炊いてみて明らかに味と食感の違いが体感できたのが、北海道産の「ふっくりんこ」だ。普段食べているお米や、今回購入したコシヒカリと比べて、もちもち感や甘みがダントツに高かった。この味の違いは、銘柄の違いを特別に説明していない家族も指摘しており、銘柄による味の違いがここまで出ることは驚きだった。
ごはんをただ美味しく炊けるというレベルではなく、銘柄による違いを楽しむという新しいごはんの食べ方もできそうだ。
なお、「SR-SPX104」は購入時の初期設定では「エコ炊飯」モードとなっている。これは消費電力や炊飯時間に配慮して炊くモード。先ほどの「銘柄銀シャリ」モードでの炊飯が50分ほど掛かったのに対して、「エコ炊飯」では約42分と短い。
また、さらに30分前後と短時間で炊ける「高速」モードも用意している。しかし、このモードの利用はお勧めできないと感じた。「エコ炊飯」、「高速」モードなどはこのモデルの特徴である、圧力やスチームを利用しないのだ。このため、「高速」モードで炊いたごはんはやや芯が硬く感じられ、甘みも同じお米とは思えないほどだった。「SR-SPX104」の性能を活かすには、「銀シャリ」コースの利用が必須だといえるだろう。
牡蠣があったから……牡蠣ご飯を作る!
美味しく炊ける炊飯器があったら是非作りたいのが、ごはんそのものをおかずのひとつとして美味しく食べられる炊き込みごはんだ。今回は、大粒牡蠣を入手したので、牡蠣ご飯を作ってみた。
たっぷりの牡蠣を白だしを中心としたお出汁で軽く煮込み、牡蠣のエキスを抽出する。そのお出汁が冷えたら、白米と合体。数粒の牡蠣は出汁用として、炊飯器に一緒に入れる。残りの食べるための牡蠣はごはんが炊け上がった後に合流する。
設定は「白米・炊き込み」モードにする。50分ほどで炊き上がり。ほのかに牡蠣の香りが漂う、絶品牡蠣ごはんができた。この牡蠣ご飯、家族からは過去に食べた牡蠣ご飯のなかで最も美味しかったという一言をいただけた。
味付けや具材との兼ね合いもあるが、炊き込みごはんにありがちなべちゃっとした炊きあがりになることもなく、米粒には適度な柔らかさと粒感が残っていた。この炊きあがりが実現できたのも「SP-SPX104」だからこそといえるだろう。
スマホからも操作ができる「タッチアクセス」は便利?
「SR-SPX104」の特徴のひとつが、おサイフケータイ機能を利用し、スマートフォンから炊き方の設定ができる「タッチアクセス」だ。専用アプリをインストールした対応スマートフォン上で設定を行ない、あとは本体にタッチするだけで、設定内容が本体に登録される仕組み。あとは炊飯ボタンを押すだけでいい。
当初は、別に使わないだろう? と思っていた。少なくとも炊飯ボタンは押す必要があるため、スマホで設定しなくても、本体で設定すればいいと思っていたのだ。しかし、その考えは浅かった。
まず、単にいつもの設定でごはんを炊くだけなら、本体が前回の炊き方モードを記憶しているので、特別な設定は必要ない。そのまま、「炊飯」ボタンを押すだけでいい。
また、設定を変えるとしても、「お米種類」と「炊き方」を選ぶだけなので、本体の液晶ディスプレイとボタンで簡単に操作できる。スマートフォンが便利なのは、それらの設定をいくつでも登録しておけるということだ。
「SR-SPX104」に限らず最新の炊飯器にはお米の銘柄を指定できたり、食感や味などの好みを炊飯時に設定することができる。しかし、それをいちいち設定するのは若干面倒だったりもする。しかし、それを登録していればタッチするだけで、設定できる。
さらに、「パナソニックスマートアプリ」では、指定できる銘柄についての特徴などもチェックできる。米穀店やスーパーの店頭で、お米を選ぶときにも好みにあわせてお米を選べるのだ。
みずみずしく甘さもしっかりした美味しいご飯が楽しめる
今回は2週間ほど「SR-SPX104」で炊いた美味しいご飯を堪能した。炊き方モードや「銘柄炊き分けコンシェルジュ」機能を搭載しているため、好みに合わせたさまざまな味と食感のごはんが炊ける。その中でもこのモデルならではの特徴と感じたのが、みずみずしさだ。
炊け上がりの瞬間こそ、水分が多いように一瞬見えるがそれは200℃スチームにより、表面にまぶされた水分に過ぎない。しっかりと混ぜ合わせることで、無駄な水分も飛び、艶やかさが際立ってくる。
さらに見た目の艶やかさ、みずみずしさと相反して、ごはんの食感はしっかりと残っているのも好感触。ご飯粒がつぶれていることはなかった。中まで柔らかく、それでいて、粒はしっかり、そして表面ツヤやか。それが「SR-SPX104」で炊いたごはんの魅力だ。白米を最高に美味しく炊ける炊飯器。その実力に虜になりそうだ。