家電製品ミニレビュー

本物の土鍋で炊きあげる! タイガーの高級炊飯器を使ってみた

タイガー魔法瓶「土鍋圧力IH炊飯ジャー THE 炊きたて JPX-A100」

 今回紹介するのは、タイガー魔法瓶の炊飯器、最上位モデル、その名も「土鍋圧力IH炊飯ジャー THE 炊きたて JPX-A100」だ。実売でも10万円弱という高級な炊飯器だが、一番の特徴は内釜に本物の土鍋を使っているということ。土鍋で炊いたごはんはおいしいというのはよく聞くが、炊飯器の内釜に土鍋を採用しているというのはタイガーだけだ。

メーカー名タイガー魔法瓶
製品名土鍋圧力IH炊飯ジャー THE 炊きたて JPX-A100
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格94,980円

 内釜は、3度焼きしたという「プレミアム本土鍋」で、熱対流による効率の良い加熱を促すため、口の部分が絞ってある独特の形を採用する。さらに、内釜をセットする部分も土を使った「本土かまど」を備える。内釜とかまどによる二重発熱構造によって釜全体を効率良く加熱するという。

 炊飯方式は、1.25気圧と1.05気圧を切り替える独自の「可変W圧力」を採用するほか、約280℃の高加熱を実現している。

 本体のデザインは、都会的でスタイリッシュな印象。人が近づいた時だけ浮かび上がる操作パネルに、スクエアデザインがすっきりとしている。かといって、操作が複雑なわけではなく、黒い背景に白い文字が浮かびあがる液晶は見やすく、音声ガイドもわかりやすい。

内鍋は3度焼きしたという「プレミアム本土鍋」で、専用のフタが付き「おひつ」としても使える
フタをしたところ
内釜をセットする部分も土を使った「本土かまど」になっている
本体にはカラーのレシピ集が付属する
操作パネルは人が近づくと浮かびあがる仕組み
スタイリッシュで都会的な印象のデザイン

ふっくらおこげごはんがおいしい!

 まず試したのは、タイガーイチ押しの炊飯コース「極うま白米」だ。通常の炊飯コースよりも時間も電力もかけて、おいしいごはんを炊き上げるというコースで、最近の高級炊飯器では、どこもこのようなコースを用意している。

 THE 炊きたてでは、火加減、仕上がりを3段階から選べる。火加減は最も強く、仕上がりはしゃっきりに設定して炊き上げた。炊飯時間は3合で約56分間。

3合を計測したところ。目盛りは見やすい
仕上がりと火加減は3段階から選べる
「極うま白米」は3合で炊飯時間は56分

 炊飯が始まると、本体は賑やかだ。「ジー」という音がするほか、途中、圧力をコントロールする「プシュー」という音も聞こえる。それほど、うるさいというわけではないが、聞き慣れないので家族からは「この音何?」という声が何回か出た。

 仕上がりは一言で言うと「ふっくら」。圧力をかけて仕上げているので、噛むともちもちとした甘みが感じられる。今回、火加減を強めに設定したので、底の方にはしっかりとしたおこげが! 実は、これこそ、タイガーの炊飯器の魅力。香りの良いおこげが日常的に楽しめるというのは、THE 炊きたてならではの魅力だ。

炊きあがり。ごはんのあまい香りが広がる
底の方にはおこげができていた
一粒一粒がふっくらと仕上がっている

 なお、早炊きにすると約半分ほどの時間でごはんを炊き上げられるが、私のおすすめはやはり「極うま白米」コースだ。一番の違いはやはりお米のふっくら感。早炊きコースにすると、お米の粒感が潰れてしまうように感じる。お米一粒一粒がふっくらと仕上がるのは、極うまコースならではだ。

土鍋が軽くて使いやすい

 使い勝手にも満足している。当初は土鍋の内釜ということで、「割ってしまったら、どうしよう」と不安だったが、慣れてくると、一般的な金属製の内釜に比べて軽くて、扱いやすい。手にしっかりと馴染むので、持ちやすく、移動もしやすい。

 内フタも一枚でお手入れしやすく、これならば50代の母でも使いやすいと感じた。

割ってしまうのが心配だったが、思ったよりもずっと扱いやすい
内フタは1枚
お米を研いだ後、本体にセットするときは、外側の水滴を拭き取る

1合炊きには向かない

1合で炊いたところ、火力が強すぎたのか、固い仕上がりになってしまった

 次に1合のごはんを「極うま白米」コースで、炊いてみた。炊飯時間は3合の時と同様、56分間。個人的にはこういう使い方はあまりしないのだが、シニア世代などでは少量炊飯へのニーズが増加しているというので、試してみたのだ。

 結果は、正直、良くなかった。火加減中くらい、仕上がりしゃっきりで炊いたのだが、火加減が強すぎて、全体がおこげのような仕上がりになってしまった。茶碗によそって食べたが、固くて歯に詰まってしまう。

 タイガーではTHE 炊きたてのラインナップとして3.5合炊きのモデルも用意しているので、少量炊飯はそちらにというスタンスなのかもしれないが、この結果は残念。というのも、普段は少量炊飯で充分だが、家族や孫が来た時用に5合炊きを買うという人もいるからだ。高額な製品なので、この部分も是非カバーして欲しい。

炊き込みごはんがおいしい!

 色々使った中で、特においしかったのが炊き込みごはん。ダシを含んだ水であらかじめ計量してから、最後に具をいれるスタイルで炊き上げたが、炊きあがりが絶妙。特に具が多めの炊き込みごはんの場合、お米がつぶれてしまったりするのだが、THE 炊きたてで炊いた炊き込みごはんは、全体がふっくらと仕上がった。

ゴボウ、タケノコ、鶏肉を入れた炊き込みごはん
炊飯時間は3合で約50分
炊きあがり。しっかりおこげもできていた
お米が潰れることなく、おいしい炊き込みごはんができた

おこわもふっくら!

 お米ともち米を半分づつ入れたおこわも作ってみた。今回は味付けに塩、少量の酒、こんぶを加えて、栗を入れて炊き上げた。もち米は水を吸いにくいので、事前に水に浸してから炊飯した。仕上がりは粒感も楽しめる、さっくりとした仕上がりで、大満足。炊飯時間が約30分と長すぎないのもポイントだろう。

栗のおこわを作る。昆布も入れた
お米ともち米を半分の割合で入れた
炊飯時間は約30分
炊きあがり
もちもちしすぎることもなく、粒感を感じられる仕上がり

ふっくらもちもちごはんが好きな人に

 土鍋やおこげなど他のメーカーにはないアプローチが面白い炊飯器。洗練されたデザインや、使い勝手の良さも高級機ならではだ。仕事柄、様々なメーカーの炊飯器で炊いたご飯を食べているが、THE 炊きたてで炊いたごはんは「ふっくら」「もちもち」しているのが特徴。もちもち系のごはんが好きなら一度チェックしてみてほしい。

阿部 夏子