家電製品ミニレビュー

フィリップス「センソタッチ3D RQ1285CC」

~ヒゲの長さも整えられる高級シェーバーの使い心地は
by 正藤 慶一
フィリップスの最高級シェーバー「センソタッチ3D RQ1285CC」。俳優の成宮寛貴さんの広告でもおなじみだ

 当然のことながら、シェーバーはヒゲを剃るために存在する。だが、オランダの家電メーカー、フィリップスからこの夏登場した最高級シェーバー「センソタッチ3D RQ1285CC」は、剃るだけでは終わらない。アタッチメントを付け替えることで、ヒゲの長さを整える「ヒゲトリマー」としても使えるのだ。

 ヒゲトリマー機能付きのシェーバーは、他社からもいくつか登場しているが、最高級モデルに搭載されているのは珍しい。ちょうどヒゲも伸ばしていたことだし、一度使ってみよう。



メーカーフィリップス
製品名センソタッチ3D RQ1285CC
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシカメラ
購入価格39,800円

洗浄機付きということもあって、パッケージは大きめパッケージの裏側には、ヒゲトリマーとして使えるイラストが入っている

シェーバーの刃全体をヒゲトリマーに付け替える

 改めてRQ1285CCの概要を紹介すると、フィリップスの高級シェーバーシリーズ「センソタッチ 3D」の中でもトップに位置するシェーバーとなる。刃はフィリップス伝統の「三つ目」の回転刃を採用。シェーバー本体に加え、専用の洗浄充電器、洗浄液も付いている。

フィリップスのシェーバーといえば、“三つ目”の回転刃が特徴パッケージ内容。洗浄充電器やポーチも付いている。写真には写っていないが、充電スタンドも付いている
“三つ目”の刃を取り外し、ヒゲスタイラーに取り替えることで、ヒゲトリマーとして使用できる

 ここまでなら他社の高級機種でもよくあるが、このRQ1285CCが面白いのが、専用のヒゲトリマー「ヒゲスタイラー」が付いているところ。ヒゲを剃る時には、通常通り三つの丸い刃を使い、ヒゲの長さを整える場合は、ヒゲスタイラーに付け替える。刃をまるごと取り替えるというのは、これまでのシェーバーにはなかなか見られない構造だ。

 ヒゲスタイラーには、長さが調節できるコーム(櫛)が付いており、1~5mmの範囲内で、1mm単位で切り替えられる。コームの長さはヒゲスタイラー下部のレバーで切り替える。また、コームは取り外すこともできる。

コーム(櫛)の長さは1~5mmから5段階に調節可能コームは取り外せる

 それ以外の本体機能は、従来の最高級モデルと基本的に同じ。三つの刃が顔のカーブにフィットするように動く「独立3Dシステム」や、刃にはスロット(隙間)、溝、穴という3種類を設けることで、さまざまな種類のヒゲに対応する「ウルトラトラックヘッド」、ヒゲを根本から引き上げて肌を傷めずに深剃りする「スーパーリフト&カット機能」などを搭載している。本体はサイズが58×70×164mm(幅×奥行き×高さ)で、重量が177gとなっている。

刃の内部。内刃が回転し、外刃が捕らえたヒゲをカットする三つの刃が顔のカーブにフィットするように動く「独立3Dシステム」も継承

フィリップス独自の“三つ目”はソフトな剃り心地。しかも静か

 まずは基本となるシェービング機能から試したいが、初期状態では内蔵バッテリーが空になっていたため、充電する必要がある。充電は、本体にケーブルの差しこみ口がないため、必ず付属の洗浄充電器、および充電スタンドを使う。充電時間は約1時間と非常に早い。

 充電状況は、本体胴体部のモニターにて表示される。例えば「30」という数字が出れば、あと30分間使える、ということを意味する。最大は「60」。この数字はあくまでも目安とのことだが、自動学習機能により、使用状況に合わせた数字を表示するという。なお、内蔵の電池については、同社ホームページにて「単3リチウムイオン電池(1本)」との表記がある。

使用前にまず充電。洗浄充電器にセットすれば、1時間で充電が完了する付属の充電スタンドでも充電可能。なお、本体中央部の「60」という数値は、60分間使える、ということを意味している

 充電が完了し、本体中央の電源ボタンを押すと、「ウィーン」という、軽くて高い音がする。パナソニックやブラウンなどの往復式シェーバーと比べてもかなり静か。また、以前に使ったフィリップスの高級シェーバーと比べても、より静かになっている印象だ。

電源をONにしたところ。音は軽くて高く、静かだ

 いよいよヒゲを剃ってみると、肌の当たりはかなりソフト。“三つ目”の刃に加えて、独立3Dシステムが肌に剃うようにグニャっと曲がるため、広範囲をやさしくシェービングする印象だ。他社との比較でいえば、パナソニックの5枚刃のラムダッシュも刃の表面が広いが、RQ1285CCは振動が控えめなため、悪く言えばパワーが弱い、良く言えばより肌にやさしい感触がある。

頬の部分を中心にシェービングしてみた。パワーが弱いのではと思ったが、しっかりと剃れた。アゴ周囲のヒゲは次の項でカットする

 これだけソフトだと、ちゃんとシェービングできるのか? という不安もあるが、終わってみればしっかりヒゲは剃れていた。静かでやさしい割には、シェービング能力は確か。独立3Dシステムなどの効果があるのだろう。シェービング後も、特に肌が荒れたりヒリヒリするということもなかった。

 ヒゲトリマー機能はこれから使うため、アゴヒゲだけは剃らずに残しておく必要があったが、三つの刃がヒゲを“残すこと”に効果的だった。剃る部分と剃らない部分の境界線に沿うように、三つのうち1つの刃を動かせば、剃る部分と剃らない部分のキワがキレイに剃れる。さすがに唇と下唇の間の部分には、刃が大きすぎるため剃るのが難しいが、その時は本体の裏側にあるキワ剃り刃を使えば良い。

 なお、本体は防水仕様となっており、浴室での使用にも対応する。


5枚刃のラムダッシュと比べたところ。どちらも刃の面積は広いが、振動が少ない分、RQ1285CCの方がやさしく感じられる本体後部には、キワ剃り用の刃も用意されている


ヒゲトリマーでヒゲの長さを整えてみよう

ここからはヒゲトリマー機能を使ってみよう!

 さて、ここからは新機能であるヒゲトリマー機能を使ってみたい。シェービング用のヘッドを引き抜き、ヒゲスタイラーを取り付ける。取り外しと取り付けは、引っこ抜いて押しこむだけととにかく簡単だ。

 長さは先に挙げた通り、1/2/3/4/5mmの5段階にセットできる。長さをセットしたら、トリミング用ヘッド先端、コームが斜めになった部分を、アゴに沿わせる。

 まずは一番長い5mmでスタート。私はたかだか1カ月程度伸ばした程度なので、ヒゲの長さは5mmもないだろうと思いきや、ちょりちょりとカットする音が鳴っている。カット後の自分の写真を見比べると、何も処理をしていないカット前と比べると、いくぶんスッキリした印象だ。

使用前の私。ヒゲの長さはまったく整えていない。祖母に「あんたそんなので恥ずかしくないの」と言われてしまったヒゲスタイラーのコームの長さを「5mm」に設定し、カットしてみた。左よりも、いくぶんスッキリしたように見える

 次に3mmにすると、さらにスッキリさが増して、軽い印象になった。この程度の長さであれば、ビジネスシーンでも違和感はないのでは? と感じられた。

 最後に1mmでカットすると、これはほぼ無精ヒゲ。いわゆる“ちょい悪オヤジ”の仕上がりといったところか。しかし、こんな短い長さにも揃えられるのは驚きだった。

続いて3mmにすると、だいぶ印象が軽くなった。個人的にはこれがもっとも気に入っている一番短い1mmは、無精ヒゲっぽい仕上がりに

 というわけで3パターンの長さを見てみたが、刈りすぎるなどの失敗もなく、とても簡単にヒゲが揃えられた。刃の幅が広いため、スピーディーにカットできるのも良かった。

 また、本体のキワ剃り刃を使えば、ヒゲを伸ばす部分と剃る部分のキワも整えられる。つまり、RQ12851本で、ヒゲに関するすべてのことができる、ということだ。


洗浄液の香りは好みが分かれそう

 最後に、お手入れについても紹介しておく。本製品には洗浄洗浄器と洗浄液がセットになっており、洗浄機に本体をセットするだけで、簡単に手入れと充電もできる。

 洗浄モードは3つ用意されており、洗浄時間が1時間の「ECO」、2時間の「AUTO」、2時間半の「INTENSIVE」がある。短めのモードが用意されているのは嬉しい。

洗浄中のようす。モードが3段階から選べる。セットしてボタンを押すだけでキレイになるのでとてもラクだ

 洗浄液の香りは独特で、男性用の整髪オイルのようだ。ブラウンのシェーバーでは、洗浄液はさわやかなアルコールの香りだったが、それとは180度異なる。表現が難しいが、男らしくてしっとりした感じがする。私は特に問題はなく、気持よく使うことができたが、これは好みが分かれるだろう。

 洗浄液は洗浄機の容器に注ぎ入れた後、そのまま約2週間使い続けられる。余談だが、私は以前フィリップスのシェーバーを使った時、洗浄液は毎回使い捨てるものと勘違いしていた。洗浄機には150mlだけ注ぎ入れるが、1本300ml入りで500円以上する。随分勿体無いことをしたと後悔している。

 付属品としてはこのほか、本体がポーチも同梱される。ビジネスバッグにはやや大きめに感じられるが、ヒゲスタイラーも入るので、旅行や出張には重宝するだろう。

洗浄液の香りは、男性向け整髪料のような独特の香り。好みが分かれそうだ洗浄モードの選択は、洗浄充電器本体の「▲」「▼」ボタンを押すポーチを使えば旅行や出張にも持っていける。ヒゲスタイラーも入る


ヒゲを伸ばしている人はもちろん、“伸ばしてみよッカナ”という方にもお勧め

 RQ1285CCについてひと通り見てきたが、これ1本でヒゲを剃るだけでなくトリミングができるのは、ヒゲをたくわえている自分としては非常に便利だった。何しろ、ヒゲトリマーなど別途用意することもなく、一台でヒゲに関するすべての処理ができてしまう。ヒゲのトリミングまで考慮した高級シェーバーは、現在のところフィリップスのみ。ヒゲを生やしていて、かつ肌にやさしく確かなシェービング能力を求めている方には、自動的にこの一択になりそうだ。

 もちろん「仕事の都合上、ヒゲなんか生やせねーよ」という方もいるだろうが、ヒゲスタイラーを省いた「RQ1251CC」、またはRQ1251から洗浄充電器を省いた「RQ1251」という選択肢もある。本体機能自体はRQ1285と変わらないため、フィリップス独自の“三つ目”ならではのやさしいシェービングが味わえるだろう。また、運転音がとても静かなので、夜中に使用しても、家族や隣人などに迷惑はかからないはずだ。

ヒゲをすべて剃ってみた。アゴ下の曲線は、独立3Dシステムがフィットするので剃りやすい

 約1カ月ほど使って今のところ特に不満はないが、敢えて言うなら、ヒゲのトリミング機能をもっと充実させてほしい。単品で販売されているフィリップスのヒゲトリマーには、1.5mm単位や2.5mmなどで細かくセットできたり、10mmなど長めに揃えられるなど、より幅広いセットができる。すべてヒゲトリマーと同じにしろというわけではないが、ヒゲを生やした人向けの高級機種である以上、ヒゲを整える機能をもっと充実させても問題はないと思われる。

 男性用の美容家電を多数投入しているフィリップスらしい、他社には見られない意欲的な製品だ。既にヒゲを伸ばしている人にピッタリなのはもちろんだが、「ちょっとヒゲを伸ばしてみようかな」と思った方にもぜひ使ってみてほしい。せっかく生えてくるもの、一度くらい伸ばしてみて、自分なりのヒゲのデザインに挑戦してみてもバチは当たらないだろう。






2012年9月21日 00:00