家電製品ミニレビュー

夏の食卓をワンランクアップする“大人の氷かき器”

ドウシシャ「大人の氷かき器 CDIS-150WH」

 ふわっと口溶けするかき氷は、食感も見た目も涼しげな夏に欠かせない風物詩だ。今回は、数多く出回っている家庭用かき氷器の中から、ドウシシャの「大人の氷かき器 CDIS-150WH」を紹介しよう。

メーカー名ドウシシャ
製品名大人の氷かき器 CDIS-150WH
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,936円

 大人の氷かき器の筆頭となる特徴は、コードレスでハンディタイプという点。本体は持ちやすいボトル状で、単三形乾電池4本で作動するので、電源コードを取り回す煩わしさはもちろん、腕も疲れない。キッチンや卓上など、好きな場所でボタンを押すだけで、簡単にかき氷が楽しめる。氷は家庭用の冷凍冷蔵庫で作ったアイスキューブを使うので、さらにお手軽だ。

 サイズは、950×100×315mm(幅×奥行き×高さ)で、乾電池を含まない重さは0.76kg。構成は、回転する氷押さえ板のついた本体、氷ケース、インナーリング、刃ユニットの4つ。本体と氷ケース、氷ケースと刃ユニットの2箇所を回すだけで、簡単に分解できる。専用のスタンドが付属する。

本体
1.5Lペットボトルぐらいの大きさ
分解したところ。左から専用スタンド、本体、氷ケース、インナーリング、刃ユニット

準備は簡単。製氷皿で作った氷でOK

 準備はとにかく簡単だ。本体の裏面にある電池ケースのふたを開け、乾電池ケースに単三形乾電池を4本入れて本体にセットするだけ。次に氷ケースから本体をはずし、氷をセットする。氷かき器を器やグラスの上にかざして、本体のスイッチを押せば、小気味良く削った氷が出てくる。スイッチから指を離せば止まる。

 氷は冷凍冷蔵庫の製氷器で作った氷を使う。わざわざ専用の氷を作る必要がないので、あらかじめ準備しなくていいのはラクだ。1度に削れる氷の量は約120gだが、氷ケースの外側、インナーリングの内側に「氷入れ上限」が記されているので計量する必要はない。氷が多すぎると、本体が取り付けられなくなるので、そんな時は氷を減らせばよい。

分解は道具も要らず、回すだけ。氷を入れる時に、氷ケースから本体を外して氷を入れセットする(上)。刃ユニットを回せば、氷ケースから外れる
表示に従って単三形乾電池4本を電池ケースに入れ、本体にセットする(上)。運転はボタンを指で押し、止めたい時は指を離すだけ。器具が完全にセットされないと動かかない仕組みだ
一度に入れられる氷の量は120g弱だ。本体を氷ケースに取り付ける際、きちんとセット出来ない時は氷を減らす

 氷を削る仕組みは、なかなか良く出来ている。氷を入れて本体をセットすると、スパイクの付いた「氷押さえ板」が氷を押さえ、「インナーリング」内で固定される。スイッチを入れると、氷押さえ板が回転するとともに、板とインナーリングの凹み同士が噛み合って、インナーリング全体も氷ケース内で回転する。氷押さえ板のスプリングは氷を押し出し、35mm幅の刃が氷を次々と削っていくという仕組みだ。

 セットした120gの氷は約46秒でカラになり、1人分のかき氷に適した量の、約110gのかき氷が1回の運転でできた。説明書によると、連続運転は1分以内とされているが、これなら時間をいちいち計測する必要はないだろう。

氷を削る刃は35mm幅で、刃ユニット内側に0.5mm突き出している。手入れの際は気をつけよう(上)。スプリングの付いた氷押さえ板が、氷をインナーリング内でしっかり固定する
118gの氷から、46秒で106gの削った氷ができた(上)。12gはケース内に削れずに残った

 再運転は30秒以上時間をあけるとしているが、その時間は冷凍庫から氷を出し、セットするのに充てられる。なお、連続運転は6回までとし、それ以上は1時間以上の時間をあける必要がある。

氷を削る様子。フレーク状の削れた氷が出てくる。削る音は生活の邪魔にならない程度の大きさだった

料理や飲物にも応用できる、細かく、軽い口当たりのかき氷

出来上がった氷の口当たりは、時おり氷の小さな塊を感じるものの、想像よりも細かく、さらさらと柔らかい。

 イチゴシロップと練乳をかけ、さっそく「いちごミルクかき氷」としていただいた。さすがに専門店でいただくような”綿のようなフワフワのかき氷”というわけにはいかない。だが、家庭で気軽に楽しむ分には十分だと感じた。

 削った氷は普段の食事にも利用できる。大人の氷かき器には、料理に削った氷を利用した「おとなの贅沢レシピ」が付属している。レシピ数は7種類掲載されており、その中からサラダとデザート、飲み物2種を作ってみた。

削った氷は細かなフレーク状。氷の粒は多少残るがさらさらと柔らかい
イチゴシロップと練乳をかけていただいた。美味しい!
付属のレシピ集。7種類のレシピが掲載されている
彩りルビーサラダ

 最初に作ったのは、トマト、グレープフルーツ、2色のパプリカを使ったサラダだ。塩をひとつまみ加えたグレープフルーツジュースを凍らせて削り、冷たいドレッシングとして味わうのがとても新鮮だ。作り方は、サラダの材料を皿にならべ、その上に凍ったグレープフルーツジュースのかき氷をかける。氷の上に生のグレープフルーツを盛り、オリーブオイルをかけ回せばできあがりだ。

 これがなかなか美味しかった。少し塩気のあるグレープフルーツのかき氷は、シャクシャクとした食感がアクセントになり、涼感は満点。野菜に載せて口に運ぶと、あっという間に溶け、野菜の甘味が一層引き立った。肉料理にもピッタリな、夏の食卓を色鮮やかに、楽しくするひと品となった。

塩をひとつまみ入れた100%のグレープフルーツを製氷器で凍らしておく(左)。サラダの上に削っている様子
レシピに沿って作った彩りルビーサラダ。色鮮やかで見た目も涼しげだ
グレープフルーツの氷が溶け、爽やかなドレッシングのように口に広がった
フローズンフルーツパンチ

 次に作ったのはデザート。サイダーを凍らせた氷を使って、フルーツパンチに削ったサイダーの氷をかけたものだ。フルーツパンチはレシピに添って、パイナップル、りんご、バナナ、ブルーベリーを切って、アセロラジュースで混ぜたもの。その上にサイダーの氷を削りながらふんわりと載せ、ミントの葉をちらしてできあがり。

 アイスキューブを入れるのとは違い、食べ終わるまでずっと冷たく味が薄まらない。炭酸はほとんど感じられなかったが、果物を絡めて口に運べば氷が溶ける食感と、果物の食感が交じり合い、冷たくてとても美味しい。夏はもちろん、冬場の鍋料理の後にも楽しみたいと思ったほど気に入った。

サイダーを凍らせた様子。炭酸はほとんど抜けてしまったようだ
出来上がったフローズンフルーツパンチ。味も薄まらず最後までヒンヤリ美味しくいただけた。季節の果物での応用はもちろん、甘くなかったハズレの果物にも利用できそうだ
シャリシャリモヒート
クラッシュアイスよりも、よりキンキンに冷えたモヒート。暑い日にはピッタリな爽やか満点の飲み物!

 一般的に、モヒートは砕いた氷を使うが、大人の氷かき器を使えばより簡単にできる。モヒートを作り、クラッシュアイスの変わりにグラスの上からかき氷をたっぷり注いでいくだけで完成する。

 クラッシュアイスよりも、キーンと冷えたモヒートはたまらなく美味しい。暑い夏の休日の午後にピッタリな一杯となるだろう。ホワイト・ラムは入れずにアルコールフリーにすれば、食事にも風呂あがりにも合う、爽やか満点の飲み物になる。

梅酒レモンサイダー
アイスキューブを使うよりもキュッと冷え、口当たり良く飲みやすい梅酒のソーダ割り。割物のお酒全般に合うだろう

 こちらは梅酒にレモンを絞り、ソーダは少なめに入れ、かき氷をたっぷり入れ、軽く混ぜればできあがる簡単なお酒だ。グラスを傾けてもアイスキューブを使った時のように、氷の塊が唇を直撃せずに、キンキンに冷えた梅酒が口の中いっぱいに広がり爽快!ついグイグイ飲んでしまった。これは、ハイボールや焼酎などの水割り、ソーダ割り、フローズンドリンクに応用が効くだろう。

夏の食卓をより楽しく

 使っていて気に入ったのは、削った氷を器に確実に狙える点だ。削った氷は約3cm幅で出てくるので、コントロールが簡単。直径が6cm程度のグラスでも、周りを汚さずに確実に入れられた。実際に、撮影中も付近を拭く手間がほとんど起こらなかった。

 加えて、本体が転がりにくいのも良い。本体の頭頂部は八角形なので、氷ケースにアイスキューブを入れる際、本体を安定して寝かせて置ける。また、削るのを中断した時、器具を専用スタンドに立てておけば、内部の氷が多少溶けても周囲を汚さないので、食卓でも使いやすかった。

 手入れは簡単だ。分解して水洗いし、拭いてよく乾かしておくだけでOK。注意点は、本体部分にモーターが入っているので、水にはつけない事。

直径6cmのグラスにも確実に入れられる(上)。グラスから10cm離すと氷がさすがに飛び散った
本体の頭頂部は八角形なので、安定して寝かせておける。氷が残っていてもスタンドを使えば溶けた氷の水で周囲を汚さない
直前に冷やしたほうが美味しいフルーツにも削った氷は利用できる。数分でさくらんぼはキリッと冷えた

 気になる点は、1度に削れる氷の量がたっぷりとは言い難い点。かき氷なら1回の給氷で1人分程度なので、複数分作ろうと思ったら少々気ぜわしい。また、電池残量がわからないので、使い始めはいつ電池切れを起こすかヒヤヒヤした。

 とは言うものの、大人の氷かき器はコンパクトなので食卓でも気軽に使える。人数分を分けて作っても、家族や友人とワイワイやりながらの「イベント的ワクワク感」が自ずと生まれ、テーブルを囲む人の気分が盛り上がること請け合いだ。

 電池持ちに関しては十分だろう。今回、満充電したエネループ4本を使ったが、トータルで20回、合計2kg分の氷を削っても電池切れは起こらず、まだまだイケそうだった。

 大人の氷かき器は価格も手頃で、出しっぱなしにしてもさほど場所を取らない。冷凍庫に氷があれば、思い立った時にボタンひとつであっという間に氷が削れる手軽さはかなり魅力的だ。夏の食卓を、より一層楽しいものにする調理家電として、大いにおすすめしたい。

藤原 大蔵