家電製品ミニレビュー

コジマ「省エネ家具調こたつ KC-L80S」

~放熱抑制シートに人感センサー付き、この冬は節電こたつで暖まる
by 正藤 慶一
コジマの「省エネ家具調こたつ KC-L80S」。製造元はエルテック

 年末年始は寒い日が続いた。エアコンや電気ストーブ、ヒーターなど暖房家電を使って寒さを凌いだ人が多いだろうが、もしかすると、暖房機器を使いすぎて電気代が気になる、という人もいるかもしれない。

 しかし私の場合、まったく電気代は心配していない。なぜならこの年末年始は、エアコンを使うことなく、家電量販店のコジマが販売する「省エネ家具調こたつ」だけで十分に暖まれたからだ。

 この製品、ただのこたつではない。熱が漏れるのを抑制し、人感センサーや省エネモードで消費電力を省いてくれる“節電こたつ”なのだ。今回は、このこたつを紹介しよう。


メーカーエルテック
製品名省エネ家具調こたつ KC-L80S
購入場所コジマネット
購入価格13,800円


やっぱりこたつは頭寒足熱で気持ち良い

 この「省エネ家具調こたつ」の優れているところは、先にチラッと触れた「(1)放熱の抑制」、「(2)省エネモード」、「(3)人感センサー」の3点。これらの機能を駆使して、一般的なこたつよりも電気代を抑えながら、暖を取ることができるのだ。

 それぞれの機能については追々説明するとして、まずは準備段階から順を追って紹介しよう。今回選んだのは、面積が80×80cmで正方形タイプの「KC-L80S」。このほかにも長方形タイプとして、105×75cmの「KC-L105S」、120×80cmの「KC-L120S」も販売されている。独身の我が身には、小型タイプで十分だ。なお、製造元は群馬に本社を構えるエルテックで、デザインはすべて木目調となっている。

 組み立て方法は、普通のこたつとほとんど変わりない。ダンボールに梱包されている、こたつの足とやぐら部(ヒーター部)を組み合わせ、ケーブルを接続し、そしてこたつ布団をかぶせ、最後にテーブルを載せれば使用準備が完了。こたつ布団は別売りなので、無印良品で正方形タイプを購入した。

こたつの面積は80×80cm。こたつとしてはコンパクトだが、狭い我が家には梱包がかなり大きく感じられるパッケージ内容。これらを組み立てる必要があるこたつの心臓部となるやぐら部(ヒーター部)。中心部は薄くフラット
足をやぐらに取り付ける。ネジを使うが、ドライバーなどは本体に同梱されている組み立てたやぐらにこたつ布団とテーブルを重ねて完成。こたつ布団は別売り

 使ってみると、これがとっても暖かい。しばらくこたつを使っていなかったが、足元からジンワリと暖かくなるというのは気持ちが良い。健康に良いとされる暖房法として、足を温めて頭を冷やす「頭寒足熱」という言葉があるが、こたつはそれを地でいく暖房器具だ。エアコンなしでも十分に暖かく感じられた。


【省エネ機能その1】熱をこたつ内部に閉じ込める「省エネシート」の効果は?

 ……と、ここまでだと普通のこたつのレビューでしかないので、話を本製品の特徴である省エネ機能に移そう。実は上記の組み立て手順には、1つ抜けている部分がある。それは、こたつ布団をかぶせる前に、「省エネシート」なる付属品を、やぐら部にかぶせる必要がある点だ。

 この省エネシートは、内側が銀色の反射材となっており、こたつ上部へ熱が漏れるのを防ぐ狙いがある。こたつ内部の熱を内部に封じ込めることで、熱をより有効利用しようというワケだ。冒頭で挙げた特徴のひとつである「(1)放熱の抑制」が、この省エネシートによるものだ。

実はやぐら部とこたつ布団の間に、写真のような「省エネシート」をかぶせる必要がある内側のようす。省エネシートの内部は銀色の反射材となっており、熱の漏れを防ぐ効果があるようだ実際に省エネシートの上にこたつ布団とテーブルを重ねたところ

 しかし、こんなシート1枚で、本当に効果があるのだろうか? そこで、省エネシート有りの場合と、省エネシートなしの場合で、どれだけこたつ内部の温度に変化があるのかを測定してみた。測定方法は、こたつ内部が冷え切った朝、電源をONにしてから1時間後の温度を比較するというもの。温度設定は、コントローラーのダイヤルを「1」に固定した。なお、温度調節は無段階で設定でき、ダイヤルには目安として「微弱」→「弱」→「1」→「3」→「5」→「7」→「強」という文字が記されている。

 この実験の結果、シートありの場合が「35℃」、シートなしの場合が「31℃」となった。メーカーの説明では、シートにより約3℃ほど保温効果がアップするとのことなので、だいたいその通りになったことになる。たった4℃ではあるが、体感だとシートありの方が暖かく感じられた。同じ電力を使っていても、シートありの方が、熱をムダにせず、しっかりと暖まれるということだ。

 なおシートは、こたつ布団をかぶせる際にズレることがあったが、使用中にズレたり外れたりすることはまったくなかった。力を入れて引っ張っても千切れることはなかった。子供が遊んだはずみでシートが破れるということも恐らくないだろう。


【省エネ機能その2】ひと押しで消費電力を抑える「省エネモード」はマイルドな暖かさ

コントローラー部。写真中央部が、出力を調節するダイヤル。写真右の緑色のボタンを押すと、省エネモードになる

 続いて紹介する機能が「(2)省エネモード」だ。これはコントローラーに付いている緑色のボタンを押すことで、ヒーターの消費電力を通常よりも約15%ほど抑えて運転するというものだ。

 しかし、ヒーターの消費電力を抑えるということは、それだけ熱も控えめになるということ。暖房のパワーが落ちて寒さを感じてしまっては、暖房器具としては本末転倒。というわけで、この省エネモードの効果について調べてみよう。

 まずは、通常の運転モードにおける消費電力を、ワットチェッカーで計測してみた。本製品の定格消費電力は最大500Wだが、出力「1」の場合は「278W」だった。ちなみに、個人的な感覚でいえば、1人で使う分にはパワーは「1」で十分。それ以上だとアツさがキツく、不快に感じられてしまう。

 こたつ内部がだいぶ暖かくなったので、ここで省エネモードのスイッチをON。すると、ワットチェッカーは「154W」を示した。15%どころか、約半分近くも消費電力を抑えたことになる。しかし体感では、通常運転でしっかりと暖まっていることもあってか、暖かさに不足はない。むしろマイルドな暖房で、通常運転よりも心地よく感じられたほど。省エネモードの効果は確かにあった。

ダイヤルが「1」で、通常暖房の消費電力は「278W」だったこの状態で省エネモードのスイッチをONにすると、消費電力は「154W」に抑えられた

 使い方としては、帰宅時など、すぐに暖を取りたい場合は通常運転、十分に暖まった後は省エネ運転に切り替える、というのが賢いだろう。調節ダイヤルを回すことなく、ボタンを押すだけで切り替えられるというのも便利だ。


【省エネ機能その3】うっかり消し忘れを防止「人感センサー」

 最後の機能が、「(3)人感センサー」だ。これは、こたつ内部に設置した人感センサーが、約15分ほど人の動きを感知しないと、自動的に運転をOFFにするというもの。不在時の加熱をストップし、電気代のムダ使いを抑えるためのものとなる。

 試しに、こたつ内に15分ほど入らないでいると、ワットチェッカーの消費電力は「1W」という、極端に少ない数値になった。おそらく、ヒーターがOFFになったのだろう。ここで足を入れると、すぐにヒーターが暖かくなり、消費電力の数値は100~200Wを指した。完全に0Wにはならなかったのは、人感センサーが1Wぶん働いていることと思われる。

人が15分以上不在だと、ヒーターをOFFにする「人感センサー」人感センサーにより、ヒーターを停止している際の消費電力は「1W」。完全にゼロにはならなかったが、消し忘れによるムダな消費電力が抑えられることになる

 こたつは、傍目では運転しているかしていないかわかりにくいが、このセンサー機能があれば、電源を消し忘れた際のムダな運転が抑えられることになる。地味にうれしい機能だ。欲を言えば、5分や10分など、電源OFFまでの時間の選択肢がもう少しあれば、なお嬉しかった。

人感センサーは、こたつの足の部分に設置する。通常使用で邪魔になることはなかった

 なお人感センサーは、コントローラーとこたつ本体との間に備えられている。使用前は邪魔になるのでは、と心配に思っていたが、こたつの足の部分に専用のフックが設けられており、簡単に固定できる。利用の妨げになることは特になかった。


フツーに使って手軽に節電のハイテクこたつ。省エネ暖房としてオススメ

この年末年始は、エアコンを使わずこたつだけで暖を取ることができた。くつろぎながらパソコンをしたりテレビが見られるのもこたつの良さのひとつだ

 本製品の機能としては以上だが、特に気に入ったのが、面倒な操作もなく、普通に使っているだけで節電してくれるところだ。省エネシートはずっと入れっぱなしで大丈夫だし、人感センサーも勝手に反応してくれる。唯一、省エネモードだけは操作が必要だが、それもボタンを押すだけで、煩わしさはまったくない。というか、これらの機能が付くだけで簡単に節電できてしまうことに感動すら覚えてしまった。

 もちろん、悪い点がないわけではない。それなりに部屋の面積を使うこと、リラックスしすぎて眠くなってしまうこと、本体とは別にこたつ布団を用意する必要があるため、設置に手間がかかること……など、こたつとしての根本的な問題は依然残る。エアコンやストーブなど、空間全体が暖められる機器と比べると、こたつはクセのある暖房器具であることに違いはない。

 しかし、今回こたつを使ってみて再認識したのが、これだけでもちゃんと暖まれるということ。消費電力は100W~300W程度、しかも下半身だけしか温めていないというのに、十分に暖が取れる。“節電暖房”として確かな能力を備えていることが改めて理解できた。それを考えると、こたつをいざ購入しようとなった際には、効率よく運転するためのインテリジェンスを積んだ本製品を、選択肢の中に入れておいて損はないだろう。

 暦はまだ1月初旬。冬の寒さはこれからが本番。暖房器具の使いすぎが気になる人、こたつ布団はあるけど最近こたつを使っていないという人、とにかく部屋が寒い人などに広くオススメしたい。気になった人は、近所のコジマの店舗でチェックだ。






2012年1月6日 00:00