家電製品ミニレビュー
オークセール「siroca ホームベーカリー SHB-315」
~7,000円以下で買えるホームベーカリーの実力をチェック!
by 戸井田 園子(2013/1/30 00:00)
ホームベーカリーの人気が続く今「ベーカリーは欲しいけど、死蔵品になるのでは……」という心配から、二の足を踏んでいる人も多いと聞きます。そんな人におすすめしたいのが、オークセールの「sirocaホームベーカリー」。なんと、7,000円以下で手に入る廉価モデルなのです。これなら、万が一使いこなせない時も大きな後悔をしなくて済みそうです。しかし、いくら安くても性能がイマイチでは問題です。ということで、筆者があれこれ試してみましたので、その様子をご報告します。
メーカー | オークセール |
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製品名 | siroca ホームベーカリー SHB-315 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 6,485円 |
スタンダードな食パンで実力チェック
今回試したのは、オークセールでは上位モデルになる「SFB-315」、最大1.5斤タイプです。作れるのは、小麦の食パンはじめ、フランスパン風・全粒粉パン・米粉パン(グルテン入り・なし)・ピザ生地・うどん&パスタの他、もちつきやジャムなど18メニュー。基本的なものはおさえてあり、他社と比べても遜色ないレベルです。本体サイズは275×350×290(幅×奥行き×高さ)で、重さは4.2kgです。
まずは、スタンダードな小麦の食パンを作ってみました。付属の取扱説明書に従い、必要な材料を用意して計量開始。粉類を計量するための「はかり」は用意する必要があります。取扱説明書には0.1g単位で測れるハカリの使用がすすめられているので、デジタルタイプのハカリがあると良いでしょう。また、ドライイーストやスキムミルクなど少量の材料は、付属の計量スプーンで何杯という指示になっているので便利です。
本体からパンケースを取り出し、羽根をセットします。羽根は標準と米粉専用の2種類ありますので、間違えないように。また、羽根を取り付ける際、軸と羽根側の穴の形状を合わせてしっかり差し込みます。筆者は1回目、この差し込みが確実にできていなかったため、大失敗……粉類が捏ねられず、パンとは程遠いあやしい塊が焼き上がってしまいました。羽根を付け忘れることは無いと思いますが、確実に付いているか否かをチェックするのは意外と見落とすことなので、しっかり確認しましょう。
次にパンケースに材料をいれます。水を最初に入れ、粉類をその上に。粉類は水の上に浮かんだ状態になるので、その中央あたりをくぼませてドライイーストを入れます。ドライイーストは、強力粉以外に触れないようにするのがコツです。あとは、メニュー番号・サイズ(1斤or1.5斤)・焼き色(うすい・ふつう・こい)を選び、スタートボタンを押すだけです。
生地をこねだすと「グォン グォン グォッグォッグォッ」という感じの音がします。運転音は、とてもうるさいという程ではありませんが、タイマーセットで就寝中にスタートした場合、近くに寝ているとさすがにうるさいと感じるでしょう。こね工程では「こね→ねかし」を3回繰り返すため、運転音は断続的に続きます。また、しばらく静かになったと思うと急に音がしだすのでドキッとすることも。我が家は犬が2匹いるのですが、こねがはじまる度に吠えてしまいました。お子さんが昼寝中などは避けた方がイイかもしれません。
「こね→ねかし」を繰り返し、発酵を3回した後、焼きに入るという工程で、所要時間は約4時間半。ホームベーカリではごく平均的といえるでしょう。焼き上がるとブザー音が鳴りますので、直ぐにパンケースを取り出してOK。ちなみに、「スタート」ボタンを2秒以上押してスイッチを切らないと、ブザーが鳴ってから約60分間は自動的に保温状態になります。タイマーセットなどで焼きあがり直後に取り出せない時には重宝しそうです。しかし、保温をすると焼き色が濃くなるので、できれば早く出す方が良いようです。
では焼き上がったパンをパンケースから取り出してみましょう!
パンケースを除くと、上面もしっかり焼き色がついていて美味しそうに仕上がっています。全体的な焼き色もまずまず良好。底面に羽根の凹みが残るのはどのホームベーカリーでも同様で、ホームメイドのご愛嬌といったところでしょう。半分にカットすると、外はパリッと中はふんわり、といった感触が伝わってきました。食してみると、手作りらしい素材の風味がしつかりする安心感のある味で、他社のホームベーカリーで作る食パンと何ら見劣りすることなく、美味しく頂けました。これなら満足です。
「全粒粉パン」と「米粉パン」を試す!
続いて「全粒粉パン」と「米粉パン」を試してみました。全粒粉パンは、強力粉と全粒粉を130gずつ混ぜたタイプ。これは1斤のみ対応可能。手順は小麦の食パンと同じで、特別なことはありません。材料を入れてスタートボタンを押せば、あとは待つだけです。所要時間は小麦パンよりやや長く、4時間50分程度。これは「こね」前に「温め」という工程が入るため。焼き上がりは、小麦よりやや膨らみが少なく、身が詰まっている感じです。食感も小麦に比べると重く感じられ、味は全粒粉の酸っぱさと香ばしさがしっかりとし、食材の味が楽しめました。
次に「米粉パン」です。「グルテン入り」と「グルテンなし」の2つのコースが用意されていて、いずれも1.5斤までできます。グルテン入りの方がもちもちした食感になり、グルテンなしは、上部が平らで白く焼き上がるとのこと。また、取扱説明書には推奨の米粉(グリコ栄養食品)が掲載されています。しかし今回は、近所で手に入った米粉(グルテン入り)で作ってみました。こちらも、手順に特別なことは無く、材料を入れてスタートボタンを押せばOK。唯一気をつけなくてはならないのが、パン羽根。先に紹介したように「米粉専用」を使いますので、注意しましょう。
小麦パンと大きく違うのは所要時間。約2時間45分で焼きあがります。これは、発酵が1回だけになるため。焼き上がりは、小麦パンより膨らみ方が少なく、上部が平らな焼きあがりです。米粉という特性と、発酵が1回だけということが影響していると考えられます。生地は、小麦よりしっとりとした食感で、口の中には米の風味が残ります。水分量が多いため、小麦パンとは違う喉ごしで、飲み込みやすいのが特徴的です。パンが好きだけど飲み込みにくくなった……と感じている高齢の方などにおすすめしたいと感じました。
つきたて「お餅」を堪能する
次に「お餅」を作った様子をご報告。一度にできる量は、4合まで。もち米をといだあと、ザルにあげて30分ほど水を切ります。使用する羽根は標準タイプのもの。食パンを焼く時と同様に羽根をセットし、水切りをした米とレシピ通りに水を入れれば準備完了です。お餅には、焼き色や分量を選ぶ必要がないので、メニュー番号を選んだらスタートボタンを押すだけ。あまりにシンプルなので「これで出来るの?」といささか心配になるくらいです。
今回は2合で試してみましたが、所要時間は約1時間15分。米の水切り時間を入れても、2時間以内にお餅ができてしまうのは、なかなか便利です。スタートボタンを押してしばらくすると、何となく焦げ臭いニオイがします。餅に焦げ色がつくのでは…と不安になりつつ待つこと約1時間。しかし、でき上がったお餅を覗いてみると……おぉぉ真っ白!!心配無用でした。どうやらもち米を炊いている時に、パンケースがかなり熱くなっているからと思われますが、初めてだとちょっと心配になりました。
でき上がったお餅は、アツアツなので直ぐに取り出すことはできません。まずはパンケースを取り出し、5~10分間冷ましつつ粗熱を取ります。パンケースを手で触れる程度になったら、お餅を底からゆっくりはがす様な感じで取り出します。しかし、お餅はまだまだ熱いため、素手でやるのはなかなか根性がいります。スパチュラなどお餅がひっつきにくい素材の道具を使い、取り出すのが一番スムーズでしょう。お餅はネバネバなので、まな板など適当な台の上に片栗粉を少し撒き、その上に落としていきます。そして食べやすい大きさに成形して完成! 直ぐに食べる場合は、手を水で濡らして成形をし、保存したい分には片栗粉をつけておきます。
今年の正月は、このベーカリーで作ったお餅でお雑煮を頂きました。つきたての餅は粘りがあり、とっても美味! 正月2日目にも再びお餅を作り、きな粉餅や焼いて磯部巻きなどを楽しみました。もち米さえ買っておけば、2時間程度でいつでもつきたてのお餅ができる喜びを実感しました。
お手入れの時、パンケースを水につけてはダメ!
最後に、お手入れについて。洗う部品は、パンケースとパン羽根。ついつい、パンケースを洗い桶につけたり、水でジャージャー流してしまいがちですが、ここは注意が必要です。パンケースの中側は、もちろん水に濡らして洗うことができますが、ケースの外側と外側底部にある駆動部分を水につけるのは、サビや腐食で故障の原因になるとのこと。水洗いできるのはパンケースの内側だけと、心得ておきましょう。
使用後は、パンケースに水を入れて、羽根や軸周りについたパン生地をふやかし、しっかり落とします。特にパン羽根の穴部分に残るパン生地が取れにくいのですが、残したままだと次に使用する時、軸にしっかり羽根がハマらず四苦八苦します。穴に生地がこびりついている時は、必ず竹串などできれいに落としておくことが肝心です。パンケースの内側はテフロン加工なので、スポンジで簡単に汚れを落とすだけで大丈夫。羽根の部分以外は、特に手間だと感じることはありませんでした。
ベーカリーデビューに最適な一台
以上のように、小麦パン・全粒粉パン・米粉パンどれをとっても、材料の計測さえしっかりすれば、失敗なく焼き上がるのがホームベーカリーの良いところ。低価格だからと言って上手に焼けないということは全く無く、どのタイプのパンでもしっかり美味しく焼きあげていました。
さらに、紹介した「お餅」はじめ、ピザ・うどん・パスタなどの生地類も簡単にできますし、パウンドケーキのような四角い形で焼き上がるケーキ、ジャムやヨーグルトなど、メニューも十分揃っています。
強いて言えば、弱点は「天然酵母メニュー」や「米粒から作るパン」などが、このベーカリーでカバーできないこと。しかし、これらの要望がある場合以外は、一般的なベーカリーでできることはほぼ網羅していますので、価格以上の満足感は得られるはず。1万円以下でベーカリーの何たるかを試せるのですから、まさに、ベーカリーデビューに最適な一台でしょう。ベーカリーを買おうか否か悩んでいるあなた!是非、トライアルとして購入してみてはいかがですか?