東芝「コードレスアイロン La・Coo(ラクー) TA-FV900」

【お詫びと訂正】初出時に、コードレス方式について充電式という記述がありましたが誤りでした。ご迷惑をお掛けした方々にお詫びして訂正させていただきます。

　仕事で着る機会の多いシャツは、ビジネスマンの“商売道具”。第一印象を左右するアイテムだけに、シワのない1枚を着たいもの。

　そこで取り上げるのが、細かな部分まで手軽にアイロンがけができる東芝アプライアンスのコードレスアイロン「La・Coo(ラクー) TA-FV900（以下、ラクー）」だ。ラクーは、コードレス式ならではのコンパクトな本体と、前後左右にアイロンがけできる木の葉型のかけ面、きめ細かく設定できるスチーム機能が特徴だ。

■コードレス式で、片手でラクに持てるコンパクトさが魅力

　まずは、コンパクトな本体から見ていこう。本体サイズは103×228×139mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.2kgと小型で、片手で使える軽さだ。

　本体には置き台とカバーケースが付属。アイロンを使用する時は、こまめにスタンドに戻す必要がある。スタンドに付いている電源コードの長さは約1.6m。消費電力は最大1,200Wとなっている。

　ハンドル部は、長めで、握りやすいデザインの「新型オープンハンドル」を採用している。このハンドルは、前後どちら向きでも握ることができるというものだ。置き台はこのハンドルに応じて、360度回転し、持ちたい方向に取っ手を向けることができる。

本体には持ち運びに便利なカバーケースが付属する	ラクーを置く、置き台

電源コードの長さは約1.6m	ハンドル部は前後どちら向きでも握れる「新型オープンハンドル」を採用

　水タンクは取り外し式で、容量は約120ml。本体カラーはピンクとレディッシュゴールドの2種類があり、私はピンクを選んだ。

水タンクは取り外し式	上から見た図。水の残量がわかる半透明の素材だ	使用前に給水しておく

　操作部は、ハンドルの付け根に位置する。1番先にある「スチーム/ドライ切換レバー」では、「ドライ/スチーム/シャワースチーム」からモードを選ぶ。シャワースチームは、スチームよりもさらに蒸気が多く出てくるモードだ。

　操作部では、電源の「入/切」および「低/中/高」の3段階の温度を設定する。設定後、使える温度になると、赤い温度表示ランプが点灯して知らせる。

「ドライ/スチーム/シャワースチーム」が選べる「スチーム/ドライ切換レバー」	銀色の「ミストボタン」と「ショットボタン」。その下に、「低/中/高」の3段階の温度設定が表示される	使える温度になると、赤い温度表示ランプが点灯して知らせる

　なお安全面では、アイロンをスタンドに放置した際、約10分後に自動で電源が切れる「電源切り忘れ防止機能」を搭載している。

■取り回ししやすい、木の葉型のかけ面

取り回ししやすい、木の葉型のかけ面る「美ラクルベース」

　次に、ラクーの取り回しやすさを支えている、かけ面を見ていこう。ラクーのかけ面は、木の葉型で、前後の端が細くなった「美(ミ)ラクルベース」という形を採用している。これにより、前後左右にアイロンを滑らせることができるのだ。

　さっそくシャツのアイロンがけに使ってみると、とにかく滑り心地が軽やかだ。例えば、シャツの後ろ見ごろや、ストールなどの広い面積をアイロンがけする際には、ラクーを横向きに持てば、一気にアイロンがけでき、手早く仕上がるのだ。

　前後の端が細いのも使いやすい。シャツの襟や、ボタンの間など、細かい部分もにもかけ面が届く。

　かけ面には、ステンレスよりも耐摩擦性と蓄熱性に優れた「ボロンコーティング」が施されており、滑りの良さを高めているという。

シワシワのシャツだが…	かけ面の両端が細くなっているため、アイロンがけする部分が見やすく、細かいところもアイロンがけしやすい	向かって右側にのみ、アイロンをかけた。たいして力もいらず、シワも伸びてふんわり仕上がった

男性用の白シャツ。無地だからこそシワが目立つ	ところどころミストを吹きかけ、縫い目や折り目はカッチリと、前身ごろと後ろ身ごろはふんわりと仕上がった

Tシャツは、30秒ほどで全てのシワを伸ばせた	アイロン掛けする面積の広いストールだが、ラクーの幅の広いほうを横向きにして持つと、一気にアイロンがけでき、手早く仕上がる

シワになりやすいレーヨン素材の服	左側のみアイロンがけした様子。10秒ほどのアイロンがけでほとんどのシワが伸びた

　　コードレス式なので、持ち上げて使用しているうちに、かけ面の温度が下がってくる。使用中はこまめに置き台に戻して暖める必要がある。しかし自分の場合、シャツ1枚にかかる時間はおよそ1分程度、ガンコなシワが付いているシャツでも3、4分。シャツ数枚にアイロンがけする程度なら、温度が下がることは気にならなかった。「いちいちスタンドに戻すのが面倒なんじゃないか」という不安をよそに、実際にはテキパキとアイロンがけが進んだ。

■細かな部分のシワを狙い撃ち! 「ポイントプレス」

　ラクーのかけ面にはもう1つ秘密がある。それは、細かい部分のアイロンがけに適した「ポイントプレス」を採用したことだ。かけ面の後部が15度傾斜しているため、スカートのプリーツやシャツのタックなどの狭い部分にも、本体を傾けてピンポイントでアイロンがけできるのだ。

　レーヨン素材のシャツのプリーツに使ったところ、ポイントプレスが、細いプリーツのすき間に入り込んで、丁寧にシワを伸ばすことができた。

　また、ガンコなシワをピンポイントで狙って伸ばしたいときにも、15度の傾斜によって、その一点に集中して圧力をかけられるため、便利だった。

ちなみに、かけ面が木の葉型のコードレスアイロンは、パナソニックからも出ているが、この「ポイントプレス」はラクー独自の仕様である。

かけ面の後部には、細かい部分のアイロンがけに適した「ポイントプレス」を採用している	ポイントプレスが、細いプリーツのすき間に入り込んで、シワを伸ばす

奥側が、ポイントプレスでアイロンがけした部分。手前がまだアイロンがけしていない部分。繊細な布のひだも、きれいに伸ばせた	ピンポイントでガンコなシワを取りたい時にも

■ジャケットをハンガーにかけたままシワ伸ばしや脱臭ができる、大容量スチーム

 　ラクーの3つめの大きな特徴が、スチーム機能だ。ラクーのスチーム機能では、ジャケットなどをハンガーにかけたまま、シワ伸ばしや脱臭ができる「全周吊るしてショット」機能を搭載している。

　使用するには、温度設定を「高」の状態で、ラクーを縦に持ち、ジャケットに向けて「ショットボタン」を押す。ショットボタンは、「ミストボタン」と並んで操作部に位置する。ボタンを押すと、かけ面の52個のスチーム孔から、高温のスチームが飛び出す。スチームを当てたあとは、シャケットの生地をひっぱってパンパン叩くだけで、シワが軽減されている。

　取扱説明書には、衣類をひっぱりながらショットボタンを押す、と書かれていたが、実際やってみると高温のスチームが熱い。少し冷めてから、様子を見て生地に触れるほうが良いだろう。

「全周吊るしてショット」機能を試すジャケット	特に袖口のシワが目立つ

ラクーを縦に持ち、ジャケットに向けてショットボタンを押す	ジャケット右袖周辺にスチームを当てた。左側に比べて、シワが取れているのがわかるだろうか

　さらに、スチームの力で、スボンなどのぶ厚い生地のたるみも伸ばせる。ズボンのたるんだ部分に、「シャワースチーム」モードでショットボタンを押せば、たっぷりのスチームが、たるみを少しずつ解消してくれる。

ズボンのたるんだ部分には、スチーム量の多い「シャワースチーム」モードでショットボタンを押し、たっぷりスチームを当てる	ショットボタンを押すと、スチームだけでなく、水滴も出てくる	たるんだ部分を伸ばしていくのだが、これが結構時間がかかる

スチームには、衣類のにおいを軽減する効果もある

　もう1つ、スチーム機能にはメリットがある。シワを伸ばすだけでなく、衣類のにおいを軽減することもできるのだ。普段なかなか洗いにくいデニム生地の服にあてたところ、防虫剤のにおいがやわらいだ。

　スチームの威力に関しては、生地の厚いジャケットやズボンのシワもちゃんと伸ばせたので、満足している。

　残念な点を挙げるとすれば、スチームの適温持続時間が最長260秒と限られていること。ショットボタンを押しているとあっという間に時間がきてしまって、また高温状態に戻るまで数分かかる。いちいち本体を置き台に戻して暖まるのを待つのはどうしても面倒だ。コードレスならではの手軽さの裏返しとしての制約だ。

■細かい部分までしっかりシワを取りたい人向けのコードレスアイロン

　今回使用したLa・Coo(ラクー) TA-FV900は、「こんなに軽くてシワが取れるの? 」と思うほど、軽くて滑らかな使い心地。力を入れて布をプレスする必要がないから、疲れにくく、アイロンがけにかかる時間は短くなった。シャツにアイロンがけするだけでなく、自分の部屋のクローゼットにかかっているジャケット類に向けて、一度にスチームをかけたりと、気軽に使っている。

　La・Coo(ラクー) TA-FV900は、細部までしっかりとシワを取りたい人向け。1枚1枚シャツの襟元やタックを伸ばしたり、繊細なひだを整えるには心強いアイロンだ。