家電製品ミニレビュー

ただのみじん切りマシンではない! 肉もお菓子も素早く調理できるフードカッター

マルチフードカッター IOE003

 頻繁に作りたいけれどあまり作っていない、またはまだ作ったことがない……そんなレシピがいくつかある。その理由の1つは、途中の刻む、混ぜる、こねるといった工程が面倒に感じるから。手も汚れそうだし時間もかかりそう。準備も面倒だし、後片付けもチョットね、と。

 そんな面倒のスパイラルに陥りやすい方にお薦めしたい調理器具を発見した。それが「マルチフードカッター」である。

メーカーイデアインターナショナル
製品名マルチフードカッター IOE003
希望小売価格4,200円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格3,600円

なめらかにする、刻む、泡立てる、攪拌するをこなす

 「マルチフードカッター」は、混ぜる、なめらかにする、刻む、泡立てる、攪拌するといった作業に対応し、幅広い料理に活用できるキッチンツールだ。

 セット内容は、電源ケーブルのついた本体と、容量約650mlと大きなボウル、約200mlのカップという大小2種類の容器、および容器に合わせたサイズのカッター、生クリーム用のクリームディスクだ。

左上から、ボウルとフタ、カップとフタ、本体、ふりかけキャップ、カップ用ブレード、ボウル用ブレード、クリームディスク
取扱説明書のほか、レシピ集も付属

 本体は上部に運転スイッチがあり、容器にセットして押すと、中のブレードが回転する仕組み。ボウルに、ボウル用ブレードをセットして本体を乗せると、肉料理や小麦粉を使った生地、かき氷などが作れる。カップに専用のカップ用ブレードをセットして本体を乗せると、ふりかけやドレッシングが作れる。

本体の上がスイッチになっている
カップと本体の組み合わせ
ボウルと本体の組み合わせ
カップはふりかけキャップを取り付ければ、そのままふりかけ容器にもなる
クリームディスク
クリームディスクはボウル用。1分程度で生クリームが泡立てられる

 後述するが、ホットケーキミックス200gを使って、スコーンの生地を作るといった作業はお手のもの。それも所要時間はほんの数秒だ。おかげで今スコーン作りにはまっているが、この大きさと早さの2点が最大の特徴といっていいだろう。ただし、コーヒー豆や固い乾物、冷凍食品、山芋などの粘りけの強い食品は扱えない。また、食器洗い機や、食器乾燥機は使えないので注意しよう。

氷と玉ねぎで基本性能をチェック

 フードカッターといえば、とりあえず試したいのが玉ねぎのみじん切りである。壁に張り付いてしまうものや、ブレードの下に潜り込んでしまうものもあるため、仕上がりの大きさにばらつきはあるが、ゆっくり5プッシュほどで細かめのみじん切りが作れた。

ざっくりカットした玉ねぎを入れる
3プッシュ
5プッシュほどでこの通り

 さらに本品は、家庭用冷蔵庫で作った氷を砕けるのも特徴の1つ。2.5cm角以下の完全に凍った氷という条件付きだが、みぞれ雪のような状態にまで粉砕することができた。刃で削るタイプとは違うので粒状感は残るが、十分食べられる。ドリンクに入れて飲むのもよさそうだ。これだけパワーがあれば安心。ボウルがプラスチック製のため、回転する氷が当たってやや心配になる場面もあったが、まったく問題はない。ただし、入れすぎには注意しよう。

 取扱説明書には「ジュースは作らないように」とあるが、それはかなり残念。ここまで氷が砕けるなら、そしてこんなに容量があるなら、フローズンドリンクは作ってしまいそうである。

用意した氷
数秒間押し続けたら雪のような状態に
そのまま食べるもよし、ドリンクに使うもよし
わずかに粒感のある仕上がり

ハンバーグ4個分、チキンナゲット12個分のタネがあっという間に

 ここからはボウルのサイズを生かした料理をご紹介しよう。まずはハンバーグ4人分。玉ねぎをみじん切りにして、肉などの材料をボウルに入れてよくこねて……というのが定番の作り方。そこそこの量になるので、玉ねぎのみじん切りもちょっと面倒なパターンだ。

 こんなときこそ「マルチフードカッター」の出番。ブレードを取り付けたボウルにすべての材料を入れ、フタをしてスイッチを押す。すると、1分もかからず4個分のタネが完成する。玉ねぎのみじん切りが苦手な方も、こねるのが面倒な方も、両方同時に解決である。

材料は全部入れてしまう
手も汚さずにこの通り
あとは成形して焼くだけ
なめらかな舌触りのハンバーグになる

 実はこれまで作らなかった料理の1つが「チキンナゲット」だ。材料全体をなめらかにするため、重たいフードプロセッサーを棚から取り出すのが面倒だったのである。それが「マルチフードカッター」で解決してしまった。

 付属のレシピ集の「チキンナゲット」を参考に、皮を取り除き、粗くカットしたムネ肉に、卵、小麦粉を加えてスイッチをプッシュ。1分程度であっけなくタネが完成した。ナゲットの形に整えたらボウルとカッターを洗い、今度は衣用のバッター液作りだ。こちらも小麦粉、卵、牛乳を入れてガーッと数回プッシュするだけ。できた液にタネを絡めて揚げれば、あこがれのチキンナゲットのできあがりである。

 手が汚れて面倒だったのは、むしろ丸める、絡める、揚げるという成形してからの工程だったのだが、挽肉がなくても楽にタネが作れ、とてもおいしくできたので大満足。ボウルとブレードが2つあれば、途中で洗う手間が省けてさらに便利になりそうだ。

挽肉がなくても、あっという間になめらかに
ナゲットの形に成形したら、ボウルを洗って衣用のバッター液も作る
揚げればこの通り。たった1枚のムネ肉が12個のナゲットに(1つは試食してしまった)
付属のレシピ集にソースの作り方も紹介されている。このソースもおいしいのでぜひ試していただきたい

お菓子も得意。大好きなスコーンの生地が一瞬でできた!

 冒頭でご紹介したスコーンは、ぜひ「マルチフードカッター」でお試しいただきたいメニューの1つだ。忙しい朝の食事や、急いで手土産や差し入れを作りたいとき、こんなに便利なものはないと感心してしまったほど。とにかくとても相性がいい。

 材料は200gのホットケーキミックス1袋と、バター50g、牛乳80~100ml。お好みでチョコレートやハチミツもいいだろう。

 作り方は本当に簡単だ。最初に粉とバターだけをボウルに入れてプッシュ。3秒ほどで固形バターが完全に混ざる姿は必見だ(この段階が従来は面倒だったのである! )。

ホットケーキミックスとバターを入れる
3秒でこの通り
形を整えてカット
15分焼いてできあがり。ホットケーキより楽かも!?

 あとは牛乳を80~100ml入れて再度プッシュ。たったこれだけだ。ホットケーキミックスの封を切ってから、1分と待たずに生地ができる。あとはカットするなり、型抜きするなり成形して焼くだけ。拙宅のオーブンは予熱が8分、焼き時間は200℃で15分だが、予熱中に材料の準備から、器具の洗浄までが終わってしまうスピードなので、今ではスコーン専用マシンに認定しているくらいだ。

 せっかくなので、焼いている間洗ったボウルで生クリームも泡立ててみた。クリームディスクを1分ほど回転させたら、角が立つほどしっかりした生クリームができていた。非常に短時間なため、冷却用の氷や水は一切不要なのも嬉しい。唯一難点があるとすれば、クリームディスクに付着した生クリームの除去くらいだろうか。

あっという間に生クリームができた
プレーンなスコーンにカットフルーツとともに添えれば、簡単にカフェ風に

「カップ」はやや非力かも

 ボウルの便利さとは対照的に、我が家においては出番が少ないのが「カップ」だ。その理由は、粉砕力がやや弱いこと。ふりかけは9割以上は細かくなったが、ドレッシングに入れたごまは、ほとんどそのままなのではと思われるほど大量に残ってしまった。ブレードの刃の大きさや数、角度が影響していると思われるが、ボウルのパワーと差が開きすぎているのが残念だ。

いつものごまドレッシングを作ってみる
結構回してみたが、ごまがなかなか砕かれなかった。オイル入りは苦手らしい
サラダ風うどんにかけてみたが、ごまの粒だらけに。見た目は悪くないが、ごまの消化をアップさせたいという目的は微妙に
小魚、小エビ、ごま、鰹節を使ったふりかけ。10秒近く回したが完全に砕くまでには至らず。ふりかけとしては合格だが……

軽くて気軽で早いところがイイ!

 「マルチフードカッター」が、ただのみじん切りマシンではないことがお分かりいただけただろうか。透明なプラスチック製でとっても軽く、ぱっと見たところ、チープに思えるかもしれないが、むしろその質感が気軽に使えるメリットにもなっている。とても軽くて気軽に扱えるので、フードプロセッサーを敬遠していた方でも安心して使えると思う。

 筆者は完全なスコーン推しなのだが、付属のレシピ集には、アーモンドビスコッティ、バナナティラミス、フローズンマンゴーモヒート、もっちりフォカッチャ、自家製マヨネーズのコールスロー、コーンのニョッキ、ツナとトマトのアラビアータソースといったメニューが紹介されているので、興味のある方はぜひチェックしてみていただきたい。おっくうな工程を気軽に任せることで、自分の料理の幅が広がる瞬間は嬉しいものだ。

すずまり