コヤマタカヒロの男の料理道具!



特にラーメンが絶品! 話題の製麺機を試してみた

ラオックス「我が家の麺職人 JYS-N6」

 麺は好きですか? パスタ、ラーメン、うどん、そば。僕は大の米食いですが、麺も大好き。外食時は濃厚なラーメン、つけ麺店を探すことも少なくない。そして、我が家の4歳児、2歳児も麺は大好き。3食麺でも文句一ついわず、ちゅるちゅるとすすっている。

 そんなときに飛び込んできたのが、この製麺機のニュース。手打ちパスタは経験があり、他の麺類の手打ちにも興味津々だったが、これなら手間をかけずに自家製麺が楽しめると飛びついた。それがラオックスが販売する「我が家の麺職人 JYS-N6」だ。

メーカーラオックス
製品名我が家の麺職人 JYS-N6
希望小売価格24,780円
購入場所TASKAL
購入価格24,780円

 到着した「我が家の麺職人 JYS-N6(以下、麺職人)」のサイズは、370×215×268mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約4.7kg。ちょっと背の低いホームベーカリーぐらいだろうか。ただし、麺をしっかりと打つためか、底部におもりが入っているように感じた。キッチンなどに設置するときは、しっかりと両手で持ち上げる必要があるだろう。

 続いて構造を見ていこう。本体内部に粉をこねるためのスクリューを装備。一回転で6回手で揉んだ感覚になるという。操作ボタンは、全部で3つ。「全自動/停止」、「撹拌」、「麺出」があるが、パスタでもうどんでも、麺の種類を問うことなく、「全自動/停止」を利用する。

製品本体
本体上部のケース内に粉と水などを入れる。スクリューと連動した回転軸に麺をこねるための羽根がついている
ボタン類は本体上部に装備。基本的には「全自動/停止」のみの操作でOK
こねられた生地が集まり、この押し出し口から、麺となって出てくる仕組み
付属のアタッチメントは4つ。左側が、丸麺(太)と丸麺(細)、そして右側が「平麺」と「ペンネ」となっている
その他の付属部品は粉や水を入れるためのカップ、洗浄ブラシと洗浄用針、そして麺カッターだ

 スクリューによって麺と水が混ざり、固まってくると、自動的に右端にある麺の押し出し口に生地が入るようになっている。そこで生地がスクリューの圧力によって麺として押し出される仕組みだ。低速回転圧搾式のジューサーと似た構造だといえるだろう。では実際に麺をつくっていこう。

まずは簡単パスタに挑戦!

パスタを作るための材料を用意する。デュラムセモリナ粉が入手できなかったら、強力粉と薄力粉のブレンドでもOKだ

 では手作り麺では、最も簡単なパスタ作りに挑戦してみよう。用意するのは小麦粉、デュラムセモリナ粉、卵、オリーブオイル、塩などだ。まずは粉を本体ケースに投入、続いて、卵とオイル、水などを混ぜて、ケースカバーにある穴からゆっくりと注いでいく。このケースカバーは回転時にはロックされ、カバーを開けると回転が止まる仕組みとなっていた。こういうちょっとした安全性が、小さな子どものいる家庭にはうれしい。

 全自動モードで5分間、麺をこねる。専用の羽根によって1,000回手で揉んだのと同じレベルのコシができるという。5分が経過するとスクリューが逆回転し、できあがった生地が右側の押し出し口のほうに集まっていく。そこで、しっかりと圧力をかけながら、麺が出てくるという仕組みだ。

卵と水、塩、オリーブオイルを混ぜておく
ケースに粉を入れ、カバーをロックし、「全自動/停止」ボタンをプッシュ
こねが始まったらゆっくりと水分を入れていく
このまま5分間こね行程が続く。パスタは卵を入れるため、どうしても羽根に生地がまとわりつきやすいようだった

 麺はずっとつながって出てくるので、ほどよい長さの時に付属の麺カッターでカットしてやる必要がある。また、出てきた麺はかなり乾燥しているため、時間をおくとすぐに折れてしまう。麺が出て来る前に、ゆでるためのお湯はわかしておくと良さそうだ。

 できあがったパスタは乾麺ではないので、2分ほどゆでるだけで食べることができる。手打ち独特のもちもち感のある仕上がりだった。通常の手打ち麺のように伸ばした麺ではなく、圧力で押し出しているため、表面がわずかにざらざらとしており、食感は独特だった。ただ、その分、クリーム系のソースが非常によく絡まった。

こね行程が終わると麺が出てくる。押し出す構造上、麺の表面が若干けば立っているのがわかる
一定の長さになってきたら、打ち粉を振ったり、麺カッターでカットしていこう
できあがった麺の量は約300g。粉250gと卵など約100ccを入れているため、50gほどがロスしている計算になる
抽出された麺をゆでる。2分ほどで食べ頃になる
チーズソースを絡めてみた。麺の絡まりもよく、もちもちした食感が楽しめた

手作りだから、変わり麺も手軽に作れる

 続いて、同じパスタでも水の代わりにトマトジュースを入れたトマト麺と、青汁を入れた青汁ペンネも作ってみた。

 麺職人に付属するレシピでは2人分の量に対して入れる水分は50cc程度。このため、実際にでき上がる麺は、トマト麺でも赤というよりはわずかにオレンジかかっている程度。麺だけを食べるとトマトの風味はするが、濃いめのパスタソースを絡めると、ほとんど麺の味はわからなかった。

水の代わりにトマトジュースを入れたトマト麺を作る
麺の色がわずかにオレンジ色。ちょっとトマト風味がするかなという印象だ
クリーム系ソースを絡めてみたところ。トマトが苦手な娘もこれなら食べてくれた

 これは、青汁麺でも同じで、普通に飲むのは厳しい青汁でも、パスタにするとほとんどわからない。このため、麺の味を楽しむというよりも、麺で風味と栄養をとるためのアレンジと考えた方が良さそうだ。

水の代わりに市販の粉を溶いた青汁を用意
ペンネを作ってみた。色味だけでは青汁が入っていることはほとんどわからない
そのまま食べると青汁の苦みを感じるので、味の濃いミートソースと合わせてみた。これなら青汁が苦手でも問題なく食べられる

つるっとした食感が楽しいざるうどん!

 では、続いてうどん、ラーメンを作ってみよう。とはいえ、変わるのは材料だけだ。うどんは、薄力粉と中力粉をブレンドする。アタッチメントは、長方形の穴が開いた平麺タイプを使用する。

 粉を投入し、水分を入れる。パスタとは違い、卵が入らないため、羽根にくっつく量が少なく、途中で開けて生地をはがすといった手間はほとんどかからなかった。

 できあがった麺は、讃岐というよりは稲庭系の感触だろうか。細めのうどんだが、コシはそれなり、そしてツルッとした食感が楽しめた。

薄力粉と中力粉をブレンドしてケースに投入する。事前にボウルなどで混ぜておくとよい
長方形のアタッチメントを使い、平麺のうどんを作る。丸麺(太)を使ってもOKだ
卵が入らない分、水分がしっかり回っているようで、今回作った中ではうどんが一番切れにくかった
ゆであがった麺をざるにあげて、「もり」でいただく。パスタのようなけば立ちもなくツルツルと食べられた

 パスタと同様に変わり麺に挑戦しようと、にんじんジュース入りうどんも作ってみたが、これは失敗。にんじんの苦みなどが強く出てしまい、正直おいしく出来なかった。変わり麺は濃いソースで食べるパスタ向きということのようだ。

変わりうどんに挑戦しようとにんじんジュースを投入
かけうどんにしてみたが、にんじんの苦みが強く、おいしくなかった

想像以上の仕上がりに大満足! 高レベルな細麺ができた!

 続いてラーメン作りだ。本格的な手作り麺などとは異なり、重曹などは入れず、基本は強力粉と卵で麺を作る。アタッチメントは丸麺(細)を使う。できあがった麺は、博多ラーメンの麺よりもちょっと太いかなといったサイズ。卵が入っているため若干黄色がかかっている。できあがった麺を茹で、別途用意したラーメンスープと併せてついでにチャーシューなども添える。

 これが想像以上においしかった。ラーメンの麺を自家製で作るのはなかなかハードルが高いが、これはラーメン好きの方にも納得してもらえるレベルなのではないだろうか。コシはそれほど強くないが、ツルッとした食べ応えで、元々細麺が好きということもあり、自分には好みの麺だった。

ラーメン用の麺は強力粉と卵、水、油などを入れて作る。もし手元に重曹があるなら、茹でる時にお湯に入れるといいだろう
ラーメンの麺が抽出されるところ。出始めは縮れているが、実際はほぼストレート麺になる
家庭で作るラーメンとしては非常に高レベルの麺だ。これが目的で購入しても納得できそう

メンテナンス性とロスの多さが気になるところ

 パスタ、うどん、ラーメンと多くの麺類が作れる麺職人は非常におもしろい製品だと感じた。ただし、その反面、多くの課題も見えてきた。

 その1つがレシピでも紹介されているそばだ。上で紹介したレシピ以外に、そば作りにも挑戦したのだが、何度作ってもうまくいかなかった。麺が押し出されてきて、茹でる前から次々と切れていき、茹で終わった頃には、ほぼすべてが1~3cmほどの長さになってしまった。水分量などを変えてもうまくいくことはなく、そば作りは非現実的だと感じた。

 そしてもうひとつが、ロスの多さだ。押し出し式という構造上、スクリュー内部にどうしても生地が残ってしまう。さらにケース内部や羽根にもくっついてしまって、自動のままでは押し出し口にたどり着かない生地も少なくない。

 このため、全自動といいながら実際は定期的に止めて、生地を手で移動したり、羽根からはがすといった手間がかかった。これをしないと、投入した生地の1/3ぐらいはロスすることになるようだ。

 そして、使用後にはこのロスした生地を洗い流す手間がかかる。専用の洗浄用針も付属しているが、アタッチメントの小さな穴一つ一つに針を刺して、詰まった生地を取り出すのはなかなかの手間だった。

 このように、手間がかかるため、全自動の製麺機とはいえ、これまで麺の手打ちなどを試したことのない方にはあまりおすすめできないない。

 ただし、料理が好きで、メンテナンスの手間を惜しまない。また、アレンジ麺作りなどを楽しみたいといった方にはおすすめできる。個人的には、ラーメンがおいしくできたことが印象的だった。


コヤマタカヒロ

1973年生まれ。大学生の頃にライターデビューをして現在17年目。パソコンからAV機器、デジタルガジェット、白物家電などの電気が流れる製品と、その関連サービスを中心に執筆活動を展開する雑食系のデジタルライター。一般商品者目線で、最新テクノロジーを伝え、完成品はできる限り自分で試して記事にすることを信条にしている。