家電製品ミニレビュー

85歳のバアちゃんがルンバ初体験! 果たして満足してくれるのか!?

 ルンバと言えば、共働き家庭の強い味方だ。センサーやカメラで室内を解析し、自動で掃除してくれるので、時間がない人や、家にいる時間がすくない人でも、室内を清潔に保つことができるからだ。もちろん共働き夫婦だけでなく、都市部の子育て家庭でも、家事を軽減できるとあって人気だ。

 その一方、最先端の技術に、ロボットという言葉が組合わさっていることで、使うのが難しそう、使いこなせないという声が多いのも事実。しかし、実際、ルンバを使ってみると、実はとっても簡単で、子供でも操作できることがよくわかる。

バアちゃんちを走り回る「ルンバ980」

 そこで、考えたのが、高齢者とルンバの相性だ。高齢者にとっては掃除というのは重労働で、大きくて重い掃除機を持ち運ぶのは一苦労……本来ならば、高齢者こそルンバとの相性がいいのではないか。そんな風に考えて、今年85歳になる義理のバアちゃんの家に、アイロボット「ルンバ980」を持っていってみた。

 「すごいもんだねぇ……これが勝手に掃除してくれてるの? 何にもしなくていいの? へぇ……」

 バアちゃんは、ルンバ980が部屋を動き回るのを初めて見ると、しきりと驚いていた。ロボット掃除機自体を知らなかったのだから、当然だろう。そもそもロボットが自動で室内を掃除するということを信用していない様子もある。

 「自分で掃除した方がきれいになるんじゃない? 部屋もそんなに汚れないし、音もけっこうするから、いらないよ」

 2世帯住宅の1階に住んでいるバアちゃんは、そう言っていたものの、ルンバには興味津々の様子だ。そこで、「そう言わずに、次に来る時までに使ってみてくださいよ。それで要らないと思ったら、持って帰りますから」と言って置いてきた。

メーカー名iRobot(アイロボット)
製品名ルンバ980
購入場所yodobashi.com
購入価格131,990円

「腰をかがんで掃除しなくてもいいから、ラクさせてもらってるよ」

「けっこうキレイに掃除してくれるんだよ」と満足そう

 それから2週間。バアちゃんが、ルンバと仲良くやっているか見に行った。

 「ルンバは、役立ってますか?」と聞くと、「別に部屋がそんなに汚れるわけでもないし、要らないと思ってたけど、けっこうキレイにしてくれるんだねぇ。私が掃除するよりも、ずっとキレイにしてくれるよ」と、2週間前よりも、かなり好意的になっていた。

 「これが、テーブルやベッドの下も掃除してくれるから、すっかり助かっちゃってるよ。腰が痛いから、そういうところを掃除するのが大変でね……掃除機とかホウキとかで掃除するのは。でも今は、これがちょこまか動いて、色んなところを掃除してくれてるよ。

 少し音がうるさいなって思ってたけど、散歩する時に動かしてるよ。ボタンを押すだけだからね。あとは散歩して戻ってくる頃には、だいたい終わってるみたいだよ」

基本的には掃除したい時に、本体上面にある「CLEAN」ボタンを押すだけで掃除が始まる
「いつもは足でボタンを押してるんだけどね、今日は写真に撮られるから、手で押すよ(笑)」

 良かった。どうやら嫌ってはいなそうだ。むしろ、今までは腰や膝をかばいながら掃除しなければならなかった場所を、ルンバが掃除するようになって、助かっている様子。

 実際、ルンバは10cm以上の高さがある場所なら、入り込んでいく。ホコリの溜まりやすいベッドの下も、すいすい入って掃除できる。そんなふうに、自分の代わりに一生懸命掃除しているルンバに、バアちゃんは、愛らしささえ感じているようだ。

今までは腰をかがんで掃除機がけしていた座卓や椅子の下も、ルンバが掃除してくれるようになり、だいぶラクになったという
もちろんベッドの下もすいすい入っていく
「敷居も越えて、部屋中を掃除してくれてるよ」

 「何度か掃除しているところを見てたけど、なかなかキチンと掃除しているよ。敷居も越えて、居間だけじゃなく、寝室とか台所もちゃんと掃除してくれる。玄関まで行っちゃうのにはびっくりしたよ。しかも、ちゃんと、落ちないようになってるんだねぇ」

 バアちゃんが住んでいる1階は、畳の寝室・仏間・居間があって、フローリングの台所と廊下、玄関がある。それぞれの部屋の境目には敷居や段差があるのだが、ルンバは難なく越えていくようだ。

 もちろん、本体前部の下方向に付いているセンサーで段差を感知。玄関などでは、方向転換して落下しないようになっている。といっても、即座に安全な場所に退避するわけではなく、際の部分を何度も往復しながらじっくりと掃除してくれる。

居間と台所の境界も難なく越えていく
台所と廊下の境目は、1cmほどの高さがあるが、やや躊躇した後で越えていった
玄関の高低差をしっかりと把握。危なげない動きで、マットの上も含めて、隅々まで掃除していった

「細かいゴミまで、キレイに取って行ってくれる」

大容量のダスト容器。バアちゃんの家ならしばらくは余裕で持ちそうだ

 「どのくらいゴミが取れてるか見たことある?」と聞くと、「そんなもの見たことないよ。わたしは(スタート)ボタンを押すだけだから」。

 ということで、本体をひっくり返して、ダスト容器を外してみた。

 「けっこう取れてるもんだねぇ。畳やお菓子のカスもこんなにあるんだ。ホコリもいっぱいだね」

 ルンバ980の重さは約3.9kg。正直、バァちゃんがゴミ捨てなどのメンテナンスをするのは難しい。それでも、ダスト容量の大きさからすれば、しばらくはゴミを捨てなくてもよさそうなので、一緒に住む家族や、帰省する子や孫の誰かが気がついて、捨ててくれるだろう。

本体の裏側。赤い部分がダスト容器。2つのローラーでゴミを浮き上がらせて、吸い取っていく
エッジクリーニングブラシは壁際のゴミを、かき出すためのもの

「勝手に戻ってくれるんだよ。ほんとに何にもしなくていいね」

「自分で戻っていくなんて、ほんとに賢いねぇ」

 バアちゃんは、ルンバの動きにも興味津々だった。

 「一番びっくりしたのは、勝手に(充電台に)戻ってくることだね。最初にそう説明されたけど、ほんとうに毎回、ちゃんと戻ってきてるよ。あれはどうやって戻ってきてるんだろうね? 一度も迷ったことがないよ。私は、ボタン以外を触ってないからね(笑)」

 ルンバは一度の充電で、最大120分くらい掃除しつづける。仮に掃除中にバッテリーが切れそうになると、充電台であるホームベースが発している赤外線を頼りに自動で戻り、充電する。そして充電されると、また残りの掃除を自動で始める。

掃除が完了または、バッテリーがなくなると自動で充電台に戻って充電する
灯台のように赤外線を発している充電台を自動で見つけ出して、戻るのだ
掃除の途中でも、ホームボタンを押せば、強制的に充電台へと戻る仕組み

 「動き方も、賢そうなんだよ。壁とか物に強くぶつかるようなこともないね。ぶつかる! って思うと、動きがゆっくりになって、近づいていくんだよ。窓やソファも、きちんと沿って掃除してる。どんな仕組みなのか、私には見当もつかないね~」

 あまり細かくは説明しなかったけれど、これは本体の前方に設置されたセンサーによるもの。センサーが壁などを感知すると、自動的に速度を緩めて、ガツンッ! とぶつからないようにしている。その後に、ソッと物に当たると、本体前面のバンパーが押されて、物があることが分かり、方向転換するという仕組みだ。

窓や家具などの障害物を感知すると、速度を緩めて、ゆっくりと近づく
座卓の脚の周りもガツガツと当たることなく、こまめに方向を変えながらグルリとキレイにしていく
壁ぎわのゴミも、エッジクリーニングブラシで掻き出してくれている

頻繁なメンテナンスが不要なのが嬉しいポイント

 バアちゃんの家で、どのくらい最新ルンバの性能を引き出しているかはわからない。それでも、120分の長時間駆動や大容量のダスト容器をはじめ、髪の毛や絨毯の毛などが絡みにくいローラーなどのお陰で、ほぼメンテナンスフリーで使ってもらえるのはありがたい。

 失敗することなく、充電台に戻ってくる確実性の高さも、かなりポイントが高い。これがもし、部屋のどこかで停まってしまうことがあれば、バアちゃんが重いロボット掃除機を、充電台まで戻さなければならない。その時点で、面倒になって使わなくなってしまうはず。

メンテナンスはひ孫の顔を見せがてら、筆者が担当するのもいいかも

 最初は半信半疑だったが思ったよりも使いこなしているし、今のところ、ルンバ980の働きに、バアちゃんは満足している様子。あとは数週間に一度、ひ孫の顔を見せに行く時に、ダスト容器などのメンテナンスをしてあげればいいだろう。

 最後に、ルンバ980ではスマートフォンとの連携機能も搭載している。アプリと連動させることで、さらにルンバを便利に使えるというものだ。スマホを持っていないバアちゃんには、説明はしなかったが、ルンバ980をさらに活用したいなら、スマホアプリが便利だということを追記しておく。

 ほとんどメンテナンスが必要なく、ワンボタンで簡単に操作でき、掃除の基本性能にも信頼がおけるロボット掃除機「ルンバ980」。若い世代のものだけにしておくのはもったいない! 親や祖父母の世代に、使ってもらうのにも、ぴったりな1台だ。

河原塚 英信

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