部位ごとに最適なブラッシングができる、オムロンヘルスケアの電動歯ブラシ「メディクリーン HT-B551」。前回は角度ごとに振動スピードを変えるその独特のブラッシング法を取り上げ、歯周ポケットがしっかり磨けたり、歯茎にやさしいブラッシングができる点を紹介した。2回目となる今回は、付属品などその他のポイントについて触れてみたい。

オムロンヘルスケア「メディクリーン HT-B551」	パッケージを開けたところ。本体とブラシ3本、充電器が付属する

ブラシは本体に差し込んで使用する。左から「ロングすき間みがきブラシ」、「トリプルクリアブラシスリム」、「極細マイルドブラシスリム」

　まずはブラシから見ていこう。ブラシは全部で3点同梱されており、3種類の植毛が歯垢を効果的に除去するという「トリプルクリアブラシスリム」、柔らかい植毛の「極細マイルドブラシスリム」、歯のスキマなど、普通のブラシでは磨きづらい部分を1カ所ずつ磨く「ロングすき間みがきブラシ」がある。

　それぞれのブラシを使い比べてみると、トリプルクリアブラシは固めで、しっかりとパワフルに磨ける印象。極細マイルドブラシスリムはかなりソフトで、歯茎を痛めることもなさそう。「ポイントスウィングモード」で使ってみたところ、歯周ポケットにもやさしくブラシが入り込んでいく感覚があった。ロングすき間ブラシは先細のブラシが歯間にキュルキュルとブラッシングするので気持ちが良い。歯全体は磨けないので、歯垢が溜まりやすい部位にピンポイントで使いたい。

効果的に歯垢が除去できるよう3種類の毛を組み合わせた「トリプルクリアブラシスリム」。使用感は固め	「極細マイルドブラシスリム」は、「トリプル～」と比べると柔らかく、歯茎にやさしい	歯並びが悪い部分をピンポイントで丁寧に磨く「ロングすき間みがきブラシ」

　トリプルクリアブラシスリムと極細マイルドブラシスリムについてひとつ気になった点がある。それは、本製品を使い始めた最初の1週間「ブラシが小さくて磨きづらい」という印象があった。というのも、私が今まで使っていたフィリップス「ソニッケアー」のプロリザルツブラシと比べると、表面積がだいぶ狭いため、歯全体を磨くのに時間がかかってしまったのだ。

　徐々に時間が経つにつれ使い方にも慣れたため、今ではブラッシングに手間取ることもなかったが、普段から大きなブラシに慣れている人には、面倒臭く感じてしまうかもしれない。逆に考えれば、より細かい部分がちょこちょこと磨けるため、口が小さい女性や子供、細部までしっかり磨きたいという人には向きそうだ。

ソニッケアーの「プロリザルツブラシ(左)」と比べると、トリプルクリアブラシは表面積が狭い	ちなみに、トリプルクリアブラシスリムと極細マイルドブラシスリムのブラシの裏には、歯に接触した時の振動を和らげる「ブラシクッション」が備わっている

HT-B551/550用のブラシは、他のメディクリーンシリーズとの互換性がない。かならず専用のものを購入しよう(写真は誤って購入した、HT-B200/400/900シリーズ用のブラシ)

　ここで替えブラシの話にも触れておきたい。ブラシは当然ながら消耗品で、毛先が開いてきたら別売りの替えブラシを購入する必要がある。

　HT-B551用の替えブラシは、トリプルクリアブラシスリムが「SB-071」、極細マイルドブラシスリムが「SB-081」、ロングすき間みがきブラシが「SB-091」というものになる。

　気を付けてほしいのが、ほかのメディクリーンシリーズのブラシは使えないこと。ブラシ自体は同じように見えても、本体には取り付けられないのだ。必ずパッケージの対応機種欄を確認しよう。

　さて、このHT-B551用の替えブラシだが、他社の高級電動歯ブラシシリーズよりも割安な価格設定も魅力だ。以下に、実売1万円以上の電動歯ブラシのラインナップと、それに対応する替えブラシの実売価格をまとめてみた。なお、価格は家電量販店「ヨドバシカメラ」のネットショップでの価格を参考にしている(価格は7月30日時点)。

　ご覧のように、メディクリーンの替えブラシ「SB-071」が、最も安くなっている。フィリップスの「プロリザルツブラシヘッド」と比べると、2倍以上の価格差がある。もちろん、それぞれのブラシに機能や性能に差があるのは当然だが、電動歯ブラシはブラシの消耗が激しいため、こうした消耗品のコストも重要だ。というわけで、消耗品の安さでは、他の高級タイプと比べてもHT-B551は有利だ。


●充電器に付属のタイマーはイマイチ。機能を省いた「HT-B550」も選択肢に入れたい

　最後に紹介するパーツが充電器。電源をコンセントに入れ、電動歯ブラシ本体を差込口に入れて充電する。電動歯ブラシと充電器には金属の接点はなく、電磁誘導による無接点充電方式を採用する。電池はニッケル水素電池で、充電時間は約16時間、消費電力は約2.5Wとなっている。

充電器(左)と、それに接続するブラシスタンド	ブラシスタンドは写真のように組み合わせる	充電台に載せるだけの無接点充電

充電台から本体を取り外すと、充電台の外周のランプが点灯、目安となる2分を知らせる仕組みとなっている

　この充電器、実はタイマーとしての機能も果たしている。本体を充電器から取り出すと、充電器の外周のランプが点灯。以後、20秒ごとにランプが点灯し、ブラッシングの目安となる2分間を知らせる仕組みになっている。

　しかしこのタイマー、実のところまったく参考にしていない。というのも、行儀が悪い話で恐縮だが、私はブラッシング中にウロウロ歩いたり、テレビを見たりなどしているため、常に充電器の前にいるわけではない。しかも、運転は3分でオートオフになるので、そちらの方を時間の参考にしている。

　2分間のブラッシングが重要なことはわかるが、メディクリーンの下位機種「HT-B458」などに搭載されている30秒ごとに本体が振動する機能のほうが、どのような状況で使っていても時間が分かると思うのだが……。

　この「お知らせタイマー機能」は、ワンランク下のHT-B550では省かれており、普通の充電器を使用している。価格も12,900円(価格はAmazon.co.jp 7月30日時点)と割安なので、こちらをチョイスするという手も十分ありだろう。ただし、HT-B550ではブラシがトリプルクリアブラシのみで、ポイントスウィングモードの単独運転ができなくなっている。


●歯周ポケットを磨きたい人は特にお勧め

　さて、2日にわたって紹介してきたHT-B551だが、総合的に見れば、1万円を越える高級機種として、十分な機能を備えていると感じた。ブラッシングでは、部位毎に自動で最適な適したブラッシングができるという他の製品にはないメリットがあり、またS字型のデザインも、奥歯に届きやすくて良い。3種類のブラシはそれぞれに特徴がある。交換用ブラシも比較的安めで、コストも押さえられるのもうれしい。

　個人的には、ポケットスウィングモードで歯周をちょうどよいスピードでブラッシングできるのが特に気に入っている。前回でも述べたが、歯茎が痛くならない程度に、しかししっかりとブラッシングできる絶好のスピードなのだ。歯医者さんに行くと「歯と歯茎の境目が磨けていない」と診察されることが多いが、メディクリーンを使い続けていれば、いずれは「ちゃんと磨けてますね」と言われることになるだろう。というわけで、歯と歯茎の境目“歯周ポケット”をしっかりと磨きたいという人には、特にお勧めしたい。

●パナソニック/ブラウン/フィリップス、三つどもえの高級機市場になぐりこんだ意欲作

HT-B551/550は、オムロンでは珍しい1万円以上の高級電動歯ブラシとなる(写真は他社製品との比較。中央はフィリップス「ソニッケアー ヘルシーホワイト」、右はパナソニック「ドルツ イオン EW1045」)

　また、現在普及している高級ゾーンの電動歯ブラシには満足できないという人にもお勧めだ。というのも、オムロンは1万円未満の比較的安価な製品を展開してきたが、このHT-B551/550は、実売1万円以上の高級ゾーンの製品となる。電動歯ブラシの市場は、高級ゾーンの製品はこれまでパナソニック「ドルツ」、ブラウン「オーラルB」、フィリップス「ソニッケアー」の3つが中心となっているが、本製品を以ってその市場に本格的に参入することとなった。つまり、オムロンが新しい市場の開拓を狙った“意欲作だ。「新しモノ好き」人の興味を引く話ではないか。

　家電量販店の電動歯ブラシ売り場でも、既にHT-B551を展示している店は多い。店頭で製品を手に取って、角度ごとに変わる運転音を体感してみてほしい。