家電製品ミニレビュー

パナソニック「充電式ランタン BG-BL02」

~世界中で活躍してきた充電式LEDランタン
by 伊達 浩二
パナソニック「充電式ランタン BG-BL02」本体正面。下にある丸がスイッチ

 東日本大震災のあとで、懐中電灯や乾電池がすっかり店頭から消えてしまったのは記憶に新しい。その後も、台風などによる災害のニュースが絶えないこともあって、家電店の店頭では懐中電灯やランタン、手回しラジオなどの防災用グッズに、大きなスペースが取られている。

 パナソニックからも、8月に防災用の製品が、いくつか登場した。その中から、今回は「充電式ランタン BG-BL02」を紹介しよう。

 


メーカーパナソニック
製品名オープンプライス
希望小売価格13,650円
購入場所ヨドバシ・ドット・コム
購入価格4,980円

 

外観と機能はいたってシンプル

 充電式ランタンBG-BL02は、外観も機能もシンプルな製品だ。本体は円筒型で、サイズは120×153mm(直径×高さ)。直径はCDと同じ。写真で想像していたよりも、実物は大きく感じられる。本体は樹脂製で軽く、約590gしかない。

 外観で特徴的なのは、本体に設けられた4つのストラップホールだ。この穴には太めのヒモも通せるようになっている。持ち歩くには、バッグに入れるより、このストラップホールにヒモを通し、肩から提げて歩く方がふさわしい大きさだ。

本体の上面は半透明で散光の機能がある本体背面。ACアダプタからの入力端子だけがある。上下に2個ずつ付いている穴が、「ストラップホール」だ本体底面。4つのネジを外すとニッケル水素充電池パックが入っている
30cm定規との大きさ比較直径はCDと同じ12cm小さめのACアダプタが付属する

 使うにはまず、BG-BL02を充電する必要がある。充電には、付属のACアダプタを使用する。DC側の出力は12V/300mAだ。ACアダプタのサイズは65×40×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約86gで、ノートPC用より一回り小さいぐらいの大きさと重さだ。充電時間は最長で約3.5時間とされている。充電中は赤いLEDが点灯しており、充電が終わると消灯するのでわかりやすい。

 電源は本体底部に内蔵された、ニッケル水素充電池パックだ。点灯時間は、弱で約20時間、強で約5時間、非常用点滅で約30時間とされている。実際に試したところ、弱で22時間、強で4時間半使用できた。だいたい仕様通りと思って良い。

 操作は、スイッチが1つあるだけで、1回押すと「弱」で点灯し、さらに押すと「強」、そして「消灯」へと変わる。これ以外には、非常用の点滅機能があるだけだ。スイッチを1秒以上長押しすると点滅し、もう1度長押しすると消灯する。

 光源には、0.5WのLEDが2つ内蔵されており、かなり明るいが、本体の半透明の部分は凹凸があって、散光の効果があるので、まぶしいというほどではない。周囲をまんべんなく照らすランタンらしい明りだ。

大きめのストラップホールが用意されているのでヒモを通してみたドアの取っ手にぶら下げてみる明るさはほどほどだが、本体の上半分全部が光っている

 照明範囲は、部屋全体を照らすというよりは、机の上や洗面台の回りを照らすのにちょうど良い。ストラップホールにヒモを通し、トイレのドアにぶら下げて使ってみたが、トイレのスペースを照らすのにちょうど良い明るさだった。キャンプ地でトイレに行くのに、肩からヒモでぶら下げ、持っていた先で置くなりぶら下げるなりしておくという使い方は便利そうだ。

 なお、今回は1台だけだったので試せなかったが、明るさが足りないときは縦に積み重ねて繋げて使う、と取扱説明書に書かれている。本体には、繋げるために、重ねた本体同士を軽くねじる仕組みも用意されている。

太陽電池との組み合わせで国内外で活躍

 もともと、BG-BL02は三洋電機から「eneloop lantan(エネループ ランタン)」という名前で海外向けに販売されていた商品だった。ちょっと大ぶりなサイズや、丈夫な樹脂製の本体や、本体のシンプルな操作は、誰にでもわかりやすく使えるよう配慮されたものなのだろう。4つあるストラップホールも、どこにでも持ち運んで固定しやすいということから考えられたのだと思う。「持つ・置く・吊るす」という、3つの要素を考えてのデザインなのだ。

 日本では、この製品を電気が普及していない途上国に向けて寄付するWEBプロジェクトが行なわれていた。寄付先のウガンダでは、電気が供給されていないため、油を使うケロシンランプが使われているという。その地域に、ソーラー充電器と組み合わせたエネループランタンを寄付することで、勉強や食事の際の照明として使われているのだそうだ。エネループランタンは油代がかからず、油煙もないクリーンな照明として受け入れられているという。

 また、東日本大震災の際には、ソーラー充電器と組み合わせた形でランタン4,000個がパナソニックから被災地に寄付されたが、それもこの製品と同じものと推察される。

 国内外で困っている人たちに灯りを届けるという重要な任務を背負ってきた製品なのだ。コンパクトソーラーライト「BG-BL01G」との住み分けもあるだろうが、市場でもソーラーパネルを組み合わせたセットで入手できるようになってほしい。

灯りがある幸せを考えさせる歴史

 BG-BL02は、シンプルで好ましい製品だが、日本国内で使うには、ちょっと大きい。もう一回り小さければ良いとか、灯りの色は白だけじゃなくて電球色がほしいとか、いろいろ言いたくなる。ただ、この製品の成り立ちを知り、サブの非常用グッズではなく、メインの灯りとして考えると、すんなりと腑に落ちるものがある。

 一晩、この灯りだけで暮らしてみた。もちろん、いろいろと不便も感じたが、移動のたびに灯りを持ち歩く面白さや、灯りのある幸せを素直に感じることもできた。こういうことをしてみようと思ったのも、この製品が背負ってきた「物語」や「背景」があるからで、同じ「モノ」であっても、この製品にはそういう発想を呼び覚ます「歴史」という価値があるのだと思う。

玄関を照らしてみた、物の位置などは充分に分かる机の上に置いてみた。カレンダーや温度計の液晶は充分に見える

 パナソニックには、この製品を国内向けに出してくれたことに感謝したい。そして今後は、この製品が担ってきた任務と歴史を、もっと広めてほしい。この製品を被災地や、電気の普及していない地域へと寄付できるような仕組みが、また始まることも期待したい。






2011年9月22日 00:00