家電製品ミニレビュー

日立「2段ブーストサイクロン CV-RS3100」

~2段式のサイクロン構造でパワフルにお掃除
by 清水 理史

掃除機にはパワーも使いやすさも欲しい


日立「2段ブーストサイクロン CV-RS3100」 今回は本体カラーが赤い「ルビー」を選択
 パワーの海外製か、付加価値の国内メーカー製か。国内製にするとしたら、サイクロンにするか、紙パックにするか。静音性はどうか? 排気はキレイ? エコか?

 基本的な方式の違いがあったり、メーカーごとに特色が出てきた最近の掃除機は、マジメに検討し出すと、どれを選べばいいのかが、実は結構悩ましい家電の1つだ。店頭で実機を試しながら、「パワーはコッチなんだが、使いやすさはコッチかなぁ」などと、さんざん悩んで製品を購入したという人も少なくないことだろう。

 というわけで、できれば、パワフルで、それでいて多機能で、もちろん使いやすい掃除機が欲しいと考えていたところ、そんな贅沢な望みをかなえることができそうな掃除機が登場した。日立アプライアンスの「CV-RS3100」だ。

メーカー日立アプライアンス
品番CV-RS3100
希望小売価格オープンプライス
購入店舗Amazon.co.jp
販売価格59,800円


2段ブーストで吸引力長持ち

 日立アプライアンスの「CV-RS3100」は、多彩なノズルバリエーション、取り回しの良さ、排気のきれいさ、エコなど、国内メーカー製ならではの磨き込まれた使いやすさに、さらに強力で長持ちなサイクロンのパワーをプラスした掃除機だ。

収納時の正面側面

上下2段のサイクロン方式を採用。下段で空気とゴミを遠心分離し、上部でゴミを圧縮してケースに収める
 最大の特徴は、2段ブーストサイクロンと名付けられた吸引方式だ。CV-RS3100は紙パックを使わないサイクロン方式が採用されているが、このサイクロンを発生させるための機構が2段構造になっている。

 本体をよく見ると、前面のクリアパネルの部分が2段になっていることがわかる。ヘッドから吸い込まれたゴミと空気は、ホースから本体へと続く先端部分の1段目で、ブーストされゴミと空気に遠心分離させられる。そのまま奥の2段目へと送られたゴミと空気は、ダストケースの入り口で、もう一度、ブースとされる。これにより、ゴミが圧縮された状態でダストケースに溜まることになる。

 要するに、遠心分離と圧縮という目的のために、2段階のブーストが行なわれるというわけだ。

 実際、1週間ほど普段の掃除に使ってみたが、お手入れをしなくても、吸引力が衰える気配はまったくない。使い始めと同じ感覚で使えるというのは、やはり気持ちが良いものだ。

 ちなみに、CV-RS3100の吸込仕事率は460Wなので、他の製品に比べて飛び抜けて高いというものでもない。しかし、実際に使ってみると、実にパワフルにゴミを吸い込んでいく印象がある。


どんな場所も意のままに、望みのパワーで

 このようにパワフルなCV-RS3100だが、実際に掃除をしていて感心するのは、ストレスを感じないということだ。

 普段掃除をしていて、なかなか吸い込めないホコリがあってイラッとしたり、うまくヘッドが届かなくてイライラが積み重ねられていくことがあるかもしれないが、CV-RS3100の場合、あまりそう感じることがない。

 たとえば、フローリングの継ぎ目や畳の目につまってなかなか吸い込めないゴミがあったとしよう。何気なく掃除をしていて、こういったゴミが目についたら、そこにもう一度ヘッドを移動する。それでも吸い込めなければ、前後に速く動かすという動作を自然にするはずだ。

 こんなときでも、CV-RS3100を「これっきりエコボタン」で自動運転で利用しておけば、ヘッドが速く動かされたことを感知し、自動的に運転モードを「中」や「強」にしたり、ヘッド内蔵のブラシ回転速度も高めてくれる。つまり、「このゴミを取りたい」という意志が、本体へと伝わり、自動的にパワーを上げてくれるというわけだ。

スイッチはシンプル。普段は「これっきりエコボタン」で自動運転で問題ないヘッドはコンパクトなのに自走式を採用で動作が軽い

動作状況に合わせてパワーが切り替わる。速く動かすとランプが赤くなりパワーが上がる。速度を下げるとパワーが下がる

 もちろん、ゴミを取り終わって元のゆっくりした動作に戻せば、パワーも下がり、音も静かになる。また、センサーによって、フローリングやじゅうたんなど、床の質によってもパワーを自動的にコントロールできるので、ムダな電力が抑えられる。

 場所を意識せずに掃除できるのもCV-RS3100の特徴だ。自走式ブラシを内蔵したヘッドは軽い動作と29cmというワイドな取れ幅が特徴だが、ヘッドの形状が細身で、可動性が高いので、これだけで部屋の隅や壁際なども、クルッと回転させて自然に掃除できてしまう。

 また、パイプ部分を床と平行になるくらいまで寝かせても、ヘッドは床面をとらえたままになるため、ソファやベッドの下なども簡単に掃除できるようになっている。“狭いから”、“隅だから”ということをあまり意識しなくても、そのまま掃除できるのだ。

パイプを寝かせてもヘッドはそのまま床をとらえるヘッドは回転もできる。場所を選ばず掃除できる

ベッドの下を掃除しているようす

ヘッドを取り外すとポップアップするブラシ。写真は回転させた状態
 もちろん、さらに細かい部分は、付属のノズルやブラシを使うことでよりきれいに掃除できる。ヘッドを取り外すとブラシがポップアップして出てくるので、これをクルッと回転させれば、手軽にソファの上などを掃除できる。

 また、付属の「ワイド曲が~るロング吸口」がこれまたスゴイ。10cm強の小型のヘッドが付いたアタッチメントなのだが、伸縮が可能なうえ、3つの関節部分が搭載されているため、かなりの長さで、しかも複雑な形状のノズルに変形させることができる。

通常の本体パイプの状態(100cm)パイプを伸ばした状態(130cm)通常状態(100cm)、本体のパイプを伸ばした状態(130cm)、「ワイド曲が~るロング吸口」をフルに延長すると、その長さは160cm

 通常のパイプの先端に取り付け、関節をうまく折り曲げてやると、棚の上、冷蔵庫やエアコンの上、カーテンレールなど、通常ではとても届かない場所を掃除することもできる。

 本体のパイプも含めて目一杯伸ばすと、取っ手部分からの長さは160cmほどにもなる。つまり、一般的な身長の人が持って手を伸ばせば、軽く3mオーバーの高さのところまで掃除できるというわけだ。

 もちろん、そんな高いところを掃除する必要はない。ワイド曲が~るロング吸口のヘッドは小型なので狭いところにも入り込める。つまり、タンスの裏、ベッドの下の奥など、狭くて手が届かないところにも使えるのだ。うまく使えば、掃除できない場所はないのではないかと思えるほどだ。

「ワイド曲が~るロング吸口」なら、冷蔵庫の上も掃除可能隙間もらくらくベッドの下の遙か奥もOK

排気もクリーンでおすすめ

ヘッドに床上のチリを吸引するためのスリットも用意される
 ホコリやゴミだけでなく、空気もきれいにできるのが最近の掃除機の特徴。このCV-RS3100でも、クリーンフィルター、アレルオフフィルター、整流フィルター、高集じんフィルターなど、複数のフィルターを通貨させることで、きれいな排気を実現している。

 床上に漂うチリを吸引できるうえ、フィルターによってハウスダストやスギ花粉、ダニなどを高い確率で捕集できるので、アレルギーなどの心配がある場合でも安心して使えるだろう。

 お手入れに関しては、普段のゴミ捨ては簡単だ。ダストケースを本体から取り外して、ボタンを押せば、フタが開いてゴミを捨てることができる。CF-RS3100には、フィルターの自動清掃機能が搭載されており、電源をオフにすると、バラバラという音とともにフィルターのホコリが自動的に落とされるようになっているが、ゴミ捨てのタイミングでフィルターのゴミも掃除しておくと安心だ。

電源オフで自動的にフィルターを掃除する
上部のダストケースを取り外してゴミを捨てるボタンを押せばゴミが下から出てくるゴミ捨てのタイミングによっては、フィルタも掃除する必要あり

 ただし、長期間つかっているとどうしても吸引力が落ちてくることがあるので、その場合はダストケースやフィルターなどを水洗いしなければならない。こういった手間がかかるのはサイクロン方式ならではの宿命だろう。

 とは言え、2段ブーストサイクロンのおかげで、ゴミ捨ての回数は少なくて済み、お手入れはさほど手間がかからない。長持ちするパワーに加え、いろいろな場所をお任せのパワーで、手軽に掃除できる実用性の高さを考えると、かなりお買い得な掃除機と言えるのではないだろうか。




2009年9月30日 00:00