コヤマタカヒロの男の料理道具!



おしゃれなだけじゃない! 実力十分! アマダナの「クリスタルオーブン」

cuma amadana「クリスタルオーブン CM-CO35-BK」

 昨年、一大ブームを巻き起こした調理家電の1つが、ノンフライ調理器だ。高温の熱風で食材を焼き上げることで、食材に含まれている脂でから揚げやフライなどが作れることで多くの話題を集めた。

 同様の調理は、既に大手メーカーのスチームオーブンレンジの過熱水蒸気機能を使えば可能だったが、ノンフライ調理器は2~3万円台の手頃な価格で購入できることがブームのきっかけとなった。

 著者もこの話題となったノンフライ調理器を何度も試す機会があった。そして一時は購入しようとまでしていたのだが、ブームが過ぎ去るとともに、熱も冷め、置き場所などを冷静に考えて見送っていたのだ。

 ところがわが家の娘達ときたら、から揚げやフライドポテトが大好き。そのたびに油で揚げるのも躊躇するし、ましてや毎回冷凍から揚げなどをあげるのも……と悩んでいたときに発売されたのが、ラオックスとアマダナの提携によって生まれた「cuma(キューマ)」ブランドの「クリスタルオーブン CM-C035-BK」。今年に入ってからついに入手し、ずっと使い続けている。

メーカーcuma amadana
製品名クリスタルオーブン CM-CO35-BK
希望小売価格16,800円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格17,258円

 購入に踏み切ったのには、いくつかの理由がある。まず、そのデザイン。アマダナが仕上げたというだけあり、シンプルでいてキッチンにあっても違和感がない。奇をてらわず、それでいて所有欲を満たしてくれる上質なデザインだ。

製品本体。カラーバリエーションはこのほかホワイトがある
上蓋の上部に装備する2つのつまみ。タイマーは60分まで、温度は125度から250度まで設定できる
上蓋はハンドルで持ち上げることが可能。ハンドルが完全に降りていないと電源が切れる仕組み

 もう1つの理由はボディサイズが小さいこと。使用時のサイズは284×240×260mm(幅×奥行き×高さ)だが、使っていない時は、ガラスボウル部と上蓋を別々に収納することができる。これなら、手狭なキッチンでも、置き場所に困ることはない。また、後述するが、ガラスボウル部はクリスタルオーブンとして以外に通常のボウルとしても利用可能。わが家では、普段使いのボウルとして、収納することなく使っている。

 では続いて、構造を見ていこう。上蓋の上部にはタイマーつまみと温度つまみを配置。操作できるのはこの2つのダイヤルのみだ。タイマーつまみは比較的重めなので、間違えてスイッチが入る心配はなさそう。また、上蓋の奥にハンドルを装備しており、熱くなっているときにも持ち上げやすくなっている。このハンドルが少しでも持ち上がると、スイッチが自動的に切れるようになっていた。

上蓋の裏側にヒーターとファンを配置(汚れは複数回使用しているため)
食材を入れるガラスボウルとホルダー、ラック
ラックは軽く、三本足なのでガラスボウル内部で傾いてしまうことがあるのが難点

 このほか、上蓋を置くための上蓋ホルダーと、マニュアル、レシピ集が付属している。

上蓋ホルダー
加熱後の上蓋を立てかけておくことができるのが便利。ただし、このホルダーも軽く、単体では滑りやすいのが残念
付属のマニュアルとレシピ集。マニュアルは10ページほど。レシピ集には13種類の料理が載っていた

まずは定番の揚げないから揚げに挑戦

 では、ノンフライ調理器の大定番となった、“揚げないから揚げ”に挑戦しよう。まずは事前に一口大に切った鶏肉をつけ汁に浸けておく。付属のレシピ集にもから揚げは掲載されており、下味のレシピが載っていたが特別こだわる必要はなく、味付けは好みでよさそうだ。

 続いてビニール袋に鶏肉を入れ、小麦粉と片栗粉を投入。袋に空気を入れてシャカシャカ振ることで、鶏肉にまんべんなく、粉をまぶす。

 粉をまぶした鶏肉を180℃に予熱したクリスタルオーブンのラック上に並べていく。ラックのサイズは直径約16.5cm。300g超の鶏モモ肉では、ギリギリといったところ。筆者宅は、大人2人と4歳児、2歳児がから揚げを食べるので、全員分作るには、2回に分ける必要があった。

まずは鶏肉を一口大に切り、たれに30分ほど漬けておく
ビニール袋の中で小麦粉、片栗粉をまぶす
皮面を上にしてラック上に。できるだけ重ならないように並べる

 ラックに鶏肉を並べたら、タイマーつまみを回して、加熱をスタート。すぐにヒーターが光り、加熱しているのがわかる。

 約20分の加熱後、「チン」という音とともに、ヒーターの光りが消え、加熱が終わったことを知らせてくれる。これまで多くのノンフライ調理器を使ってきたが、クリスタルオーブンのファン音は近くに行くと「ふぁー」という音が聞こえる程度で、運転音がほとんど気にならなかった。また、小麦粉が排気とともに舞うこともなかった。

加熱スタート
20分後の状態。しっかりと焼き色が付いているのがわかる
定番の肉から落ちた脂。脱脂効果も十分だ

 できあがったから揚げを食す。表面はカリカリ。中はジューシーに仕上がった。小さめのから揚げでは若干水分が失われたのかちょっと堅めに仕上がったものもあった。このあたりはたれと粉、そして焼き時間を調整することで、おいしく仕上げられると感じた。

複数回試したところ、粉の状態やサイズで焼き上がりや食感が変わる印象。小さめに切ったときは、加熱時間は20分よりも若干短くても良さそうだ
こちらは粉をまぶさないで焼いた若鶏のグリル。皮面もぱりっとしていて、こちらも美味

豚肉が柔らかい、絶品とんかつに舌鼓。

 購入から約2カ月。いろいろと作った中で、特に評判がよかったのが、とんかつだ。作り方は簡単。油で揚げるのと同じように、豚ロース肉に、小麦粉、卵、パン粉で衣を付けて、クリスタルオーブンで焼くだけだ。

 下準備がほとんど不要で調理時間も短いこのメニュー。豚から出る脂でしっかりと焼くことができた。最大の難点は、底面の衣がラック上に貼り付いてしまうこと。ただし、これはノンフライ調理器に共通することで、ラックに油を塗っておくことなどで軽減することは可能だ。

付属レシピのサイズよりは1.5倍ほど大きい豚ロース2枚を並べて入れた
余熱後200℃で15分ほど加熱。肉の厚みによって微調整は必要だ
こんがりと焦げ目の付いた焼きとんかつ

 そして焼き上がったとんかつ。油で揚げたのと比べると、表面のパン粉が焦げたようなまさに焼きとんかつといった色味。衣は若干ウェットな食感で、前述の通り底面は一部剥がれてしまったが、肝心の肉は非常に軟らかく、ジューシーに仕上がった。また、脂っこさがないのも食べやすさの一因だ。

 揚げ油を準備することなく、しっかりとおいしいとんかつがが作れるのは非常にうれしいポイントだ。

肉が大きすぎたこともあり、底面の衣がへばりついて剥がれてしまった
1回に2人分のとんかつが焼けた。妻はこのとんかつが一番気に入っていた

揚げる、焼くだけじゃない、オーブンでアクアパッツァ

 数多くのノンフライ調理器がある中で、クリスタルオーブンを選んだ理由の1つになったのが、煮込み料理ができるという点だ。そこで、個人的にも大好きな「アクアパッツァ」に挑戦してみた。

 ラックを外して、ガラスボウルの底に、カット野菜、白身魚(レシピで鯛だが、ここでは鱈)を入れ、水と白ワインを注いで、煮込んでいく。調理に使う水分は少なめなので、煮込みと蒸しの間ぐらいといえるだろうか。

 調理は2段階ある。まずは野菜と魚を煮込み、後半戦で、アサリを投入する。基本的には具材を入れたらタイマーを回すだけなので難しくない。普通に作ると面倒なアクアパッツァがこんなに簡単に作れるのかとちょっと疑ったぐらいだ。

用意するのは白身魚の切り身とトマト、タマネギ、ジャガイモ、アサリ。あとは白ワインと調味料ぐらい
まずは第一便として野菜と魚を水と白ワインで15分(レシピでは12~3分)ほど蒸し煮にしていく
続いて、アサリを投入して5分ほど蒸し煮に。アサリはレシピの倍ぐらい入れてみた

 そしてできあがったアクアパッツァ。白身魚とアサリから、しっかりと出汁が出ていて、思わず「お~」と声が出るほどにおいしかった。2、3回作ってみた結果の注意点としては、タマネギに火が通りにくいので、事前にレンジでチンしておくと、柔らかく仕上がる、ということ(レシピではジャガイモのみレンジ加熱と記載)。水分が少ない中に出汁と味付けが凝縮されるため、ときに塩っぽくなりやすいこと。魚は塩をしていない(甘塩でも)切り身を選ぶのがよさそうだ。

焼き上がると、アサリがぱっくり開いて、いい香りがしてくる。パセリなどを散らしても良さそう
お皿に取り分けたところ。魚はもちろんだが出汁の出たスープがたまらない

 このアクアパッツァも余熱や下準備を除けば、約20分で調理できた。煮魚大好きな著者としては、これは完全にレギュラーメニュー化決定。切り身の魚やあらなどが安く売っていたら、また作りたいと考えている。

副菜や朝食メニューもクリスタルオーブンで作る

 から揚げ、とんかつ、アクアパッツァとしっかりとしたメインディッシュが続いたので、続いて、副菜を作ってみる。オーブン料理の定番、焼き野菜だ。

好みにもよるが、定番の焼き野菜といえばこのあたり。イモ類などもアリだ
オリーブオイルと塩をまぶして、ラックに並べる

 これは何も面倒なことはない。カットした野菜をボウルでオリーブオイルと軽くあわせて、塩をしてラックに並べるだけ。後は野菜の大きさや種類によって変わってくるが、220℃で、10~15分ほど焼くだけだ。

15分後、しっかりと焼けた
2回分の焼き野菜が完成。パプリカはオーブン焼きが最も旨いというのが著者宅の結論

 洗い物が増えると面倒なので、著者はガラスボウル内でオリーブオイルと和えてから、ラックの上に載せたが、特に問題はなかった。こういった使い方ができるのもクリスタルオーブンならではといえるだろう。

 アスパラやプチトマト、パプリカ、なすなどはまさに焼き野菜に最適。甘みと香ばしさが増して非常においしく焼き上がった。別途フライパンでステーキなどのメインディッシュを調理している間にクリスタルオーブンで野菜を焼いておけば、料理時間も短縮でき、メインもサイドもおいしいタイミングで、食べられるはずだ。

朝食のフレンチトーストも絶品

 朝食も作ってみた。作ったのはレシピ集にも載っている「フレンチトースト」だ。バケットを4センチぐらいに切り、牛乳や砂糖をまぜた卵液に浸ける。しっかり浸したら、ラックの上に並べる。

 あとは175℃に予熱したクリスタルオーブンへ入れ、焦げ目が付くまで10分ほど焼くだけだ。

バゲットを卵液に10分ほど浸ける
ラックにバゲットを並べる。レシピではオーブンシートを引くと書いてあるが、引かなくても問題なさそう

 これまでフレンチトーストはフライパンで作ってきた。表面は焦げていても基本的にはしっとりとした食感。悪く言えばべちゃっとした出来だった。

 しかし、クリスタルオーブンで作ったフレンチトーストは食感が違う。熱風で焼き上げているため、そもそも表面がカリッとしているのだ。もちろん中はしっとり。べちゃっとした食感はほとんど感じなかった。これにメープルシロップを掛けて、ちょっとステキに盛れば、まるでカフェメニューのような出来。作ったフレンチトーストは一瞬で家族に食べられてしまうほどの人気だった。

10分ほど焼いたところ。表面がカリッとしているのがわかる
メープルシロップを掛けると、カリッとした食感に甘みもプラスされさらにおいしくなった。粉糖などを振るのもいいだろう

デザイン性と使い勝手の良さでレギュラーの座を獲得!

 キッチン家電が好きな著者宅にはさまざまな家電がある。しかし、その多くはレギュラーの座を獲得できず、棚の中に収納されたり、箱に入れられ、別の部屋に置かれたりしている。そんな中クリスタルオーブンは早くもレギュラーの座を獲得した。

 その1番の理由は、使い勝手の良さだ。まず、同種の家電の中ではコンパクトで、置き場所をとらない。また、本体が簡単に分離でき、1つ1つは小さく、軽いため、邪魔になったときサッと収納できるのだ。だから、使うときもすぐに出せる。また、使用済みのガラスボウルを食洗機にいれて洗えるのも大きい要素だ。

レシピにないメニューにも挑戦。コストコで購入した巨大ラムチョップは表面をフライパンで焼いたあとで投入。しっかりと中まで火を通すことができた
失敗メニューだったのが牡蠣フライ。そもそも脂分がない食材にしっかりと火を通したため、パサパサになってしまった
ガラスボウルの活用例。若干強引だが、ガラスボウルにサラダを盛って食卓に出してみた。深みがあるので混ぜるのには最適だった

 機能としては決して高度なものはなく、同種の製品と比べても差異はほとんどない。しかし、加熱時に光ることで、加熱中であることがわかる点、ファンの音が小さい点などにも好感が持てた。

 現在、クリスタルオーブンは品薄になっており、Amazonでもプレミア価格が付いた状態で取引されているようだ。また、ノンフライ調理器は多くのメーカーから続々と登場しており、コンベクション(熱風料理)機器のブームにもなりつつある。

 揚げないから揚げやとんかつなどの脱脂調理ができる調理器具はこれからも高い支持を集め続けるはずだ。

 そんな中で1つ選ぶなら、使い勝手の良さとデザイン性の高さを理由として、cuma Amadanaのクリスタルオーブンを最有力候補におすすめしたい。


コヤマタカヒロ

1973年生まれ。大学生の頃にライターデビューをして現在17年目。パソコンからAV機器、デジタルガジェット、白物家電などの電気が流れる製品と、その関連サービスを中心に執筆活動を展開する雑食系のデジタルライター。一般商品者目線で、最新テクノロジーを伝え、完成品はできる限り自分で試して記事にすることを信条にしている。