家電製品ミニレビュー

挨拶するように毎日測定! タニタの体組成計が優しくて癒される

 どんなに可愛くても、どんなに多機能でも、どんなに売れてても、私にはあまり好きになれない家電がある。それが「体組成計」だ。新商品なんて、見るだけで心踊るし、使ってみたい衝動に駆られるはずなのに、体組成計だけは出来るだけ近づきたくない(笑)。

 まぁ、体組成計自体になんの罪もない。あるのは増え続ける私の体重だ。とはいえ、もう目を背けてばかりもいられないこの状況、どうしようかと思っているタイミングで私の気持ちを知ってか知らずか、「使ってみます?」と、タニタの体組成計「BC-810」が我が家にやってきた。これは、自分の体とステキな体組成計に真剣に向き合った1カ月の話であーる。

「生活習慣を改善したい方へ」はいはーい! したいです!
メーカー名タニタ
製品名体組成計 BC-810
実売価格12,376円

 開けてみると、「おぉ。スリムでシンプルで格好いい!」まるで私が憧れているスタイルじゃないか。スリムでシンプルで格好いい……。そんな人間に私はなりたい(笑)。駆動は単三電池4つ。裏面のカバーを開けて電池を入れると、電源が入る。

外に出ているボタンも無いし、めちゃくちゃスマートでスリムな本体
単三電池4本を背面からセットします

 電池を入れたらスイッチオン。最初は設定画面が表示される。「はじめましてお世話になりますどうぞよろしくお願いします」なんて表示されると、「こ、こちらこそ」なんてついつい返事してしまう私。私の知られたくない体重なんかを洗いざらい知られてしまうので、まだちょっと緊張するというか心許せない(笑)。

 まずは本体の設定。地域、日時を選択して設定する。地域!? って思ったけれど、縦長の日本では、地域の緯度による重力差で、微妙に重量が変わるらしい。最大で60gの誤差を考慮するための設定。細かい! それだけ正確ってことだなと驚く。

画面の案内に従って上下左右ボタンを使いながら設定をしていく
体重計自体の設定を。時計を合わせて使う地域を合わせる

 次に乗る人、つまり私の設定。人の登録は8人までできる。元々使っていた体組成計は、体重計の側面に、物理的なスイッチボタンが付いていて、各ボタンに1人情報登録出来るんだけれど、このフラットでボタンなんて付いていない体組成計にどうやって登録するんだろうと思っていたら、メニュー画面で番号を選んで登録する事ができるようになっている。

 そして、登録情報には名前をつける事もできるのだ。今回私の登録情報には「よめ」夫の登録情報には「おっと」と付けてみた。これから体重を測る度に「よめさん」と呼ばれるとは思っていなかった(笑)。名前以外に、「生年月日」「性別」「体型モード」「身長」を登録する。最後に体組成計に乗って、最初の測定をして登録完了。

続けて測る人の登録も。身長や性別、そして名前も登録できる
私を「よめ」、夫を「おっと」という通称で登録してみた! 始動します!

 電源をオンにして、メニューから「呼出測定」を選んで上下ボタンで自分の登録番号を選んで乗る。もちろんそうやって測定する事も可能だけれど、実はその必要もないらしい! 後で説明書を読んで知ったのだが、「乗るピタ」という機能があり、ボタンを操作せずに乗るだけで電源オンになり、登録者の中から、自身を確認して自動で測定してくれると言うのだ。

 何かを使うときに毎回発生する「やっぱり、少しでも操作説明書は読むべきだ」問題。取り扱いが難しくないシンプルな体組成計ですらこんな驚きがある。操作が難しいのでは無く、想定の上を行く機能が潜んでいる事が多いこの頃。

 気を取り直して測定すると、数秒で体の情報が測定される。「体重」「体脂肪率」「内臓脂肪」「筋肉量」「体内年齢」「基礎代謝」「推定骨量」「BMI」「体型判断」の数値と、それぞれの前回計量時との比較が順番に表示される。単純に体重やBMIだけでは、かくれ肥満などは見つけられない。

体重だけじゃ無い。体の中まですっかり丸裸の私
前回比較も同時に表示される

 現に、我が家の場合も、男性である夫は内臓脂肪が多めで、女性の私は体脂肪が多め。そして単純に体重だけだと90kgを超えた夫はかなり肥満かと思いきや、筋肉量が非常に多いので体型判断としては「筋肉質」と判定された。体重計だと、体重ばかりに目がいってしまい、本当の意味での健康な体作りは難しいのでこういう情報は重要だなと思う。

 私の場合は全てにおいて「標準」と出たが、基礎代謝量を上げるために筋肉量をもう少し増やしたいなと思った。こうして数字で見えると対策が立てやすい。私は運動をプラスして筋肉量を少し増やした方がいいなと思うし、内臓脂肪が多めの夫には、ヘルシーな献立にして、体の中から健康になってもらいたい。「痩せなきゃね」と2人で言いながらダイエットを始めたものの、傾向と対策は全く違うのだ。

夫は筋肉質体型、私は全てにおいて標準体型。表示結果が色々違いすぎる!
体組成計によると我々夫婦は傾向が全く違うらしい

褒められると人は嬉しい

 この体組成計を使い始めてから、「毎日朝晩2回ずつ乗る」という、ルールを作った。測定するだけで痩せたりする事はないが、レコーディングって大事! 増えていたら「気をつけなきゃ」って思うし、減っていたら「この調子!」と頑張れる。そして朝晩乗っていると、1日の中でも1kgくらい上下するし、一喜一憂する必要も無いという事も分かる。

 冒頭に書いた通り、それでも中々好きになれないのが現実を突きつけてくる体組成計ってヤツでございまして、毎日の測定は楽しいものではない。そこをカバーしてくれるのが、この体組成計のコミュニケーション能力の高さだ。朝スイッチを入れると「よめさんおはようございます」って言って(表示して)くれるし、毎日欠かさずに乗っていたら、「よめさん頑張っていますね」と褒めてくれる。乗るだけで褒められるなんて嬉しい。期待に応えるべく、そりゃ乗るよね(笑)。私は褒められて乗せられるとすぐに調子に乗って頑張っちゃう方なので、めちゃくちゃ相性がいいんだと思う。夫ですら「頑張ってるね」なぁんてあまり言ってくれないぞ!

 私の場合は、測定後の数値も、その後の一言コメントも全部見て、モチベーションあげたりするけれど、夫は測定が終わった瞬間にスイッチ切っちゃう人で、夫のようなタイプは特にこのコミュニケーション機能はあまり惹かれないかもしれない。むしろもう少しちゃんと向きあえよ! って思っちゃったけれど……。

体重測定後、毎回何かしら声をかけてくれる。提案系はあれど、ネガティブな言葉は絶対に出てこない
ポジティブなメッセージで、測定への抵抗感はすっかりなくなった。

 毎日測っていると、その記録は蓄積される。まず、過去2週間、乗った日がひと目で分かるようにカレンダー形式で見る事ができる。私皆勤賞! 嬉しい。そして、毎日の測定内容を時系列のグラフで見る事ができる。毎日「太ったー」「痩せたー」なんて一喜一憂しても全く意味がないことをしみじみ思う。グラフも大きめの画面で非常に見やすい。

 グラフ表示は日単位と週平均の2種類。日単位では結構上下するけれど、週単位で見ると傾向がわかりやすいように感じる。私の場合も、そこまで効果が出ていないと思っていたけれど、少しずつ体脂肪が落ちている。これは嬉しい。毎日測定して、時々変化を確認する。そんな測定ライフが確立された。

 最初は、スマホにデータが送れたらいいのに、と思ったけれど、まぁ、そこまでいつでもどこでも見るものではないので、機能を増やしすぎるよりもシンプルに見やすく本体で完結している方が良いのかな。画面表示が分かりやすいので、あまり不満を感じない。

測定した日がカレンダー形式で表示される
見やすい画面にグラフ表示。長期で見ていく場合は週単位表示がオススメ

 たった1カ月弱でも、人間の習慣って変えられるもので、朝起きて測定し、帰ってから測定する。シンプルだけれど、ダイエットをする上でも大切な習慣を手に入れられた。そして人間って見栄っ張りなもので、体組成計相手にも「太った」とあまり思われたくなく、間食も帰りの寄り道も避けたくなって、その日のベストを記録したくなる(笑)。

 レコーディングダイエットの効果ってこういうことかと、まんまと体組成計に乗せられて(実際乗っているのだが 笑)せっせと日々の小さな努力をするようになった。特別無理なダイエットをしているわけではないが、小さな積み重ねで、小さな効果は出始めている。

 ダイエット目的でなくても、毎日の自分の状態を知ることは、健康に大きな役割を担っていると思う。この小さな習慣を今後も続けたい。

 体組成計は、ただ「測る」というのが主な機能だ。もちろん、それを記憶する。見やすく可視化する。なんて機能も付いているけれど、乗っていると痩せる訳でもないし、乗らなくても太っても怒られることもないし、何かを促される事もない。

 ただ、淡々と計ってくれるだけなのに、明らかに意識が変わるのだ。毎日会話をするように「おはよう」「頑張ってますね」と表示してくれるだけなのに、毎朝毎晩挨拶をするような気分で自ら乗りに行く。そんな毎日が、なんとなく楽しかった。

 決してスリムになってもないのだけれど、「見たくない!」と目をそらす事もなくなったし、苦手意識もなくなった。歯医者が大嫌いな人が、とても良い歯医者に出会って、怖くなくなった。みたいな感覚に近いかも。人に優しいインターフェイスってこういう事なのかもなぁと、デジタル表示の笑顔に効果を感じた体験だったのであります。

毎日乗るのが楽しくなった体組成計にありがとうな気分!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まない30代後半。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。

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