家電製品ミニレビュー

360°送風で空気をかき混ぜる、サーキュレーター発想の衣類乾燥除湿機

象印マホービン「サーキュレートドライ RJ-XA70」

 しとしとと雨が降り、スッキリしない天気が続く梅雨の時季は、洗濯物を部屋干しする日も増えがち。室内がじめじめしたり、生乾きのニオイが漂ったり、部屋の中までスッキリしない。

 そんなときに活躍するのが、衣類乾燥除湿機。今回はその中でも、象印マホービンから登場した新発想の衣類乾燥除湿機「サーキュレートドライ」を紹介しよう。

メーカー名象印マホービン
製品名サーキュレートドライ RJ-XA70
購入場所Amazon.co.jp
購入価格34,942円

 どこが新発想かというと、まず一般的に衣類乾燥除湿機は四角いものが多いが、これはスタイリッシュな円柱形だ。さらに大きな特徴は、空気を吹き出すルーバーが360度動くということ。これにより、洗濯物に風を当てるだけでなく、部屋全体の空気をかき混ぜながら乾燥させ、洗濯物をムラなく乾かせるという。

 ちなみに除湿面積の目安は、木造住宅和室で13平方m(8畳)、プレハブ住宅洋室で20平方m(12畳)、コンクリート住宅洋室で26平方m(16畳)だ。

ルーバーが360度動くので、部屋全体に行きわたる

 さっそく洗濯物を部屋干しして、その性能を確かめてみた。まずは洗濯物を2段に分けてハンガーに吊り下げる。ワイシャツやTシャツ、タオル、デニムパンツなど、生地の素材はさまざまだ。

 送風幅は、60度、120度、180度、360度から選べるが、今回は物干しの端から端まで行き届く120度を選択。また上下スイングは、下方向30度、上方向60度、上下方向90度とあるが、今回は上下ともに乾かしたいので「上下方向90度」に。5段階から選べる風量は、一番強い「強」にした。その時点で湿度は60%だった。

同時に上下に90度スイングする
運転コースは、イラスト入りのボタンで選択しやすい
洗濯物はなるべく風が当たりやすいよう配慮
洗濯物を干してしばらくすると、湿度が55%から60%に上昇

1時間40分で薄手の服はほぼ乾いた!

 運転開始から1時間40分後、乾き具合をチェックすると、すでにワイシャツやTシャツのような薄手の服は、おおかた乾いていた。一方、デニム地のパンツや後方にあるバスタオルは、まだ湿っている状態だ。室内の湿度は48%まで下がっており、かなり乾燥効果は出ているのが分かる。

 そして運転開始から約4時間後、湿度は40%まで下がり、洗濯物はデニム地のパンツのポケット部分を除いてすっきりと乾いた。

 実際、どれくらいの水分が吸収されたのか。タンクを引き出してみるとなみなみと水が溜まっている。部屋にこんなに多くの湿気が溜まっていたのかと思うと驚きだ。水量は約1.6Lあったが、2.8L溜まると運転が自動で停止する仕組みになっている。

1時間40分経過時点で48%、4時間経過時には40%と、運転開始時より20%も下がった
本体前側にあるタンクは簡単に引き出せる
フタを外すと、1.6Lもの水が溜まっていた

少量であれば50分でほぼ乾くパワフル送風

 このサーキュレートドライのメリットは、送風幅を細かく調整できる点だ。特に急いで乾燥させたいときは、集中的に強い風を送ることで、少量であれば50分で乾かせることができるという。

 そこで試しに、シャツ3枚を乾燥させてみることに。洗濯物全体に風が行きわたるようルーバーの動きを調整し、強モードで50分運転したところ、多少湿っぽいところもあったが、ほぼ乾かすことができた。これなら朝起きて、「今日着る服を洗濯し忘れた」というときも、間に合うかもしれない。

 さらに温湿度センサーが部屋の状態を見張り、消費電力を抑えながら運転する「エココース」や、風量とルーバーの回転速度を抑えて運転音に配慮した「夜干しコース」も搭載しているので、ライススタイルに合わせた使い方も可能だ。

シャツの左側から当たるようにしたため、右側が少し湿っぽかった
向きを変え、10分追加運転したところ、完全に乾燥させることができた

ゼオライト式は室温が上がるのがネック

 衣類乾燥除湿機の除湿方式には、「コンプレッサー式」「ゼオライト(デシカント)式」「ハイブリット式」の3種類あるが、このサーキュレートドライが採用しているのは、ゼオライト式だ。

 ゼオライトとは、よくお菓子の袋に入っているシリカゲルのような除湿材。ファンから吸い込んだ湿った空気が、本体に内蔵されたゼオライトの間を通過する際、水分がそこに吸着されるため、乾燥した空気のみ吹き出すことができるのだ。

 ちなみにゼオライトに吸着した水分は、いったんヒーターで温められ、熱交換器で冷やされて水分に戻ってタンクに溜まる。ここでヒーターを使うため、室温が上がってしまうというデメリットがあり、今回も室温が5℃ほど上昇した。その一方、コンプレッサー式と違って室温が低くても除湿能力が落ちないため、一年を通して同じ性能を発揮できるというメリットもある。

梅雨はもちろん冬の活躍にも期待

 使い始めた当初、確かに運転中に温度が上がるのは気になったが、実際は日中あまり利用しない寝室で使用したこと、また外出中に運転させることが多かったため、普段使いに困ることはほとんどなかった。逆にこの温度上昇を利用して、冬に洗面室や浴室前で運転させれば、湿気を取りつつ暖房代わりにもなって一石二鳥だ。

 しいていえば本体重量9.5㎏あるものの、キャスターがついていないので、移動が大変だと感じる人はいるかもしれない。それを鑑みたうえでも、パワフルな乾燥性能、そしてスタイリッシュなデザイン性にこだわる人には、一考の価値ある1台だ。

田中 真紀子