家電製品ミニレビュー

三菱「除湿乾燥機 MJ-100EX」

~ムーブアイで乾きムラを見逃さない!
by 阿部 夏子
三菱「除湿乾燥機 MJ-100EX」

 主婦にとっては嫌な梅雨の季節がやってきた。洗濯物は乾かない、浴室のカビは気になる、室内の壁やクローゼットの湿気も気になる。今回紹介するのは、こんな梅雨時期の悩みを一気に解消できる家電製品、除湿乾燥機だ。空気清浄機や加湿器に比べて、まだまだ普及率が低い家電製品だが、実は年々進化している。

 2010年モデルでは、イオンで除菌や消臭する、空気清浄機のような機能を併せもったものから、センサーで湿度や温度を自動で感知するものまで様々な製品が出揃った。そんな中、私が注目したのが今回紹介する三菱の除湿乾燥機「MJ-100EX」だ。


メーカー三菱電機
製品名除湿乾燥機 MJ-100EX
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格33,505円


 MJ-100EXの最大のウリは、「ムーブアイ」で洗濯物を検知して乾きムラを抑えるという点。ムーブアイといえば、CMでもおなじみの同社の代表的な技術の一つ。エアコンや冷蔵庫などにも搭載されているセンサー制御技術だ。たとえば、エアコンに搭載されているムーブアイでは、人の位置を検知して人のいる方向に効率的に送風する。MJ-100EXではムーブアイが洗濯物の乾きムラを検知して効率的に衣類乾燥を行なうというのだ。

 我が家では、スペースの都合上、洗濯乾燥機の導入を断念しているが、梅雨時期の衣類乾燥は大きな問題だ。最新の除湿衣類乾燥機がどのようなものかさっそく試してみた。

 「MJ-100EX」の本体サイズは、360×210×534mm(幅×奥行き×高さ)で、このタイプの除湿器としては小さめの印象。ただし、持ち上げてみるとしっかり重量はある。重量は12.7kgで、女性が持ち上げるのにはかなり力がいる。ただし、本体底部には移動用のキャスターがついているので、平面での移動なら簡単にできる。

本体左側面。タンクが下側に設置されている本体右側面本体上部には移動用の取っ手が用意されている
本体背面背面のフィルターは取り外しできる電源コードの長さは1.8m

 特徴的なのは、本体前面のルーバー(風の吹き出し口部分)に設けられているセンサー部分。これがムーブアイだ。このムーブアイが上下左右をセンシングし、洗濯物が乾いているか湿っているかを見分けるという。三菱電機によると、センシング範囲は左右100°、上下150°。広範囲をセンシングすることで、たくさんの洗濯物を干したときも乾きムラを見つけることができるという。

 ただ、濡れている箇所がわかっても、乾かせなければ意味がない。MJ-100EXではその点もしっかりカバー。上下左右だけでなく、一点を狙って送風できる「3次元広角狙えルーバー」を搭載している。風路を絞ることで、風を強くし集中的に送風することもできる。

 

ムーブアイでは左右100°、上下150°の範囲を検知するという3次元広角狙えルーバーでは左右上下へ送風するほか、風路を絞ってスポット的に送風することもできる

 

 ルーバーの形状は、確かに空気清浄機や一般的な除湿機にくらべると複雑で、下方向から上方向まで自在に動くようになっている。また、吹き出し口を除いてみると仕切りがいくつも設けられている。

本体前面のルーバー部分。中にはいくつも仕切りが設けられている吹き出し口の中央部分にムーブアイが設置されている

 このように、高度な技術を搭載しているMJ-100EXだが、操作の方は至って簡単。基本的にセンサーが自動で運転を制御してくれるので、衣類乾燥や除湿運転、浴室の乾燥に至るまでスイッチを入れるだけだ。それぞれのモードで乾いたのを感知すると自動で運転が停止する。

 本体の除湿能力は1日10L。排水タンクの容量は3Lだ。運転中、排水タンクが満水になると、これまた自動で運転が停止する仕様になっている。

本体上部の操作パネル排水タンクの容量は3Lタンクの上部には満水を検知するセンサーが付いている

外に干すよりしっかり乾く!

 まずは、衣類乾燥モードを使ってみよう。といっても、何の用意も必要ない。洗面所にびっしりと洗濯物をセットしたら、本体を洗面所に移動して後はスイッチを入れるだけだ。

 スイッチを入れてまず驚いたのは、ムーブアイの動き。室内を見回すように、左右をぐるぐると見ている、そう、本当に見ているようなのだ。同社によると、上下左右、全441エリアの温度を赤外線センサーで検知しているのだという。この動きは約3分ほど続き、洗濯物が干してある場所に向かって送風運転が始まる。


スイッチを入れたあとムーブアイが室内の温度を検知している様子。上下左右に動くこの動きは約3分間続く

 本体の運転音は50dBで、決して小さいとは言えないが洗面所のドアを閉めてしまえばリビングまでは聞こえない。

 狭い場所にびっしり洗濯物(6kg相当)を干してあるので、湿度は78%。外は雨で、普通に部屋干ししたらまず乾かないような環境だ。この日はそのまま仕事に出かけた。

洗面所にびっしりと洗濯物を干した本体は洗面所の隅に設置設置した時の湿度は78%

 9時間後、帰宅するとすでに運転は止まっていた。洗濯物を触ってみると当然乾いている。除湿乾燥機なのだから、それは当り前なのだが、驚いたのはフードの付いたパーカーや厚手のデニムまでしっかり乾いていたこと。パーカーはフードの部分が二重になっているため、晴れた日に外で干しても乾きムラが残ってしまう。デニムも、ジッパーの部分やポケットの内側など、普段なら乾きムラが気なるが、それがしっかり乾いているのだ。

 タンクをのぞいてみると、ほぼ満水の状態。本体の手入れについてはまた後で詳しく述べるが、使用後のメンテナンスは基本的にこのタンクの水を捨てるだけ。設置や、メンテナンスの手間が少ないのも除湿乾燥機の大きな特徴だ。

この状態で干していたのにも関わらずしっかり乾いていたフードが付いたパーカーも乾いていたタンクを見るとほぼ満水の状態だ

洗面所にびっしりの洗濯物が朝までに乾いた!

 次に夜干しモードを試してみる。基本的な使い方は衣類乾燥モードと変わらないが、夜干しモードでは運転音を39dBに抑えているほか、満水時のアラーム音が鳴らないようになっている。先ほどと同じ要領で、洗面所に洗濯物を干したらあとはスイッチを押すだけ。

 朝(約8時間後)には運転は止まっていた。もちろん、洗濯物もしっかり乾いている。洗濯は可能であれば朝や昼など日のあるうちにした家事だが、仕事をしている人にとってはそうもいかない。夜干した洗濯物が朝起きたら乾いているなんて、こんなに楽なことはない。


 エアコンやサーキュレーター、浴室乾燥機能など、部屋干し対策を謳っている製品は多々あるが、衣類の温度を感知して、濡れている衣類に向けて送風するというのはMJ-100EXだけだ。

約9kgの洗濯物を半ば無理やり洗面所に干した朝にはしっかり乾いていた。干していた洗濯物を畳んだ状態。バスタオルなど大判のものも乾きムラは一切ない

広い部屋よりは密閉状態の狭い部屋で

 これまでは、広さ3畳程度の洗面所を密閉させた状態で使用してきたが、今度はもう少し広い6畳の部屋に洗濯物を干して衣類乾燥をしてみた。

 結果はイマイチ。出勤前にセットして帰宅後(約8時間後)、本体をチェックしてみるとまだ運転中の状態。結局、1時間後にタンクが満水で運転がストップしてしまった。確かに、タンクは水で一杯だが、洗濯物の乾き方は、ムラがあって湿っている箇所が目立つ状態だった。

 洗面所で使っていたときは、8時間後には必ず乾いていたので、これには少々びっくりした。改めて説明書を見てみると、推奨使用場所として、狭くて密閉できる場所とある。その意味で洗面所はぴったりだったようだ。

 運転音のことなどを考えると、人がいるリビングで日常的に使うというよりもどこかほかの部屋を用意するほうが良さそうだ。また昼間は人がいない我が家の場合、外出中や就寝中など人が動いていない時間帯にメインで使っている。

次に六畳の部屋に洗濯物をセットした衣類乾燥モードを選択。運転スタート時の湿度は73%洗濯物が乾くより先にタンクが満水になってしまった

お風呂場の壁が1時間でカラカラに

 ここまでは、衣類乾燥をメインに紹介してきたが、今度は浴室乾燥の機能について見ていこう。MJ-100EXには浴室乾燥専用の「浴室カビガード」機能というのが搭載されている。

 とにかくマンションの浴室は湿気がこもりやすい。以前住んでいたマンションの浴室は、窓がついていなかったため、カビを抑えるためにほぼ24時間換気扇を回す必要があったくらいだ。

 入浴後の湿度は80%以上。壁には水滴がびっしり、浴室内に入るだけでムンムンとするような状態だ。浴室の外から、吹き出し口を浴室内に向けてスイッチを入れる。

入浴後の浴室の湿度は80%。カメラのレンズがあっという間に曇ってしまう壁や天井にも水滴がびっしりとついている状態だ浴室の入り口に本体を置いて運転を開始する

 運転開始から1時間後、浴室内を見て驚いた。さっきまで確かにあった壁や天井の水滴が見事に消えているのだ。触ってみるとサラっとしている! 長年浴室のカビに悩まされていた私にとって、これはかなりの衝撃で、思わず家族を呼んで確認させてしまったほどだ。

 よく見てみると、床の大きな水滴はそのままだったが、掃除で大変なのは床よりも壁や天井の方だ。それが1時間でここまで乾くなら、毎日でも使いたい。ちなみに1時間の湿度は39%まで下がっていた。

1時間後の湿度は39%まで下がっていた壁や天井を触ってみるとほとんど水気がない1時間運転後のタンク

 結局その後自動停止するまでには3時間程度かかったが、窓がない浴室で24時間換気扇を回していることを考えれば、3時間でカラカラに乾かしてくれる除湿乾燥機の方が断然オススメできる。

洗濯乾燥機とは違うニーズにも

 ここまで使ってみて、MJ-100EXやっぱりいい! と周囲の人間にふりまいていた私だが「でもその機能なら洗濯乾燥機でも一緒じゃない?」と言われた。確かに、洗濯乾燥機なら、帰宅するまで、朝までと言わず、2時間強であっという間に洗濯物を乾かしてくれる。もちろん、乾きムラもない。ただ、除湿乾燥機ならではの強みもあるということをわかっていただきたい。

 まず、1つ目はシワや縮みが少ない。洗濯乾燥機では熱で衣類を乾燥させるので、衣類によってはシワが目立つ仕上がりになってしまう。また、Tシャツなどが縮んでしまうこともよくある。その点、除湿乾燥機では外干しと同じようにピンチやハンガーを使って干すのでシワが付きにくい。Tシャツなどはそのまま着れてしまう状態で乾かすことができるのだ。

 2つ目は、衣類が熱くならないということだ。洗濯乾燥機で乾かした衣類は熱いので、これからの時期、取り出してそのまま着ると、着替えたばかりなのにすぐに汗だく――なんてことになりかねない。除湿乾燥機では熱で乾かすのではなく、除湿することで衣類を乾かすので衣類が熱くならない。

 3つ目は電気代が抑えられること。MJ-100EXの消費電力は245W/270W(50Hz/60Hz)。一方、洗濯乾燥機の乾燥時の消費電力は軒並み1,000W以上となっている。MJ-100EXの場合、1時間当たりの電気代は、5.4円/5.9円(50Hz/60Hz)で、連続8時間程度運転した場合の1回当たりの電気代は50円にもならない。

 また、設置性の高さも大きなメリットの1つだ。本体サイズはもちろんのこと、移動も簡単に行なえる。配線工事なども一切必要ない。くわえて、本体そのものの価格も3万円前後で、洗濯乾燥機に比べると1/3以下だ。

 我が家のようにスペース上の問題で洗濯乾燥機がおけないという人はもちろん、洗濯乾燥機は持っているけど、どうも使う気にならないという人まで除湿乾燥機は幅広いニーズに対応できるのだ。

家族だけでなく一人暮らしにもオススメ

 試用期間と前後して、一人暮らしの妹の引っ越しを手伝ったときに感じたのが、一人暮らしで除湿乾燥機があったら、相当便利じゃないかということ。8畳ワンルームの室内にユニットバスが付いた妹のマンションは、お風呂に入ろうものなら、部屋中に湯気が立ち込める。ユニットバスには窓がなく、換気扇のスイッチの下には「換気扇は24時時間回してください」との注意書きのシールが貼られている。造り付けのクローゼットは、浴室の真後ろで、換気を相当マメにしなければすぐにカビが生えてしまいそうな場所だ。

 何も、これは妹のマンションが特別だというわけではなく、都内の一人暮らし用のマンションなんてどこも似たりよったりの構造だ。一人暮らしだと、洗濯物を取り込む人がいないので、自然と部屋干しが多くなる。窓を開けっ放しにして出かけるわけにもいかないのでなかなか乾かない。洗濯物が乾かないだけでなく、クローゼットや浴室のカビも気になる。こういった、悩みを除湿機ならあっという間に解決してくれる。

 メンテナンスに手間がかからないというのもうれしい。運転後の水捨ては毎回だが、そのほかにやることと言えば、2週間に1度フィルターのホコリを掃除機で吸い取ることと、ムーブアイのセンサー部分の汚れを綿棒などで拭きとるだけ。本体には内部クリーンモードも搭載されているので、スイッチ1つで簡単に内部に残った水分も飛ばすことができる。

本体背面のフィルターを取り外して掃除機でホコリを吸い取る本体背面部分もホコリがたまりやすいので、掃除機でホコリを吸い取る

 除湿機というと、そのネーミングから空調機器のようなイメージが強いが、実際に使ってみると、そうではない。洗濯物をしっかり乾かしてくれて、浴室のカビもしっかり防いでくれる立派な家事家電だ。梅雨時期だけでなく、年中使える製品として広くお勧めする。