e-bike試乗レビュー

電動アシスト子乗せ卒業のお父さんお母さん、BESV「CF1 LENA」がちょうどいいかもよ!

お父さんお母さんの“卒業”シーズンに最適な電動アシスト自転車、BESVの「CF1 LENA」

新年度となる4月がとうに過ぎ、ゴールデンウィークに突入してしまったが、この春に子供が小学校へ入学した、という家庭も多いはず。そうなると、そろそろお役御免の時期に差し掛かってくるのが、子乗せ自転車だ。

雨の日も風の日も、保育園や幼稚園へ子供を送り迎えするのに大活躍してきた2人・3人乗りの子乗せ自転車。朝、子供がなかなか自転車に乗ってくれなかったり、目的地に着いても降りてくれなかったり、レインカバーで守られた子供と対照的に自分はびしょ濡れで必死にペダルをこいだり。たくさんの(主に大変な)思い出が詰まっていると思うけれど、それも子供が小学校に入学するまで。その頃になると自転車に乗せる機会はなくなる……というか、年齢や体重の制限で乗せられなくなってしまう。

筆者の子供2人も、すでに1、2年前から小学生。毎日酷使してきた3人乗りの電動アシスト自転車は、もはや子供を乗せてはいないけれど、購入から8年ほど経った今もギリギリ現役だ。これまでにタイヤやブレーキパッドを何度も替え、ときにはリムも交換しながら、劣化して10kmくらいしか持たなくなったバッテリーでだましだまし乗ってきた。それなりにボロボロで、さすがに乗り換えてもいい頃合い。

そんなときに目に留まったのが、BESVの「CF1 LENA」という電動アシスト自転車だった。これは、いろいろな面で子乗せ自転車からの“卒業”にちょうどいいモデルかもしれない、と。

フレーム内蔵バッテリーとビルトインヘッドライトの個性的なルックス

BESV「CF1 LENA」

CF1 LENAは、e-bike専業メーカー・BESVのラインナップでは、いわゆる「ママチャリ」に一番近いモデルだ。乗り降りするときにまたぎやすい低いフレームで、見た目は薄いものの意外とクッション性高めのお尻に優しいサドルを装備。タイヤは取り回し時の扱いやすさと快適なスピード・乗り心地のバランスがとれた24インチを装備している。

太めの24インチタイヤは安定感抜群
サドルは薄く見えるが、クッション性がそこそこある。ハンドルを持って車体を取り回したりもできる

ボディカラーはホワイトやブラック、マットネイビーといったはっきりした色合いのものもあれば、目に優しいターコイズブルーもあって、どれもユニセックスな雰囲気。標準でリアキャリアが装着され、市販のバスケットやパニアバッグなどを取り付けて積載性をアップさせることも可能だ。チャイルドシートの取り付けにも対応するので、「下の子の送り迎えがまだ残っている」という家庭にもぴったりだろう。

リアキャリアはチャイルドシートの取り付けにも対応
市販のパニアバッグなどで積載性を高めるのもあり
純正オプションのフロントバスケット。車体にマッチしたデザインだ。価格は8,910円

ヘッドライトがフレームにビルトインされているのは、個性的なスタイリングに見える。けれど、ハンドルの角度にかかわらず常に進行方向を照らしてくれるという実用面での利点もある。そして、結構うれしいのが、標準でブレーキランプが付いていること。きちんとブレーキレバーに連動して点灯・消灯が切り替わるしくみで、夕方~夜間はかなりの安心感だ。

フレームに埋め込まれたヘッドライトはユニーク。わずかなハンドル操作で向きが変わったりしないのがメリット
ブレーキと連動するテールランプ。リフレクターになっているが、ヘッドライトをオンにすると一緒に点灯
前後ブレーキレバーを握ると一段と明るくなる

全体的な車体デザインは、BESVらしいすっきりとしたもの。他のモデルと同様フレームにバッテリーを内蔵していて目立たず、脱着可能なので付属の専用充電器を使って室内で充電できる。アシストモーターは前輪側に装備されているので、イメージとしては前輪に引っ張られるような形になるわけだけれど、走行中にそれを意識することはほとんどない。発進時も、ある程度速度を出しているところからの再加速でも、自然にアシストしてくれる。

フロント側にモーターが内蔵されている
フレームにバッテリーが内蔵
リング錠と兼用のキーでロック解除できる
取り外して、付属充電器を使って室内で充電できる

1充電あたりの最大走行可能距離は最大70km。3つの「アシストモード」と、走りに合わせて最適なパワーを引き出してくれる「スマートモード」の計4つから好きなモードに切り替えて走行でき、それによってアシストのされ方や走行距離が変化する。もっともパワフルなモードでも35kmのアシスト走行が可能なので、日常の街乗りから通勤、休日の少し遠出のサイクリングまで、まんべんなくカバーしてくれるだろう。もちろん、バッテリーがなくなってもアシストが切れるだけなので走行は可能だ。内装3段変速をうまく活用すれば、アシストなしでも問題なく走り続けられる。

ハンドル左側のスイッチ「+/-」ボタンでアシストモード切り替え。「+」長押しで「スマートモード」になる
「スマートモード(S)」では走行状況に合わせて最適なアシスト力でサポートしてくれる

家族で共用しやすいハンドル部の工夫。しかもお手頃価格

CF1 LENAが子乗せ自転車からの乗り換えにちょうどいいのでは、と思ったところは主に2つある。まず1つ目は、体格の異なるお父さんとお母さんのどちらも乗りやすい工夫が盛り込まれていること。そもそも誰でも安心して乗れるママチャリスタイルであることもそうなのだけれど、サドルの高さに加えて、ハンドルの高さ・位置調整まで簡単にできるようになっているのがポイントだ。

ステム部分にあるこのレバーを……
サイドのつまみを押さえながら持ち上げてロック解除

ステム部分にあるレバーを持ち上げてロックを解除すると、そのステムの角度やハンドルバーのポジションを変更できるようになる。ハンドル全体の前後・高さ方向の調整をフレキシブルに、かつ軽い力ででき、ポジションが決まったらレバーを戻して再びロックするだけ。小柄な人ならハンドルを引き気味に調整すればいいし、大柄な人なら進行方向側にハンドルを倒せばOKだ。

なかでもハンドルバーを前後に回転させるように調整できるのがいい。このおかげでステムの角度を大胆に変えても、ブレーキレバーやシフト、メーターディスプレイなどは操作・視認しやすい最適な角度を維持できるようになっている。サドルの調整ももちろんクイックリリースタイプなので、お父さんとお母さんの2人の間で無理なくCF1 LENAを共用できるのだ。子供がもう少し成長したときには家族みんなで使う、なんてことも可能なはず。

手前に引いた状態にすると小柄な人でも扱いやすい
遠めにセットすることで大柄な人向けのポジションになる
サドルの高さもクリックリリースで簡単に調整

2つ目のポイントは、「手頃な値段」。決して趣味性の高いモデルではないこうしたママチャリ的な自転車を買うとき、気になるのはやっぱり価格ではないだろうか。子乗せ自転車を使ってきたことで、電動アシストのありがたみは身に染みて理解しているとはいえ、自分1人しか乗らない自転車となれば、いわば電動アシストは「贅沢装備」の1つ。あまりに値段が高いと「アシストなしの安い自転車にするか」という諦めの気持ちになってしまうもの。

ところがCF1 LENAの実売価格を見てみると、17万円台。安くはないけれど、高すぎるわけでもない。ちょっと奮発しちゃえば手の届く、リーズナブルな価格なのだ。子乗せ自転車と比べても同じくらいか、せいぜいプラスα程度の価格帯というのも視野に入りやすい。家族と共用しやすく、長く乗り続けることを考えると、むしろお得とさえいえそう。

「大きな時計」が便利。子乗せよりも素早く、楽ちんな移動手段に

せっかく「子乗せの次」を検討するためにお借りしたCF1 LENAなので、今までひたすら子供を乗せて走ってきた妻にも積極的に使ってもらった。

感想を聞いたときに、アシストのパワフルさや、軽快さを口にするかと思いきや、一番最初に口にしたのは、なぜか「時計が付いているのがいい」。たしかに今までの子乗せ自転車には時計がなく、かといって腕時計だと確認するときに手放し運転になって危険なので、少し視線をずらすだけでハンドル側で時刻がわかるのは便利だ。特にCF1 LENAの場合、大型のマルチファンクションディスプレイにかなり大きくデジタル表示され、安全・確実に時刻を把握できる。

大型のディスプレイ。最上段の時計表示は大きく、視認性は高い

もちろんアシストのパワフルさも感じていた。最初はスピードが出やすいことに慣れなかったようだけれど、乗り心地についての違和感はなかったとのこと。アシストモードはだいたい「2」固定。パワー感と距離のバランスをとったモードがお好みだった。たしかに「1」だと重いときもあるし、「3」だと加速感が強く感じたり、バッテリー消費が早まってもったいないと感じたりするので、わからないでもない。妻の脚力や走り方だと「スマートモード」でも良さそうだったが、走り方に関係なくある程度一定のパワー感でアシストしてくれるレベルのほうが扱いが楽なのだろう。

また、妻本人は「段差で跳ねるようになった」とも話していた。これは車体が軽量で、軽快さが増したことが理由と思われる。今までの子乗せ自転車の重量はおそらく35kg前後、対してCF1 LENAはカタログスペックで21.5kgだ。フロントバスケットの重量を加えればもう少し増えるとしても、それでも10kg以上も軽くなったことになる。

CF1 LENAで快走する妻

それだけ軽ければスピードが乗りやすく、「跳ねる=軽快」と感じるのは当然のこと。スピードが出やすいことがそのまま快適さにつながるわけではないけれど、子乗せ自転車が「歩くよりはまだ楽な移動手段」だったのが、CF1 LENAに乗り換えることで「素早く楽ちんに移動できる手段」に変わった。車体が軽量なおかげで、前輪を持ち上げながら出し入れするようなラック式の駐輪場で大変な苦労をすることもなし。このあたり、腕力に自信のない人にとって大事なところだろう。

ちょっとした物足りなさも、カスタムでカバー

軽量で扱いやすく、パワフルに走れる性能はもちろん、ポジション変更の容易さや価格など、満足度はとっても高いCF1 LENA。だけれど、しばらく乗ってみて不満というか、カスタマイズしたくなったところも少しある。たとえばスタンド。標準ではサイドスタンドが装着されているけれど、車体の前方部分がどちらかというと重く、駐輪した場所の勾配によっては前輪(ハンドル)が動いたり傾いたりしやすいので気を付けなければならない。できればオプションの「両立スタンド」に変更して駐輪時の安定性を高めたいな、と感じた。

標準はサイドスタンド。これ自体は頑丈だけれど、車体のフロント側がどちらかというと重いので、駐輪で気を使う場面もある

また、今回装着していたオプションのフロントバスケットは、車体にマッチしたデザインと、もともとの軽快な走りに影響しないコンパクトさがうれしい、のだけれど、カゴ自体の深さがそれほどないことに注意したい。軽いものや高さのあるものなど、載せるものによっては走行中に飛び出してしまわないか不安になる。これについては、荷物を固定できるゴムバンドなんかを常備しておくといいかもしれない。

フロントバスケットに荷物を積載するときは、こんな感じでゴムバンドで押さえれば安心

あとはオシャレな見た目で目立ちやすいだけに、盗難が心配ではある。標準で後輪側にリング錠を装備しているけれど、念のためワイヤーロックなども携帯したほうが良さそうだ。そんな感じで追加でカスタムしていくことで、きっと徐々に自分らしさのあるCF1 LENAができあがっていくことにもなるだろう。

リング錠だけだとなんとなく不安なので、ワイヤーロックなど鍵をもう1つ追加しておきたい
フロントブレーキは一般的なVブレーキで、パッドの摩耗確認や交換が比較的容易なのもうれしい

子乗せからの卒業は、新たな自転車生活の始まりだ。これまで何年間も送り迎えに頑張ってきたお父さんお母さん、ちょっと自分へのご褒美みたいな感じで、新しい電動アシスト自転車を検討してみてはいかが?

長い坂道が続く道路も、当然のように気持ち良く、楽に走れた
日沼 諭史

モバイル、ガジェット、エンタープライズ系サービス、旅行、クルマ、バイク、オーディオ&ビジュアルなどなど、なんでも書くライターみたいなことをやっている人。