家電製品ミニレビュー

オムロンヘルスケア「メディクリーン HT-B551」 前編

~部位に合わせたブラッシングを自動選択
by 正藤 慶一

部位毎に自動で振動スピードを変える“業界初”の電動歯ブラシ

オムロンヘルスケア「メディクリーン HT-B551」
 手を動かさずに、自動で手軽に歯を磨いてくれる「電動歯ブラシ」。特にブラシが高速で振動する“音波式”なら、手磨き以上にキレイにブラッシングできる。使用後の爽快感を一度味わってしまえば、もう普通の歯ブラシには戻れない……という人もいるだろう。私もそのうちの1人だ。

 今回レビューで紹介するのは、その音波式歯ブラシの新製品、オムロンヘルスケアの「メディクリーン HT-B551」である。

メーカーオムロンヘルスケア
製品名メディクリーン HT-B551
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格15,250円

 この製品の特徴は、ブラッシング中の部位に合わせて、自動で振動スピードを変えるという「オートスウィングモード」が特徴。例えば、奥歯のかみ合わせ部などの磨きにくい場所では高速、歯垢が溜まりやすい歯と歯茎の間は中速、奥歯の側面や前歯で、低速で横方向に大きく動く、といった感じになる。このような自動で磨き分ける機能は業界で初”とのことだ。

 自宅では他のメーカーの電動歯ブラシを愛用している記者だが、この“業界初”という機能を一度でいいから体験したくなったので、購入した。

「メディクリーン HT-B551」のパッケージパッケージ裏に記されている「オートスウィングモード」の解説。部位ごとに自動で運転を切り替える

 なお、今回はレビューを前編、後編の2回に分割し、まずは「オートスウィングモード」 にスポットを当てて紹介し、細かい仕様やオプション品については明日改めて紹介する。

磨き分けの秘密は「3D加速度センサー」。歯茎を痛めずに歯垢を取り除く

 実際に使用する前に、そもそもこの「HT-B551」は、なぜ部位毎に違う運転をするのか、という疑問がある。その理由についてメーカーでは、“歯ぐきを痛めずに効果的に歯垢を取り除くため”としている。そのためには、ブラシの毛先を軽く歯にあて細かく動かす「毛先みがき」と、部位にあわせた「磨き分け」を併せてブラッシングすることが、有効であるとのことだ。手磨きならまだしも、普通の電動歯ブラシはどこを磨こうが基本的には同じ速さで動き続けるため、部位毎に磨き分けるのは難しい。そこで本製品では、部分ごとに運転スピードを変えることで、歯垢を効果的に除去する、という狙いがあるのだ。

 では、どうやって磨く部位を判別するのか。 そのポイントとなるのが、本体内に搭載された3D加速度センサー。このセンサーが歯ブラシの角度を検知して、現在磨いている部位を判別してくれるのだ。3D加速度センサーは歩数計でも歩数のカウントのために搭載されているお馴染みのセンサーだが、歩数計も作るオムロンならではの技術といえるだろう。

 さっそく電源スイッチをONにし、本体を傾けてみると、確かに本体の角度によって振動が変わる。ブラシの動きの変化は肉眼では確認しづらいが、運転音は明らかに変化している。この3モードの役割をもう一度説明すると、以下の表のようになる。


運転モードブラシの角度ブラッシング箇所1分間の振動数ブラシの振動方向
ポイントスウィング0度歯のかみ合わせ面約32,500回上下
ポケットスウィング45度歯周ポケット約27,000回上下
ワイドスウィング90度奥歯の側面約20,000回左右


オートスイングモードが角度によって運転を変える様子。動画では消しゴムを歯に見立てている

 少しわかりにくいのが、ポケットスウィングが磨く「歯周ポケット」という部分。これは歯と歯茎の間にある溝のことで、歯垢や歯石が特に溜まりやすい場所。そのため、ほったらかしにしておくと歯周病を引き起こす危険のある部位だ。このポケットスウィングなら、歯周ポケットに毛先をやさしく入り込ませブラッシングできるとのこと。つまり、「毛先みがき」が実現できるのである。


角度の判定はやや厳し目だが、それを上回る心地よさ

 前置きはこのあたりにしておいて、ともかくブラッシングを始めよう。電源を入れて、オートスイングモードで運転をスタート。

 まずは奥歯のかみ合わせ部分にブラシを当てると、説明書に書いてあった通り、ポイントスウィングモードで運転する。磨き心地はかなりパワフル。これなら奥歯の窪みに入った食べカスなどもしっかりと掻き出せることだろう。

 奥歯を磨く際に“おっ、これは”と思ったのが、ブラシが奥まで届きやすいということ。本体の形状を改めて見てみると、本体とブラシが一直線ではなく、S字型に湾曲しているのだ。そのためブラシが口や歯に当たらずに、奥までスルッと入っていく。センサー機能に気を取られてしまったが、実はデザインにも細かな配慮が届いている。

S字型に湾曲した本体。奥歯までスルッと届く感触があった他製品との本体デザインの比較。HT-B551がいかに湾曲しているかがわかる(写真左。中央はフィリップス「ヘルシーホワイト」、右はパナソニックの「ドルツ イオン」)

 では次に、ポケットスウィングモードで歯周ポケットを磨こうと、本体を45度に傾けてみる。……が、なかなかモードが変わってくれない。角度が甘かったのかなと、さらに傾けると、傾けすぎてワイドスイングモードになってしまった。

 実は本製品には、本体の角度を45度にすると、本体のモニター部が青ランプに点灯する「45度お知らせランプ」という機能もある。さらに、「45度親指ポイント」という、親指を当てると本体が45度になりやすいマーキングも用意されている。しかし、これらを参考にしてもなかなか45度にキープするのは難しい。使用し始めて3週間ほど経った今はコツを掴んだためそれほど難儀しないが、慣れるには時間が必要だ。

本体を傾けて、角度を45度に保とうとしている動画。角度判定が厳しく、なかなか45度をキープしにくい

親指を当てると本体が45度になりやすいマーキング「45度親指ポイント」角度が45度になると、本体のモニター部に「45」の青いランプが点灯する「45度お知らせランプ」


 と、ポイントスウィングモードの不満を言ってしまったが、磨き心地はとても心地良い。速すぎず、遅すぎず、歯茎も痛くならず、本当に絶妙なスピードで磨いてくれる。磨き終わった後は、歯周ポケットの辺りが見事にツルツルになっている。

 最後に、本体を90度に傾けてワイドスウィングモードで運転。これまでの2モードと比べると振動がゆっくりなので少々もどかしいが、歯茎への負担はほとんど感じない。電動歯ブラシは、“振動が速すぎて歯茎に悪い”という指摘も一部ではあるが、このモードならそういった不安はあまり感じられない。

 ちなみに、ポケットスウィング/ポイントスウィングモードはそれぞれ独立して運転も可能。しかし、それでは本製品のコンセプトである「磨き分け」が、いちいちモードを変えながらでしかできなくなる。なるべくなら、オートスウィングモードを使いこなしたいところだ。

運転モードは、本体の「SWING」ボタンを押して変えられる。写真は「オートスイングモード」ポケットスウィングモードとポイントスウィングモード(写真)は固定して運転できる

 以上、ブラッシング方法を中心に紹介してきたが、部位毎に適したブラッシングができる点では、他の電動歯ブラシにはない価値がある。特に、角度45度の「ポケットスウィングモード」は、他の電動歯ブラシにはない機能だ。“電動歯ブラシは使い方がよく分からない”“歯茎を痛めそうでイヤ”という電動歯ブラシ初心者にはもちろん、“電動歯ブラシ使っているんだけど、歯垢があんまり取れていない”という人の乗り換え機種としてもお勧めしたい。


 というわけで、今回は基本的なブラッシング方法に集中して紹介したが、実は本製品には「歯間も磨けるアタッチメット」や「ブラッシング時間を教えてくれる充電器」など、他の電動歯ブラシには見られない付属品がある。明日はこれらの部分を紹介しよう。



2009年7月30日 00:00