家電レビュー
突然起こる停電、ブルーティの冷蔵庫用ポタ電FridgePowerで食品を守る
2026年9月1日 08:04
例年、夏は台風に伴う災害が日本列島を襲うところではあるが、今年はそれだけではなかった。7月28日には熊本でマグニチュード7.1の大地震が発生、広範囲で被害が出た。また8月13日から千葉県を中心に線状降水帯による豪雨があり、住宅被害が2,300棟を超える大災害となった。被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げる。
台風であれば、数日前から接近がわかるので準備もできる。だが地震や豪雨のような災害は突発的で、規模も予想ができない。どのような被害を受けるかは状況にもよると思うが、千葉県の豪雨の例では、マンションであっても地下の電気室が浸水で故障し、全棟停電になるといった被害もあった。もはや日本のどこに住んでいても、インフラの断絶にある程度耐えられるような準備は必要と考えざるを得ない。
日本はそうした文脈で、ポータブル電源がよく売れている国である。多くは電力の備蓄がメインであり、時折キャンプに持ち出すという人もいるだろう。ただ日常生活の中で使っていくには、そうした機会がない、あるいは置いておける場所がないといった課題があるように思える。
一方米国は、自然災害よりもむしろインフラの老朽化によって、停電が頻発する国である。しかも一旦停電するとすぐには復旧しないということもあり、日常的な停電対策としてポータブル電源が売れる国である。
2~3日の停電で困るのが、冷蔵庫だ。米国の地方部ではスーパーが近くにないといった事情から、大型冷蔵庫に冷凍食品を大量にストックする家庭が多い。停電するとまず食料に困るわけで、その不安を解消する商品が登場している。
スリム型の冷蔵庫サポート電源としてはJackery 「SlimPower H1」が先に登場したが、実は米国ではもう一つ製品がある。それが今回ご紹介するBLUETTI「FridgePower」だ。クラウドファンディングでは今年4月より販売が開始されており、Jackeryより2カ月ほど早く発売されている。累計で3億5,800万円以上の資金を集めたヒット商品である。
もっとも2カ月程度の差であれば、開発のスタートはほぼ同時期であろう。冷蔵庫用電源というコンセプトは、2024年にクラウドファンディングが開始された「Backup by BioLite」という製品が一番最初のようだ。CESでは2025年にイノベーションアワードを受賞している。ただ量産化に苦戦しており、一般発売はまだされていないようだ。
従って、日本で選べる現実的な選択肢は、BLUETTI「FridgePower」か、Jackery 「SlimPower H1」の2択ということになる。今回はサンプルとしてBLUETTI「FridgePower」をご提供いただいて1カ月ほど試用してみたので、どういう特徴のある製品なのかをご紹介したい。
2,000Whクラスをスリム化
現在ポータブル電源の世界では、1,000Whクラスが価格、重量、性能でもっとも買いやすいところである。これで利便性に気づき、2台目以降は2,000Whクラス以上という流れになっている。
ただ2,000Whクラスだとそこそこのサイズになる。置き場所がキッチンとなると、調理家電や調理器具、常温食材などでいっぱいで、なかなかバッテリーの置き場所を見つけられなかった。BLUETTI「FridgePower」は、置き場所を冷蔵庫の上に設定した製品である。横の隙間に入ればそこでもいいし、壁掛けにも対応する。ただし重量が19.5kgあるので、地震などの懸念を考えると、日本ではやはりどこかに平置きするのが良いだろう。
FridgePower本体は幅35cm、奥行き58cm、高さ7.5cm(脚部装着時は約7.8cm)の薄型だ。本体正面に電源ボタンと残量ディスプレイ、背面にコンセントほか端子部がある。エアフローは背面吸気・側面排気となっているため、その部分は10cm程度空けておく必要がある。また冷蔵庫上面の凹凸に合わせて、高さが調整可能な脚部が付属している。
また持ち運びする際には、ハンドルストラップを取り付けることができる。このあたりはJackery SlimPower H1にはない工夫である。一方でFridgePowerには、SlimPower H1のように縦置きするための脚部が付属しない。隙間に挟むように縦置きすることは可能だが、両者とも一長一短がある。
スペックとしては、容量2,016Wh、最大AC出力1,800W、最大AC入力1,200Wとなっている。AC出力は2系統で、USBなどのDC出力はない。またソーラーパネル用のXT60入力もあり、こちらは最大1,000Wとなっている。バッテリータイプはリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)で、10年以上使えるとしている。
基本的にはFridgePowerを冷蔵庫と壁コンセントの間に挟み込むだけで、設定なしで動作する。UPS機能を内蔵しており、普段はコンセントからの電力をスルー出力するが、停電の際には10msでバッテリー出力に切り替わる。
付属の電源ケーブルは、ストレートタイプだ。日本の冷蔵庫は、壁にぴったり付けられるよう、電源プラグは出っ張りが少ないL字型にしてある。これはJackery 「SlimPower H1」でも同様だが、日本で販売するのであれば電源プラグはL字型にすべきであろう。
動作時間の目安として、公式サイトでは一人暮らし用の150~250L冷蔵庫で約30~40時間、2~3人用の300~450Lで約20~30時間、ファミリー向け500L以上で約15~20時間となっている。
ただ筆者宅で最近購入した冷蔵庫は433Lだが、平均消費電力が30Wぐらいしかないので、約30~40時間ぐらい動作するということになる。BLUETTIの見積りは、おそらく冷蔵庫の定格で見ているのではないか。実際には冷蔵庫はサイズが大きいから消費電力が増えるというものではなく、一旦冷えたら平均動作電力はどれもだいたい30W前後で、サイズでは変わらない。正確には年間消費電力量から見た平均W数をベースに動作時間を割り出すべきだろう。
本体だけでは容量不足と感じた場合は、同サイズの拡張バッテリーを3台接続できる。1台あたりの容量は同じ2016Whなので、合計8,064Whとなる。拡張バッテリーには18W出力のUSB-C端子が1つ付いている。
バッテリー残量や動作温度などは専用アプリで確認できるが、そこまでする必要はないという方向けに、オプションでBluetooth接続のステータスディスプレイ「Display 1」がある。これは背面スタンドで自立するほか、マグネットで冷蔵庫に貼り付けられる。バッテリー残量や入出力ワット数、温度、湿度などが確認できる。
専用アプリで多彩な動作モードが使える
ポータブル電源は、以前は本当に電気を吸って吐くだけだったので設定も何もなかったのだが、昨今は節電機能やUPS機能、動作タイマーなど多彩なコントロールが可能になっている。BLUETTIもその例に漏れず、専用アプリでかなり細かく設定を変更できる。
トップ画面では電気の入出力状況とバッテリー残量がグラフィカルにモニターできる。設定でまず確認しておくべきは、稼働モードだろう。ここでは電力スルーとバッテリー出力の切り替えのルールを設定する。
スタンダードUPSモードでは、系統電力とソーラー入力の両方に対応するが、ソーラー入力はフルで利用し、足りない分を系統電力から補う。基本的には電力を出しながら、バッテリーはフル充電に向かうという動きだ。
PV優先モードは、指定したバッテリーのパーセンテージまでは系統電力とソーラーで充電し、それ以上はソーラーによる充電でまかなうという設定だ。ソーラー充電の容量分を残しておく、というイメージである。
時間制御モードは、系統電力もソーラーも指定された時間内だけ充電し、それ以外は放電のみ行なうという設定だ。安い深夜電力を契約しているかたは、深夜だけ充電して、日中は放電のみにするという使い方ができる。
ただし放電中の時間帯でも、出力が小さい時は系統電力からのスルー出力となり、残量を確保するようだ。一定の出力に到達すると、系統電力からの入力はゼロに切り替わる。
カスタムUPSモードは、PV優先モードと時間制御モードを組み合わせて利用できる設定だ。最低電力残量を指定し、それ以上はソーラーからの充電を優先しつつ、系統電力からいつ充電するかを指定できる。
災害警報機能は、押さえておきたいところだ。これはスマホで災害警報を受信すると、系統電力とソーラーを使って最大容量まで自動的に急速充電する。災害警報が解除されると、元の設定に戻る。現時点ではまだ実際に動作したことはないが、いつか役に立つ時が来るだろう。
最後に筆者宅の使い方をご紹介しておく。筆者宅では冷蔵庫がベランダから遠いので、FridgePowerにはソーラーパネルを接続せず、系統電力だけで動かしている。接続しているのは冷蔵庫のほか、ウォーターサーバーと電気ケトルだ。ウォーターサーバーは替えの水タンクが十分あれば、断水しても飲料水には当面困らない。
ウォーターサーバーには給湯機能もあるが、利用頻度が低いので切っている。その代わり使う時だけ、使う分だけを電気ケトルで沸かすわけだ。停電時にカップ麺はあっても、お湯がなくて食べられないという事態を避けることができる。
FridgePowerには電力リフト機能があり、最大3,000Wの純抵抗負荷をかけても停止しないようになっている。実際に3,000Wが出るわけではないので、電気ケトルは沸くまでにそれなりの時間がかかるが、使えないわけではないのは助かる。
稼働モードは、時間制御モードを使用している。調理家電など他の家電製品で電力をたくさん使う時間帯はバッテリーで駆動させ、それ以外の時間帯で系統電力からの充電を行なうことで、電力ピークを抑えている。筆者宅は3人暮らし、時々もう一人増えるといった人数だが、系統電力は20Aしか契約していない。複数のポータブル電源でピークシフトして電力利用を均しているので、エアコンや調理家電などを我慢せずに使っても、ブレーカーが落ちたことはない。
冷蔵庫に限らず使えるポータブル電源
FridgePowerの強みは、2,000Whクラスの電源容量もさることながら、出力が1,800Wあることだ。これはいざとなればエアコンが稼働できる。Jackery 「SlimPower H1」は出力が800Wだったので、エアコンが稼働できない。
真夏の停電では、冷蔵庫も重要ではあるが、開閉しなければ数時間は耐えられる。一方エアコンが1台でも動かせるのは、豪雨や強風で窓が開けられない場合に、生存の危機を回避できる。
重量が約20kgあるので、ハンドルがあっても持ち運びは男性でもまあまあキツい。室内をちょっと移動させるぐらいなら可能だが、屋外へ持ち出す場合は2人で持つか、運搬用の台車があったほうがいいだろう。
一方で、冷蔵庫の上に約20kgのものを乗せて大丈夫かというのは、検討すべき部分だ。一人暮らし用などの小型冷蔵庫なら、電子レンジを載せるなど上にものを置くことが想定されているので、カタログスペックにも耐荷重が記載されているものがある。
一方で大型冷蔵庫の場合、上にものを載せることは想定されていないので、耐荷重の記載もない製品がほとんどだ。まああんまり使わない鍋とかを載せるぐらいはどうということもないだろうが、約20kgとなると話は別である。載せるのも大変だし、下ろすのも大変だ。
個人的には冷蔵庫の脇に縦置きした方が、いざというときに引っ張り出すのも簡単なのではないかと思う。少なくとも壁掛けにできる以上、コンセント部を上にしての縦置きでの駆動は問題ないはずだ。
USB端子がないので汎用バッテリーとして使うには弱いところだが、FridgePowerは通常仕様ではほぼ満充電状態で動き続けているので、いざというときにフルの電力が手に入るのは心強い。
なおFridgePowerは9月1日よりMakuakeにて販売が開始された。本体価格244,000円のところ、初日限定で最大54%OFFで購入できる。この機会に停電対策として検討してはいかがだろうか。




