家電製品ミニレビュー

5千円前後で買えるハイブリッド式加湿器

安くてデザインの良い製品

阪和「BBH-64」ハイブリッド式加湿器

 今回は、阪和の「BBH-64」という加湿器を紹介しよう。この機種を選んだのは、実勢価格が5千円前後と手頃なこと、デザインがすっきりしていること、そしてちょっと変わったハイブリッド方式を採用していることだ。

 加湿器は冬がシーズンで、そろそろ今年のシーズンは終わりかけている。店頭でも在庫切れの製品が出始めている状態だ。しかし、2月の東京は湿度が30%台と乾燥しているし、風邪も流行っている。まだまだ加湿器の出番はあるのだ。

メーカー阪和
製品名BBH-64
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,960円

あまり例のない種類のハイブリッド式

 BBH-64の加湿方式は、ハイブリッド式だが、あまり他社に例のない変わった形式だ。主力は超音波式で、それにPTCヒーターを組み合わせている。

 PTCヒーターというのは、電気ヒーターの一種で、温度が上がると電気抵抗が増して、温度上昇を抑えるという特性がある。消費電力が上がりにくいのと、加熱しにくいので安全性が高いのが特徴だ。BBH-64では、水タンクから超音波発生器に行く水路の途中に板状のPTCヒーターがある。つまり、超音波発生器に入る水の温度を引き上げて、加湿力を高めるという原理のようだ。

 ちなみに、超音波式単体だと、最大加湿量は280ml/h、つまり1時間当たり280mlだが、PTCヒーターを組み合わせると300mlに増える。数字にすると数%だが、一定の効果はあるようだ。

 なお、加湿量が基となる推奨床面積は、木造和室で6畳、プレハブ洋室で8畳とされている。個室向けの機種と考えれば良いだろう。

 ちなみに、他社の加湿器で言う「ハイブリッド式」は、加湿フィルターに温風を当てるタイプが多い。ハイブリッドという名前は同じだが、内容は異なっているので、注意してほしい。

スリムだが、置き場所を選ぶ

 BBH-64は、ちょっと上が細くなった円筒形をしている。高さは30cmちょっとあるが、直径は17cmぐらいなので底面積は小さい。スリムなデザインと言ってよいだろう。

スッキリとしたシンプルなデザイン
高さは30cmちょっと
本体の基本は円筒形
直径は約14cm
本体背面。電源がACアダプターではないのは、このクラスでは珍しい
左上が水タンク、右上が加湿器本体

 ただし、取扱説明書では、壁や家具からは50cm以上離れた場所に置くように指定されているので、実際に置く場合のスペースはそれなりに必要だ。

壁や家具から50cm以上離れた場所に設置する(取扱説明書より)
本体の底に吸気口があるので塞がないように注意が必要だ

 ついでに言うと、じゅうたんや畳の床、家具の上、電気製品の側などにも置かないように注意されている。底部にある吸気口がふさがれて故障の原因になることや、ミストが電気製品の故障を招きかねないというのが理由だろう。どちらかと言えば置き場所を選ぶタイプだ。

 また、本体を移動したいときには、上のタンク部分を持つのではなく、下の本体を持ち上げる必要がある。ちょっと面倒だが、このあたりは他社の超音波式加湿器でもよくあることではある。

基本は超音波式、すぐに動く

 では、セットアップして動かしてみよう。BBH-64は、基本的には超音波式加湿器なので、水と電源だけ用意してやれば良く、使い方は簡単だ。

 まず、本体の上半分を占める水タンクを逆さにし、蛇口から水を入れる。水タンクに栓をしたら、本体の上に置く。

 残念なのは、水タンクに取っ手などがなく持ちにくいことだ。水が2.5L入るので、そこそこ重い。手が滑って落とさないように注意が必要だ。

水タンクは、上下をひっくり返して底の部分から給水する
水タンクは高さが低めなので、洗面台の蛇口から直接注水できる
水タンクの側面に窓があり、水位が分かる

 あとは、電源コードをつなぎ、電源スイッチを入れれば良い。電源スイッチは本体の正面にある。スイッチはタッチセンサー式で、加湿量は強/中/弱の3段階が選べる。加湿量に応じて、ボタンの色が赤/緑/青に変わる。

本体正面に電源スイッチと、PTCヒーターのスイッチがある
電源を入れると、すぐにミストが出てくる
「弱」の設定でも、ミストの量は多めだ

 超音波式特有の、分かりやすいミストがすぐに湧き出てくる。我が家の飼い猫である鉄蔵が、あまりのモクモクと湧き出るミストを見上げてしまうほどだ。

室温が20℃の室内でもミストがはっきり見える
超音波式なので鉄蔵がミストに触れても熱くない
ミストの行方を見守る鉄蔵

PTCヒーターの使いこなし

 BBH-64の加湿量は強/中/弱の設定時にそれぞれ、280ml/h、230ml/h、180ml/hとなる。消費電力の少ない超音波式だけに、消費電力は強の状態でも30Wに留まっている。

 PTCヒーターのスイッチは、電源スイッチとは独立していて、これを押すと、加湿量が300ml/h、250ml/h、200ml/hに増える。ただし、PTCヒーターをONにすると、消費電力が25~30W増える。たとえば、強+PTCヒーターだと55Wになるのだ。よって、PTCヒーターを使うのは、強に設定しても加湿力が物足りない時などに限った方が良いだろう。

加湿器本体。上の黒い丸の部分が超音波発生器
右下の黒い板がPTCヒーター。左から流れてきた水を暖める

 このあたりの使いこなし方については、取扱説明書にもほとんど記載がない。PTCヒーターの長所や短所を含めて、もう少し詳しく書いて欲しいところだ。

個室なら十分な性能

7畳ほどの部屋では、一晩で60%まで加湿できる

 試用は7畳の洋室で行なったが、2時間ほど「強」で動作させたら、30%以下だった湿度が50%まで上がった。この加湿器には湿度センサーなどは搭載されていないので、加湿し過ぎに注意が必要なほどだ。朝までずっと動かしていると、起きた時には湿度が60%まで上がっている。

 超音波式だけで十分に加湿できるので、PTCヒーターの出番はいまのところない。ひょっとしてミストが暖かくなったりするかと思って、ヒーターをONにしてみても、とくに変化は感じなかったので、普段はOFFにしている。

 加湿器の動作音は静かだが、時々、送風用ファンの音と思われるチリチリという音がする。また、タンクから水が出るときにゴボッという音がすることがある。寝るときに邪魔になる程ではないが、無音ではない。

 加湿時間は8時間とされているが、実測でも強で7時間以上使用できた。弱にすると10時間ぐらい使える。このあたりは、加湿量の設定や室温などの環境にもよるだろうが、最低でも6~7時間は使えると思って良いだろう。

 使いこなしのコツは、加湿量の調整だろう。「弱」に設定していても、朝までずっと動かしていると、フローリングの床が濡れていることが多い。部屋の広さや気温との関係もあるが、床を濡らしたくないときは、無理に「強」に設定したり、PTCヒーターをONにしない方が良い。

そこそこ格好良くて、そこそこの性能

 BBH-64は、ハイブリッド式の機能については、ちょっと肩透かしな感じだが、デザインの良い超音波式加湿器と考えれば、ちゃんと使える製品だ。リビングルームには力不足だが、個室用の加湿器としては十分だ。

 大手メーカー製の加湿器のように、マジにゴリゴリと加湿する王道路線ではなく、どちらかと言えば軽いノリの製品だ。冬の間中、常時加湿するというよりは、ノドの調子が悪い時や、空気の乾燥を感じた時に、数時間稼働するような使い方が向いている。

右の白い部品がアロマトレー。スポンジになっているのでアロマオイルを数滴垂らして使う
水タンクからの水を浄化するミネラルカートリッジ

 アロマオイルを垂らしておくアロマトレーや、水を殺菌するためのミネラルカートリッジなど、いまどきの超音波式加湿器に必要な機能も備わっているし、置き場所の選択を除けば、使い方に特に難しいところもない。

 そこそこの価格だが、そこそこ格好良くて、そこそこ使える製品だ。

伊達 浩二