家電製品ミニレビュー
ダイソン「DC36 carbon fibre turbinhead」 後編
ダイソン「DC36 carbon fibre turbinhead」 |
ダイソンの新型サイクロン式クリーナー「DC36 carbon fibre turbinhead(カーボンファイバータービンヘッド)」の試用レポートの後編。今回は吸引力や騒音、アタッチメントの使用感などを中心に見ていこう。
DC36 carbon fibre turbinheadの基本機能を紹介した前編は→こちらから
まずDC36の吸引力だが、吸込仕事率は170Wとなっている。どんな感じの吸引力かと言えば、ホコリや砂や煎餅のかけらからネジや指輪やコインまでしっかり吸い込んじゃう強さ。シッカリかつキッチリ掃除するゼ、てなときにメインの掃除機として使える十分な吸引力があると思う。
またダイソンのサイクロン式クリーナーは「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」と明言している。適切なメンテナンスを行いつつ使えば、上記の170Wという吸込仕事率がずっと続くことが保障されている点、安心感がありますな。
それから動作音。ダイソンの掃除機=ウルサい、と思い込んでいる俺なんですけど、このDC36、フツー的な騒音ですな。「やっぱダイソンだから」というウルサさではなく、「まあ掃除機ってこんなモンでしょ」的なものだ。
ちなみに、DC36には新たに「ラジアルルートサイクロン技術」が搭載されている。サイクロン構造(14本)を放射線状/均一に配置することで、空流を均一にし、より強力な遠心力の獲得に成功したとのこと。加えて、遠心分離する前に大きなゴミを捕える「シュラウド」部の素材を変更。網目がより小さなメッシュ素材の採用で分離効率が向上したという。
これらの変更により、従来機より運転音が最大4dB小さくなったそうだ。それから内蔵フィルターのメンテナンス頻度を、従来機の「2年に1度」から「4年に1度」へ抑えることができたという。
と、イロイロと理屈を並べてみたが、俺的には吸込仕事率だとかナントカ技術が刷新されたとかいう話にはあまり興味がない。俺の仕事場がどの程度キレイになるか、が肝心。さらに、ユーザーとして「どの程度ラクしてキレイにできるか」という点はもっと大切。そんな観点でDC36を使ってきたが、まず良かったのがカーボンファイバータービンヘッドである。
DC36(のcarbon fibre turbinheadモデル)には導電性カーボンファイバーブラシを持ち吸気で回転するクリーンエアタービンヘッドが付属する。DC36のほかのモデルには電動式のモーターヘッドが付属しているが、「きめ細かいカーボンファイバーブラシが回転して、静電気の発生を抑えつつ、フローリングのホコリを取り除く」という機能性は同じだ。
最近湿度がかなり下がってきて、けっこー静電気が起きまくり中の拙宅仕事部屋。フローリングの部屋なのだが、床に、毎日、シッカリ、白っぽいホコリが付いてしまう。こまめに掃除しているが、すぐこの白いホコリが付いちゃうのである。いつも使っているハンディ掃除機やスティック掃除機だとほとんど除去できないほど、頑固に付いているのだ。たぶん細かなホコリが静電気により床に吸着されていて、掃除機で吸い込めないものと思われる。
そこで「このホコリがサクッと取れますように」とDC36に前述のクリーンエアタービンヘッドを装着して掃除したら、あらま!! ひと撫ででホコリ完全除去!! スゲ!! フローリングが光るゼ!! ……ってじつはこの導電性カーボンファイバーブラシの効力は以前から知っていたのだが、やっぱりこーゆー乾燥した時期のフローリング掃除にはバッチリ向くヘッドだなァってコトを改めて確認できた。
某社製品で「ふき掃除したような仕上がり」が得られるナイスな掃除機があるが、効果としてはソレとほとんど同じ。床などに静電気でくっついちゃってるようなホコリやゴミがザックリ取れまくりである。
あとこのヘッド、関節部の可動範囲が非常に広い。またヘッドの横幅自体が狭めで実測値で約21cm。なので、かなり低いトコロや狭いところへ侵入していける。一般的な掃除機(のヘッド)だと入っていけない場所も手軽に掃除できて非常に快適なのだ。
クリーンエアタービンヘッドの関節部分は可動範囲が非常に広い。また、6つのホイールにより非常にスムーズに動く | 床とほぼ水平の状態にまで倒せる。もちろんこの状態でホイールが機能する。非常に低いところへも侵入していける | こんなふうにも可動する。自由自在と言って良いレベルで動きまくりのヘッドなのだ。グニャグニャに動く、てな印象 |
ベッドの下なんか楽勝。転がりもスムーズだ | 10cm程度の高さなら奥のほうまで入っていく | ヘッドの横幅は21cm程度。狭い場所も掃除可能 |
てな感じで、拙宅にある掃除機だと掃除するのが一苦労となるエリアをバシバシ攻略可能なDC36。普段届かないところのホコリなどを導電性カーボンファイバーブラシがスッキリとかき集めてくれた。
それからDC36などのダイソン製「しっかりとしたお掃除」向け掃除機は、付属お掃除ツールの豊富さもひとつの魅力だ。DC36に付属するクリーンエアタービンヘッド以外のツールは5種類あるが、数が多いってだけではなく、どれも使い勝手が良くて役立つ。
なお、5種類の付属ツールはそれぞれ、「コンビネーション(ブラシ・隙間)ノズル」、「ミニT字型ノズル」、「ソフトブラシツール」、「フトンツール」、「フレキシブル隙間ノズル」である。
「コンビネーション(ブラシ・隙間)ノズル」は、隙間ノズルとブラシツールの切り替えが可能なツールで、溝や角などの掃除に役立つ。パイプの先に付けて使ってもいいと思うが、パイプを外してハンドルの先に装着すれば、床以外の細々した箇所を掃除しまくれる。DC36の場合、ホースが長めなので、ある程度高い棚など以外なら掃除機本体を床に置いたまま(つまり持ち上げることなく)掃除できる。
「コンビネーション(ブラシ・隙間)ノズル」。隙間ノズルとブラシツールを切り替えられるツールだ |
「ミニT字型ノズル」もまた、ハンドルの先に付けて使うと快適な小さなツールだ。角や小さな面などをシッカリと掃除できる。吸引面には「服のホコリを取るエチケットブラシ的な素材」が付いていて、毛や糸くずの除去/吸引にも向く。
「ミニT字型ノズル」。狭い面などを効率良く掃除できるT型のノズル。毛や糸くずの除去も得意 |
「ソフトブラシツール」は柔らかく毛足が長いブラシを持つツール。吸引面は短い毛で覆われていてブラシ台座のプラスチック部分が対象に接触しにくい。ので、液晶テレビ画面や障子など、デリケートな面を掃除するのによく向く。
「ソフトブラシツール」。長め柔らかめのブラシで、吸引面は短い毛で覆われている。液晶画面や障子などの掃除にも向く |
「フトンツール」は文字通りフトン用のツール。これも吸引面に「服のホコリを取るエチケットブラシ的な素材」が付いているので、フトン表面の糸くずや毛などを除去しつつの掃除が可能だ。
「フトンツール」。フトンなどの寝具掃除のためのツール。毛や糸くずを除去しつつ掃除できる |
「フレキシブル隙間ノズル」は細長いブラシツールだが、伸縮し、伸ばした状態ではパイプ部分が柔軟に曲がるのが特徴。手が届かないような狭い場所の奥をやや無理矢理掃除しちゃうときに向く。フレキシブルなパイプの弾力を利用して、ブラシを対象に擦りつけつつ掃除するのも効果的だ。
「フレキシブル隙間ノズル」。伸ばした状態でパイプ部がフレキシブルに曲がるブラシツール。狭いところのほか、高いところの掃除にも向く |
てな感じで標準のヘッド~付属ツールまで全体的に使い勝手の良いDC36。やはり一通り使っちゃうと「これで吸引力が落ちないってんなら、高価だけどやっぱ欲しいなぁ」的な気分になる。
ただ、使っていて残念なところも少し。俺的に最強に残念なのは、排気部。本体後方から排気されるのだが、排気された空気が本体後方の床上方に流れる。カーテンが揺れる程度の勢いの排気で、直接床に当たっているわけではないが、床のホコリを動かす~舞わせることが多い。なぜ本体上方に排気を出さないのか、疑問が残るところだ。
それから、ホースが長いのはいろいろな場面でジョリーグッドであるのだが、やや硬質なホースなのでDC36非使用時(収納時)に少し苦労する。ホースをうまく捌かないと邪魔っぽい状態に。DC36本体は縦置きなどにはできないため、本体が比較的に小型とは言え、非使用時にわりと場所を取る印象が残った。
排気口は本体後方にある。排気は床と平行に出ているようだが、DC36後方のホコリなどを舞わせることが少なくない | パイプは本体後部にセットして立てて置ける。のだが、ホースが長めで硬めであるため、非使用時にはやや邪魔だ | ホースをうまく捌いておけば、ある程度は「邪魔な感じ」が薄れる。が、縦置き不能なのでフットプリントは大きめ |
てな感じの「DC36 carbon fibre turbinhead」。DC36シリーズのなかでは廉価機種となるものの、本体の取り回しやすさは一見の価値アリ。クリーンエアタービンヘッドの効果も相変わらず非常に良いし、付属ツールも便利。各所にダイソンの本気度が感じられるサイクロン式クリーナーなので、興味のある方はぜひ一度実機に触れてみてほしい。
2011年10月13日 00:00