家電製品レビュー

これは画期的! 常にきれいな水で拭き掃除ができるケルヒャーの水拭きモップ「FC 3d」

 掃除機はかけるけれど、床の雑巾がけは面倒であまりしていない、という人は少なくないのではないだろうか。実際、雑巾がけは面倒だ。雑巾を濡らして硬く絞り、腰をかがめて力を入れて汚れを拭き取るなど、かなりの重労働なのだ。

面倒な床の水拭きが劇的にラクになる! 画期的なフロアクリーナーを使ってみた

 しかし床の汚れを放置しておくと、皮脂汚れでべたついたり、床の色が黒ずんだり、場合によっては菌が付着するなど不衛生な状態になる。そのため筆者は、ずいぶん前からクイックルワイパーなどのフロアワイパーにウェットシートをつけて掃除しているが、それすら面倒に感じることがある。

 スイスイ動かせればいいのだが、水拭きとなるとシート面を床にしっかり密着させ、少々力を入れて拭き上げなければきれいにならない。前に進めようにもドライシートに比べて動きにくいし、少し乾いてくると、ますます動きが悪くなる。それでも落としきれない汚れが出てきて、結局雑巾を取り出すこともあり、ラクそうでいて、意外と面倒なのだ。

 そういうわけで雑巾がけは、やらなきゃ、やらなきゃと思いながら、なんとなく後回し。コードレスクリーナーのように手軽に使えるものがあるといいな、と思っていたところ、まさにケルヒャーから、水拭きできるコードレスクリーナーが登場するという。それが今回紹介するケルヒャーのフロアクリーナー「FC 3d」だ。

ケルヒャーから7月18日に登場するコードレスタイプのフロアクリーナー「FC 3d」
メーカー名ケルヒャー
製品名フロアクリーナー「FC 3d」
実売価格42,984円

きれいな水で清掃し、汚れは回収する

 ケルヒャーといえば、ドイツの清掃機器最大手メーカーとして知られ、日本でも高圧洗浄機やスチームクリーナーが有名だ。業務用も手掛けるほどのノウハウと技術を持っている。

 そんなケルヒャーから新たに登場した「FC 3d」は、床を水拭きできるコードレスクリーナー。そもそも水拭きできるコードレス自体、そう多くはないが、なんと“業界初”のメカニズムを採用しているという。

 そのメカニズムとは「常にきれいな水で清掃し、汚れはタンクに回収する」というもの。「きれいな水で清掃する」というのは分かるけれど、汚れを回収するってどうやって……? 気になる! まずはどんな製品なのか見ていこう。

 見た目はコードレスクリーナーに似ているが、明らかに違うのはヘッド部分で、ローラーが左右に2つ装着されている。ローラーの素材は、繊維が細かく汚れを絡めとるのが得意とされるマイクロファイバー。そしてスティック部分には、水を入れるタンクが装着されている。

ヘッドには2つのローラーがついている
ローラーは同素材の色違いが2セット付属
ローラーの内側とヘッドの装着部は同じ色同士を合わせて装着する
ねじ込むように入れるだけで、コツや力は不要だ
水タンクはスティック部分に装着する

 コードレスタイプのため、使用の前には当然ながら充電が必要だ。約4時間の充電で、約20分の連続使用ができる。

 自立はしないが、スタンバイ時は付属のスタンドに立てておけるので、使いやすい場所に設置しておくと便利だ。また取っ手部分にゴムが装着してあり、壁などに立てかけても倒れにくい。

自立して収納できるスタンド付き。ただし充電台ではないため、充電時は直接コードを本体に差し込む
壁に立てかけても倒れにくいので、掃除中に少し手を離したいときに便利だ

パワフルな回転でぐいぐいと前に進む!

 では、さっそく使ってみよう。水タンクに水を入れ、電源を入れてみると……ローラーがぎゅんぎゅんとパワフルに回転し始めた! その速さたるや、1分間に500回転! あまりの力にヘッドがぐいぐいと前へ進み始めたので、ハンドルをしっかり握り直したほどだ。

ヘッドが勢いよく進む様子

 通ったところはしっかり濡れているので、水拭きできているのが分かる。水は、給水タンクから10秒に1回ローラーに供給されるため、掃除中にローラーが乾いてしまう心配はなさそうだ。

 とにかく前に進むので、掃除機をかけるというより、前に行き過ぎないようスピードを加減する感じ。ゆっくり進めれば、それだけ同じ場所を拭き取る回数が多くなるので、こびりついた汚れもすっきり落としてくれそうだ。逆にいえば引き寄せるときに少々力がいるが、慣れれば大したことはない。

汚れを回収するからきれいな水で掃除できる!

 本機のさらにすごいところは、「汚れをタンクに回収する」という業界初のメカニズムだ。そもそも雑巾やモップは、ある程度掃除したら水洗いしないと、吸収しきれなかった汚れを床に広げ始め、別の場所まで汚してしまうという欠点がある。

 一方、このFC 3dは、汚れをタンクに回収しているため、汚れを広げにくいという。その方法は、ヘッド内部に装着されたブレードがローラーの汚れを絞り取り、汚水タンクへ回収するというもの。そこに、きれいな水が供給されるので、汚れを広げることなく、きれいなローラーで掃除できるというわけだ。

カバーを開けると、汚水を溜めるタンクが内蔵されていた
カバーの内側にあるブレードがローラーから汚れをこし取ってタンクに運び、きれいな水を補給する

 ではどれくらい汚れを広げずに取り除いてくれるのか、牛乳、焼き肉のたれをこぼし、それを取り除いてみた。その結果、どちらもまったく広げることなく一発でスッキリ!

牛乳
焼肉のタレ

 これはいい! さっそく、我が家のリビングとダイニング全面を掃除してみた。ローラーのペースに合わせると、あっという間に終わってしまいそうだが、とにかく久々の水拭きなので、ゆっくり丁寧に進めることに。

 それでも、全面水拭きするのにかかった時間はわずか5分。そして溜まった汚水は……。

16畳のリビングダイニングに、廊下、キッチンまで掃除してもわずか5分。まったく力を入れずに終わった
ローラーが結構汚れている
タンクを見てみたら……ギャー!!! 黒い水がたっぷり!

 これは爽快! こんなに汚れていたのかと驚くと同時に、こんなに簡単に汚れをスッキリ落とせたのかと思うと、達成感もある。ちなみにブレードには細かいゴミが付着しており、多少のホコリなら掃除機を使わなくても掃除できそうだ。

 ちなみに汚れがひどい場合は、給水タンクに専用洗剤を入れると、よりきれいになる。この洗剤は、現時点で日本では販売されていないが、今後販売予定だという。

ブレード部分にホコリと思われる細かいゴミがびっちりついていた

ローラーのお手入れは少々ネックだが……

 FC 3dはフローリングはもちろん、汚れやすい玄関のたたきなどにも使えるよう、ローラーを2セット用意している。仕様は同じだが、色を変えることで、フローリング用、汚れがひどい場所用など、使い分けることも可能だ。

 ただしローラーは、使うたびに洗って乾かす必要がある。汚れた状態で放置したら、菌が繁殖して悪臭を放ってしまうし、次回このまま使ったら菌が床に広がってしまうため、常に清潔に保っておかなければならないのだ。それは雑巾とて同じことだが、「ちょっとしか使っていないから」とお手入れをさぼらないようにしないといけない。

ローラーは水でじゃぶじゃぶ洗えばOK
しっかり洗って天日干しするがベストだ
いちおうスタンドにはペアのローラーを収納する場所もある

 またスタンド付きで自立させられるものの、サイズが大きく存在感がありすぎるのも気になるところ。ハンドル部分を引き抜けば多少は低くなるが、存在感はさほど変わらない(笑)。ローラー部分がむき出しになる点で、掃除用具感は否めないかもしれない。

床掃除が辛くなってきた母も絶賛!

さて使い始めて1カ月弱。かなりひどかった汚れも落ちたようで、汚水の色もだいぶ薄くなってきた。そこで実家へ持っていき、母に使ってみてもらうことにした。

 というのも、母から「最近かがむのが辛くて床の拭き掃除が大変」と相談されていたのだ。筆者は、以前から床拭きロボットの導入を提案していたのだが、小さな段差や物が多かったり、犬用のマットなどが床に置いてあったりして、うまく使えるか心配だと二の足を踏んでいた。それでテレビで見かけた別メーカーの電動クリーナーを検討しているというので「ちょっと待った!」と持参したのだ。

 もうずいぶん床を掃除していないという母。実際に使い始めると、最初は引っ張られるように進むのに驚いたようで、「うまく使えるかしら」と不安げだったが、さすがは主婦歴ウン十年のベテラン。あっという間にコツを掴み、ひょいひょいと上手に掃除し始めた。

予想以上のパワーに最初は驚いたが、軽い力で進むのでかなりラクなようだ
玄関や廊下、掃除しづらいデスクの下もしっかり掃除した

 そして、隣の部屋に移動して掃除していたところ「あ、落ちてる!」と声を上げた。どうやら、ずっと気になったいた黒ずみが、見る見る落ちたらしい。私も試しにほかの黒ずみを掃除してみたら、やはり落ちていく。「腰をかがめなくていいし、力をほとんど入れずに汚れが落ちて、これはいいわ」と大絶賛だった。

 ところがまだ、別メーカーのものと迷っている様子。どうも本体が大きいのが気になるらしい。「あれも電動だし、水を出しながら振動するし、コンパクトなのよね」と迷っているので、「でもこれは、汚れを回収してくれるよ」と溜まった汚水を見せてみた。驚く母に溜まった汚水を見せたところ、「この違いはかなり大きいわ」とFC 3dの真価を実感したようだ。

ここぞとばかり、家中掃除したら、泥水のような汚れがタンクに溜まっていた。ここまで汚れが取れて、選ばない理由が見当たらない(笑)

手軽に本格的な床掃除をしたい人に

 このFC 3dは実は、ドイツならではの文化的背景から生まれたという。ドイツは土足文化のため、玄関回りなどの泥汚れを落とすためにもモップでの水拭きは必須。しかし、やはり汚れを広げてしまう拭き掃除に困っていたことから、汚れを広げず回収するクリーナーが誕生したというわけだ。

 そして、FC 3dはやはり床を水拭きする文化を持つ日本人にもピッタリ。しかも面倒な雑巾がけが、立ったまま短時間でできるのはうれしい限りだ。小さいお子さんがいて常に床を清潔にしたい人、共働きで忙しく水拭きも手軽に済ませたい人、ペットを飼っている人、そして私の母のように床掃除が辛くなってきた人など、どの世代にもおススメしたい。

田中 真紀子