家電製品ミニレビュー
ブラウン「モバイルシェイブ M-90」
ブラウン「モバイルシェイブ M-90」 |
多くの男性にとって日課となっているヒゲ剃りなのだが、T字カミソリ刃と電動シェーバー派の2大派閥がありる。
今のところ、私はT字カミソリを愛用しており、お風呂に入りながらヒゲを剃るのが毎日の楽しみとなっている。
しかし、そり残したヒゲに気がついたり、夕方に人と会うときに伸びたヒゲを剃るとき、そして主張先では、電動シェーバーのお世話になる。乾電池を入れ換えれば常にフルパワーで使える乾電池式のシェーバーが便利なのだ。
今回は3,000円前後の予算で実用的な乾電池型シェーバーの中から、ブラウンの「モバイルシェイブ M-90」を選んでみた。
メーカー | ブラウン |
製品名 | モバイルシェイブ M-90 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba |
購入価格 | 3,260円 |
■低価格帯の乾電池型シェーバーでは、パナソニックとブラウンで迷った
ブラウンの「モバイルシェイブ M-90」を選ぶにあたり、店頭で他にもいろいろな製品を触った。条件は次の3つだ。
・乾電池で動作すること
・手入れが簡単なように水洗いできること
・顔全体が剃れるようにある程度の大きさと実用性があること
つまり、そり残しのヒゲをちょこっと処理するだけではなく、2~3日の出張なら、これ1台で済むというぐらいの製品を探した。
最終的には、今回のブラウンと、パナソニックの「ツインエクス ES4815P」(店頭価格3,310円)のどちらにするか迷った。両方とも上記の3つの条件を満たしているのだ。
ブラウンの長所は、独特の構造で掃除用のブラシまで本体に内蔵しており、ポーチやケースが必要ないこと。逆に短所は交換用の外刃が用意されておらず、万が一、外刃を壊してしまったら、本体ごと使えなくなってしまう。
パナソニックの長所は、外刃が2枚刃になっており、肌に優しそうなこと。また、外刃も内刃も交換用の部品が用意されていること。低価格で細かい部品を流通させるのは手間がかかることなので、この努力は素晴らしいと思う。短所は、掃除用のブラシが内蔵できず、本体といっしょに収納するポーチが付属していること。あと、私はあまり使わないがキワ剃り刃がないのは困る人がいるかもしれない。
ギミック感が魅力のブラウン、長く使えそうなパナソニックの2つで、店頭でだいぶ迷った。最終的にブラウンにしたのは、掃除用のブラシを本体に内蔵しているからだ。シェーバー本体をポーチやケースから取り出すときに、掃除用ブラシを落としてしまったことが何度かあったことを思い出して、ブラウンに決めた。
ちなみに、ブラウンの乾電池型のシェーバーは、実はこれで2台目だ。5年ほど前に「ポケットシェーバー」という製品を使っていたことがある。
パッケージは簡易な紙箱。店頭では吊り下げられていた | パッケージ背面。キワ剃り刃、水洗いなどが訴求されている |
本体側面 | 本体背面。電源スイッチがなく、キワ剃り刃が見える | 掃除用ブラシは、本体の底部に内蔵される |
■使っていて楽しい仕組み
モバイルシェイブ M-90の本体サイズは、57×32×118mm(幅×奥行き×高さ)で、ACアダプターを使う本格的な製品と変わらない大きさだ。写真でだけ見ている人が通販で購入すると、実物を見ると大きくて驚くかもしれない。
電源は単三アルカリ乾電池が2本で、本体に付属している。動作時間は約60分とされている。本体が水洗いできるので、電池ケースを密閉するために、フタがちょっと変わった構造になっている。
本体の長さは約12cmあり、乾電池式シェーバーとしてはかなり大きい | 本体と乾電池、それに取扱説明書が入っているだけのシンプルさ |
電池ボックスは水が入らないようにするため複雑な構造だ。普段はこういう状態 | カバーを90度ひねる |
手前に引くと、開く | 電池の入れ方の案内はわかりやすいが、ちょっと変わっている |
電池ボックスは防水構造で、独特の開け方となっている |
一番の特徴は、外刃を覆っているカバーが本体から外れず、そのまま360度回転する「ケースレス構造」だ。カバーの回転軸の中心に電源スイッチがあるため、これはストッパーがかかっていて、カバーが180度回転した位置にあるときだけオンにできる。カバーは本体を延長した形で固定されるので、手のひら全体でしっかり握って固定できる。
外刃のカバーはこのように回る | カバーを180度回転させると、初めて電源スイッチがオンにできる |
外刃カバーは360度回転し、180度にしたときだけ電源スイッチが入る |
外刃のカバーや、電源スイッチ、電源スイッチのレバーなど、人間が手で操作する部分は、軽いのだが節度のある動きで、カチッカチッと動く。個人的 な好みで言えば、外刃のカバーはもう少し重く、電源スイッチはもう少し軽くあってほしいが、現状でも操作していて気持ちの良い感触だ。
肝心の剃り味だが、これも十分に満足できる。乾電池式の携帯型ということを忘れて、一般のシェーバーに混じっても大きな差はない水準の剃り味だ。
一般的なシェーバーとの違いは、外刃の形が比較的細いことだ。普通シェーバーの外刃は、“U”の字を逆にした形をしている。一般的なシェーバーの外刃が全角の“U”ぐらい幅広だとすると、M-90の外刃は半角の“U”ぐらい比較的細く、ちょっと尖った感じがする。3枚刃以上のシェーバーが「面」で剃っている感じなのに比べる と、どこを剃っているか「線」でわかる感じだ。T字型カミソリでこういう感触に慣れている私には使いやすい。最近の3枚刃以上のシェーバーに慣れている人が、M-90を使うと、肌に強く押しつけてしまいやすいと思うが、軽く押し当てるように心がけた方がスムーズに剃れる。
外刃は、比較的細く尖った形 | 外刃は「マルチパターン網刃4×5」と呼ばれる独特の形で、キラキラ光って見える | 本体に内蔵されたキワ剃り刃 |
外刃は簡単に外れる。内刃はシンプルなシングル刃だ | 取扱説明書には、外刃を付けたままハンドソープを使って洗うように書いてあるが、やはり内刃はジャブジャブと洗いたい |
外刃は一枚刃だが、弾力があってよく肌に合う。強く押しつけないのが使い方のコツだ |
■満足度の高い商品なので、ぜひ替え刃を
私はとてもあわて者なので、シェーバーのキャップやACアダプターなどの部品を、洗面台に忘れてしまうことが多いが、M-90は、カバーが外れることもないし、ポーチや掃除用ブラシなどを忘れることもない。会社や出張先のホテルなどで、面倒のタネとなることもない。
モバイル用シェーバーとしては本体が大きく重いが、ほかに備品がないので、移動するときに気分が楽なのだ。カバンに放りこんで、そのまま忘れていることができる。
また、使っていて安物感がないのもM-90の美点だと思う。操作部分も節度があって、触っていて気持ちが良い。電池ケースのフタなど、用もないのにカチカチ操作したくなる感触だ。
パッケージには、「交換刃は販売しておりませんので、ご了承ください」と明記されている |
一方で最大の短所は、外刃の交換用替え刃がないことだろう。ブラウンの替え刃の店頭価格は、シェーバー本体の価格よりも高いことが多い。つまり、M-90用の替え刃を商品として用意されても、M-90本体を買い換える方が安いということも考えられる。
そして、5年前に「ポケットシェーバー」を使っていたときの私は「そういうものだ」と思って、いつの間にか外刃を欠いて処分してしまった。しかし、この5年間、とくに東日本大震災や夏の節電をくぐり抜けた今の気持ちは、ちょっと違う。やはり物を大事にしたいし、長く使い続けたいと思っている。
今なら、替え刃が用意されていれば、M-90本体と同じ価格であっても、替え刃を買うと思う。正直なところ、来年になってもそう言っているかどうかは自信がないが、たぶん言い続けているような気がする。今の日本では、こういう気持ちの人は意外と多いと思うので、M-90本体よりは安い価格で替え刃を用意してくれれば、買うときの心の負担が軽くなる人は多いと思う。
一ユーザーとして、ぜひブラウンには、前向きに検討していただきたいと思う。
2011年10月27日 00:00