家電製品ミニレビュー
バルミューダ「GreenFan mini」
バルミューダ「GreenFan mini EGF-2000-WK」 |
すでに冷房が欲しいほど暑さを感じる日も出始めた。今年も昨年同様、エアコンの使用を控えたい夏になりそうだ。となれば扇風機の出番である。
ただし、扇風機にも悩みがある。一時的な汗を引かせるにはいいのだが、長時間使用となると考えてしまう。風量を最低にしても、腕や体にあたる風の圧力が気になってしまうからだ。ならばと首振りにしてみると、風が当たっているときはいいが、外れると暑い。しかし当て続けると、一部だけ冷えるような独特の疲労感を感じる。
真夏日の快適な睡眠には、就寝前の冷房が欠かせなくなってくる。風をあまり感じずに済むエアコンとは違い、風を向けないことには涼しさを感じにくいのが扇風機だ。しかし、扇風機をかけて寝ると、口や鼻の粘膜の乾燥と冷えで、夜中に覚醒してしまったりする。
そもそも「弱」が強すぎないか? 扇風機にあれこれ求めるのは酷なんだろうか……と思っていたところ、レビュー品として送られてきたのが、バルミューダの「GreenFan mini EGF-2000-WK(以下、GreenFan mini)」だった。
メーカー | バルミューダ |
製品名 | GreenFan mini EGF-2000-WK |
希望小売価格 | 24,800円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 24,800円 |
バルミューダの扇風機の最大の特徴は、2段構成の独特の羽根と、独自の特許技術「グリーンファンテクノロジー」により、渦を巻かない自然に吹いているような優しい風を再現している点だという。「GreenFan mini」は、テクノロジーはそのままに、従来の「GreenFan」を小型化し、ポータブルにしたものだそうだ。
■文字は一切なし。わずか1つのホイールで風量と切タイマーを操作
本体は組み立て式。本体にサイドガードをはめ込んだらガードホルダーで固定する。その上にファンを取り付け、ファンホルダーでさらに固定する。最後にフロントガードをかぶせ、ガードロックをしっかり固定する。あとは本体底面部のフタを開けて、ACアダプターのプラグを取り付ければ作業は終了である。特別な器具は不要で、初めての方でも、5分もあれば作業できるだろう。
「GreenFan mini」のセット一式 | 左から、フロントガードとサイドガード、本体、ファン、リモコン、ACアダプター、ファンホルダー、ガードホルダー | サイドガード(左)とフロントガード(右) |
本体をよく見ると、○△□のマークがついている。ここにサイドガードの穴をあわせる | サイドガードを取り付けた | ガードホルダーで固定する |
ファンを取り付け、ファンホルダーで固定する | フロントガードをかぶせて、ガードロックでしっかり固定 |
本体底面部のフタをあける | ACアダプターのプラグをはめる。ケーブルのあまりは、2つのフックを起こして巻き付けられる |
完成時のサイズは290×265×584mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約2.5kg。本体の高さの調整はできないが、持ち運びはスムーズだ。白いボディに黒いフロントガードというスッキリしたデザインなので、どこに置いても違和感はない。我が家の居間のテーブルは白いので、それともマッチしていてうれしい。
操作用のボタンや表示がほとんどないのも特徴だ。まず電源のON/OFFは、「クイックホイール」を1回短押しするだけ。電源をONにすると、インジケータが点滅するので、そのまま右に回転させていくと、下段のインジケータのLEDが点灯し、4段階で風量の調節ができる。また、「クイックホイール」を2秒以上の長押しをすると、1、2、3、4時間の4つの切タイマー設定モードに切り替わる。さらにそのまま右に回転させると、上段の切タイマーのインジケータが変化する。本体の操作はすべて「クイックホイール」を押す、回すという操作だけで行なうのだ。このほか、付属のリモコンからでも操作が可能だ。
「クイックホイール」は、約120度の回転で設定を1段階変更できるのだという。押す、回すという操作が何かに似ていると思ったのだが、iPodを操作しているような感覚だと気づいた。ボディのカラーも白と黒というのは単なる偶然だろうか。
操作は「クイックホイール」で行ない、状態は上のインジケータで確認する。ただし、表示が小さめなため、少々見えにくい | 電源を入れるとホイールの周囲がグリーンに点灯 | 見ただけで操作が分かるリモコン。夜間はLEDをオフにできる |
電源のON/OFFと、風量調節の様子 |
電源は入れたままの状態で、インジケーターの消灯/点灯も可能になっている。夜、切タイマーを使って就寝する際、余計な光があると落ち着かないという方にはありがたい機能だろう。
このほか機能面では、チャイルドロックや、リズム風といった機能はないが、10時間操作しないと自動的に電源が切れる「10時間オートオフ」機能も搭載している。自動首振りのON/OFFは、後部の自動首振りダイヤルで切り替える。ファンの向きは、手動で左右20度、上方向に24度、下方向に7度の間で、無段階に調整できる。
自動首振りはダイヤルの切り替えでハードウェア的に行なう。リモコンからはできない | 左側に向けた状態 | 右側に向けた状態 |
横から見た様子 | 首を最も上に向けた状態 | 首を最も下に向けた状態 |
■風当たりは非常にソフト! 柔らかい風がお好きな方に
ファンには14枚の羽根があり、これが優しい風を生み出す |
電源をいれてみたところ、最も弱い風量からスタートしたのだが、これがほとんど無音で驚いた。さらに、これまで経験したものと全く違った優しい風で、二度驚かされた。よくある扇風機の「弱」とはまるで違う。人工的に束になって吹き付ける風ではなく、団扇でそっと扇いだような風とでも言おうか。ふんわりと、肌にまとうように届くのだ。風に直接当たりたくないという方でも、これなら気にならないのではないかと思う。
これまでエアコンの補助に使っていた安い扇風機(風量2段切り替え)と動作音を比較してみた。いい扇風機は風が違う! |
1段アップして風量が2になると、通常の扇風機の「弱」相当の風に近い。しかし、ここでも風は丸く、吹き付けられている感覚はほとんどない。自然で例えるなら「今日はいい風が入ってくるね」と言えるような風だ。音は多少分かるようになるが、真夜中使っていても、ほとんど気にならないレベルである。
風量3、4になるとだいぶ音も風圧も増す。風量4は8m先まで届くパワーがあるが、それでもどこか控えめさを感じる。とはいえ、さすがにここまでくると、そよ風以上なので、扇風機との距離や角度、首振りの有無が気になってくる。
居間の隅に置いてみた。コンパクトなので、圧迫感なし |
しばらく使用してみたが、かなり満足だ。6月現在、仕事中に使うなら首振りさせながらの風量2、ちょっと暑いかなと思った夜は、レベル1の切タイマー4時間がちょうどよいと感じている。持ち運びも楽なので、居間で使っていたものを、自分の移動にあわせて仕事場へ、台所へ、と移動しやすかった。
実は今回は試していないのだが、「GreenFan mini」は別売のバルミューダ「UniPack」というモバイルバッテリーがある。それを底面部の中にセットすると、コードレス扇風機にもなるそうだ。それなら移動先でコンセントの空きを探さなくても済むし、節電のピーク時はバッテリーを使うといった対策も可能。そんな拡張性にも魅力に感じている。
時期的に28℃を超えるような熱帯夜では体験していないが、「GreenFan mini」を活用することで、案外熱帯夜も乗り切れそうな気がしている。「入タイマー」がついていないのは残念だが、4時間あれば、休息に大切な深い睡眠は維持できそうだ。ただし、風量1でも、就寝時に使うときは、風が顔に当たらないような配置にすることをお勧めしたい。
老朽化した扇風機は火災の原因にもなるため危険だ。もし買い換えを検討しているなら、「GreenFan mini」をぜひお試しいただきたい。それまでの扇風機とは違う風にきっと驚くことだろう。
ただし、本体は表示も操作もシンプルで、特にインジケータのLEDが控えめなため、見えにくい、状態がわかりにくいと感じられる方もいるかもしれない。年配の方がご利用になる場合は、リモコン操作がお勧めだ。個人的にもホイールの回転より、リモコンのほうが操作が早いと思う。
風量2で使用開始から2時間後。ワットモニターには「2.0watt」と表示されていた |
なお、気になる消費電力だが、風量2で首振り運転中にをワットモニター(サンワサプライ)で測定したところ、2ワットだった。「GreenFan mini」は節電と探していた心地よい風を両方獲得できる、まさに一石二鳥の扇風機かもしれない。
2012年7月2日 00:00