家電製品ミニレビュー

開発者に聞く! 「ナノケア」ドライヤーの正しい使い方でさらなる美髪をゲット

 毛髪美容機をコンセプトにするヘアードライヤー「ナノケア」。価格は20,000円弱と高価だが、髪がまとまる、しっとりするという仕上がりの良さから、女性から絶大な支持を得ている。

 先日、そのナノケアを開発する滋賀県・草津市のパナソニック アプライアンス社に伺い、ナノケアが女性から支持され続ける秘密を探ってきた(記事はこちら)。今回は、その際に開発者から聞いた、ナノケアの効果的な使い方をご紹介しよう。

ヘアードライヤー「ナノケア EH-NA98」
メーカー名パナソニック
製品名ヘアドライヤー ナノケア
品番EH-NA98
実売価格18,458円

 ドライヤー「ナノケア」は、独自イオン「ナノイー」と、ミネラルを髪に吸着させる「ミネラルマイナスイオン」により、乾かしながらキレイな髪へ導ける点が特徴。水分を多く含む微粒子イオンであるナノイーで、髪の水分バランスを適切に保ってしっとりさせ、ミネラルマイナスイオンでキューティクルをはがれにくくし、ダメージに強い髪にするという。

 筆者はこれまでさまざなドライヤーを使ってきたが、ナノケアの仕上がりの良さは段違い。乾かしている途中から髪がツルツルしてくるのがわかり、使用後はしっかりまとまっている。

吹き出し口の上に、独自イオン「ナノイー」と「ミネラルマイナスイオン」の発生口を備える
ナノケアで髪を乾かした後。髪がしっとりし、まとまりやすい

 しかし、ナノケアはその性能の良さがある反面、多機能で操作が複雑に感じることもある。風量だけでなく風温も細かく調節できるほか、温風と冷風を交互に出す「温冷リズムモード」や、イオンチャージPLUSなどさまざまな機能を備える。

 そのため、いまいち使いこなせていないモードがあるのも正直なところ。今回話を伺った、パナソニック ビューティー・リビング事業部 商品企画部 清藤 美里氏には、そうしたナノケア独自のモードを中心に、効果的な使い方を教えてもらった。

パナソニック ビューティー・リビング事業部 商品企画部 清藤 美里氏
ナノケアを開発する滋賀県・草津市にあるパナソニック アプライアンス社。毛髪の研究を進める「髪の基礎研究所」も見せてもらった

 基本的な操作としては、ハンドル部の風量スイッチで「SET/DRY/TURBO」に切り替え。ヘッド部のボタンで風温を「HOT(125℃)→温冷リズム→COLD(冷風)→SCALP(約60℃)」から選択する。

 このほか、風量と風温を組み合わせることで使えるモードも用意。風量をTURBOまたはDRYに、風温をHOTにした状態で、風温ボタンを長押しすると「インテリジェント温風モード」、風量をSETにして風温をCOLDにすると「SKINモード」になる。

 インテリジェント温風モードは、室温に合わせて風温を調節する機能。風温が自動調節され、お風呂あがりでも快適な温度で髪を乾かせるため、夏の暑い時期などに適している。SKINモードは、冷風とともにナノイーイオンを顔に当て、顔のうるおいを保ちしっとりした肌にするという。

ハンドル部で風量をSETにして風温をCOLDにすると「SKINモード」になる
風温ボタンはヘッド部に。約60℃のSCALPモードにした状態

使いこなせない「温冷リズムモード」を攻略! さらにまっすぐツヤツヤに

 複数あるモードの中で、筆者がどうしても使用シーンが見えず使いこなせていないのが、温風と冷風が約5秒間隔で切り替わって吹き出す「温冷リズムモード」だ。より広い範囲に風を当てようと本体を揺らしながら使っていると、髪に温風と冷風が当たる部分にムラが出てしまう。HOTの次に選択できるモードなので重要度は高そうだが、使う機会がなくいつもボタンを早押ししてスルーしている。

 そもそも温冷リズムモードのメリットは、髪に温風と冷風を交互に当てることでクセを伸ばして、ツヤのあるストレートヘアに仕上げられること。温風であたためながらクセを伸ばし、冷風で冷やすことでまっすぐにした髪をキープする。これにより髪の表面が整うため、光が反射してツヤ感のある髪になるという。

温風と冷風が約5秒間隔で切り替わって吹き出す「温冷リズムモード」

 普段、筆者はドライヤーを小刻みに揺らしながら使っているが、温冷リズムモードでは揺らさずに、じっくりと風を当てるのがポイント。

 清藤氏によると、オススメは通常のHOTで90%くらい髪が乾いたら、温冷リズムに切り替える使い方だ。1つの毛束につき「温風→冷風」と、2ストローク当てると、効果的に髪をまっすぐにできツヤを生み出せるという。温冷は5秒ごとに切り替わるので、根元から毛先まで当てるには十分な時間だ。

 実際にこの方法で髪を乾かしてみた。最大風量/風温の「TURBO/HOT」で全体を90%ほど乾かしたら、温冷リズムを選択。毛束は細かく分けると時間が掛かってしまうので、髪を左右に分け、それぞれ内側と外側から風を当てた。根元から毛先まで温風を当て、冷風に変わったらまた根元から毛先まで風を当てる。

温冷リズムモードを使うときは、本体を揺らさずにじっくりと風を当てる

 左側だけ温冷リズムモードを使ってみたところ、左右で仕上がりに違いが見られた。温冷リズムを使っていない方もしっとりしているが、温冷風を当てた方はさらにまっすぐに。

 そのまま寝て、朝起きた時の髪も寝癖がついていない。ヘアアイロンを使わなくてもキレイなストレートヘアになっているので、あとはブラシで梳かすだけで外出できた。忙しい朝の時短になるし、アイロンを使わないことで髪に熱ダメージを与える機会が少なくなるのも嬉しいポイントだ。

 温冷リズムを使うと、普通に乾かすよりも仕上げに多少時間は掛かる。しかし、夜に乾かすなら気にならないし、より効果的なヘアケアをしたい人にはオススメできるモードだ。

乾かした直後。温冷リズムを使っていない向かって左側もしっとりしているが、温冷風を当てた右側はさらにまっすぐになった
朝起きたときの状態。ブラシで梳かしただけで十分外出できる仕上がりに

 また、今回使った新モデルの「EH-NA98」は、従来モデルよりナノイーの発生量が約20%アップした。筆者はこれまで2014年に販売された「EH-NA96」を使っていたが、運転モードは一緒でナノイーの発生量が主な違いとなる。

 仕上がりは、新モデルの方が寝起きのまとまりがさらに良くなったように感じた。初めてナノケアを使う人なら、さらに仕上がりの違いを感じられるだろう。

2014年モデルのEH-NA96(左)と、新モデルのEH-NA98(右)

パネルを握ってマイナスの電気を逃がす「ナノイー イオンチャージPLUS」

 もうひとつ、ナノケアで気になっている機能が「ナノイー イオンチャージPLUS」だ。ハンドル部にイオンチャージパネルを備えており、ここを握りながら乾かすことで「ナノイー」と「ダブルミネラルマイナスイオン」をさらに付着しやすくするという。

 しかし筆者はドライヤーを持つときに、ハンドルとヘッドの接続部あたりを握ってしまうクセがある。パネルはハンドルの中央に配置されているので、しっかり握れずきちんと効果を発揮できているか不安だった。きちんとパネル部分を握らなくては……と思うと、いつもと持ち方が変わってしまい少し違和感がある。

 そこで清藤氏に聞いてみると、どうやらパネルは一部でも手が触れていれば大丈夫だという。

ハンドル背面に備えるイオンチャージパネル。しっかり握らなくては……と思っていたが、少し触れているだけでも大丈夫だという

 そもそもこのパネルは、髪にたまったマイナスの電気を逃がしやすくするためのもの。ナノケアに搭載されているナノイーとダブルミネラルはマイナスの電気を持っており、髪にあてると髪がマイナスに帯電する。そのまま乾かし続けるとマイナスの電気がたまり、マイナス同士が反発してナノイーとダブルミネラルが髪に付着しにくくなる。

 イオンチャージパネルは、0Vとプラスの電圧に周期的に自動で切り替わるため、手が触れていると髪にたまったマイナスの電気を逃がしてくれるという。少しでも触れていれば電気が逃げるため、ナノイーとダブルミネラルを付着しやすくする。仕組みをしっかり理解できたため、それからは無理にパネルを握ろうとせず気楽に乾かせるようになった。

「ナノイー イオンチャージPLUS」の仕組み。公式サイトより抜粋

速く乾かすのに付属のセットノズルは付ける? 付けない?

 なお、ナノケアはキレイな髪に仕上げるだけでなく、速乾性にも注力している。風量は1.3m3/分と標準的だが、独自の速乾ノズルを採用しており効率よく髪を乾かせる。この速乾ノズルは、吹き出し口に仕切りがついており、強風と弱風を同時に発生する。毛束をほぐすように送風でき、風のあたる表面積を増やし、スピーディーに髪を乾かせるという。

 実際、最大風量/風温の「TURBO/HOT」で、乾かし終えるのに掛かった時間は約4分。筆者の場合、風量2.0m3/分や2.4m3/分のドライヤーでは3分30秒で髪が乾くこともあるが、30秒の差は許容範囲だろう。また、ナノケアの仕上がりのキレイさを考えると、速乾性との両立は十分にできていると感じた。

吹き出し口に仕切りがついた速乾ノズル。強弱のついた風を発生する
毛束をほぐすように送風でき、スピーディーに乾かせるという

 なお、ナノケアにはセットノズルも付属しているが、これは早く乾かしたいときには使わない方が良い。セットノズルは風を集めるためのものであり、ブローなどに適している。

 筆者は友人の家に行くたびに勝手にドライヤーをチェックしているのだが、ナノケアユーザーでセットノズルを付けたまま乾かしている人が結構いる(あくまで筆者調べ)。だが、ナノケアは速乾性を求めるときはセットノズルの装着を推奨していない。

 清藤氏に聞いたところ、やはり早く乾かしたいときはセットノズルは装着しない方が良いとのことだった。

付属のセットノズルを装着
風を集めるノズルなのでブロー向き

 また、もうひとつ早く乾かすのに重要なのは、ヘッド後方にある吸気口のお手入れ。吸気口は、周りの空気を吸い込んでいるためホコリが付きやすく、ホコリが付いたままになっていると風量が低下する。

 ホコリがびっしり付いている状態で使用するのと、ホコリを掃除してから使うのでは同じ製品でも風量にかなり差がでる。最近ドライヤーの風が弱くなってきたな、と感じる人はぜひ吸気口をチェックしてみてほしい。

ヘッド後方の吸気口はホコリがついていないかチェック

 以上が開発者から聞いた、ナノケアの効果的な使い方だ。中には説明書に載っている情報もあるが、ドライヤーは使い方がわかりやすい分、説明書を読み込むこともなかなかないだろう。改めて開発者から使い方を聞けて、より納得できた部分も多かった。

 美髪にこだわりたい人は、一度こうした乾かし方で試してみてほしい。普段何気なく使っているときとの、違いが感じられるはずだ。

西村 夢音