e-bike試乗レビュー

ミニベロe-bike「mini LOOP20」はシェアサイクル卒業にぴったりかも

ベネリのミニベロe-bike「mini LOOP20」

既報のとおり、ベネリがe-bikeで新たに「mini LOOP」シリーズをラインナップしました。これまでに12車種のe-bikeを展開していますが(生産終了モデルも含む)、特に「mini Fold」シリーズのミニベロタイプが人気となっています。

「mini LOOP」シリーズはフロントにカゴを搭載するなど、より日常使いに便利なモデルとなっています。シングルスピード(変速機構なし)の「mini LOOP20」と内装3速の「mini LOOP20PLUS」がラインナップされています。価格は順に、99,990円、115,390円。4月末発売予定となっています。自転車業界の値上げが続く中で、より多くのユーザーに届けるためにコスト面も相当努力したそうです。今回は「mini LOOP20」をお借りできたので、実際に都内で試乗してみました。

mini LOOP20はどんなミニベロe-bike?

あらためて「mini LOOP20」のスペックなどを見て行きましょう。変速機構のないシングルスピードです。ドライブユニットはAKM製で、人気のミニフォールド16シリーズと同じフロントハブモーターを採用しています。電動アシスト自転車では一般的ですが、ドライブユニットの重量が加わるため、直進安定性が高くなりますが、ハンドリングが重たくなるデメリットがあります。

ベネリの新シリーズ「mini LOOP20」は4月末に発売予定。価格は99,990円
フロントハブにAKM製ドライブユニット(定格出力250W)を内蔵
ハンドル周り。シングルスピードなので左ハンドル付近に操作スイッチがあるのみ
フロントのカゴが標準装備
握りやすいグリップ
街乗りに便利なキックスタンドも標準装備
前後輪にフェンダーも標準装備
バッテリーから電源を取っているフロントライト
アシストアップボタンを長押しで点灯
シートクランプはクイックリリース式

また、チューブの位置も下がっており、より跨ぎやすくなっています。後述しますが、バッテリーを外して充電する際には注意が必要です。ただし、通勤や通学、ちょっとしたサイクリングも楽しみたい初心者には、価格も含めて魅力的なモデルではないでしょうか。どのメーカーも値上げせざる得ない状況で、10万円以下という価格設定は企業努力でしょう。

誰でも乗りやすいフレーム構造

都内ポタリングへ

距離を走るには向かないシングルスピードのミニベロタイプなので、オフィスのある神保町から都内をブラブラしてみました。久しぶりにカゴ付き自転車に乗りましたが、やっぱりあると便利です。

東京駅

3月中旬で春の陽気を感じられる日でした。試乗車のカラーがライトブルーだったこともあり、季節にドンピシャで楽しい気分になります。いつもパソコンや何かしらの機材があるため、バックパックで移動していますが、背中が蒸すような陽気で気軽にカゴに入れられるのは便利です。

ライトブルーは街乗りにぴったりのカラー
標準的なバックパックなら問題なし

シングルスピードなので漕ぎ出しの際に「low」モードだとやや重たく感じる人もいるかもしれませんが、「high」はパワフルで推進力もあるので「low」または「mid」でスタートして、状況に合わせてアシストを変更するとよいでしょう。風の強い橋の上でも「mid」モードで上って行けます。個人差があると思いますので、変速がない分アシスト切り替えをうまく活用すれば、初心者でも10km未満なら走れるのではないでしょうか。サドルもクッション性が高いので「お尻痛い」問題の悩みも少なそうです。

春の陽気に誘われて浅草方面を目指すことに。この日は風が強かったですが、シングルスピードでもmidモードで無理なく橋を渡れました
「mini Fold」シリーズと同じ操作スイッチ。価格面で装備にもこだわりたかったそう。「high」モードはパワフルで推進力があるので停車時は弱いアシストで発進しましょう
浅草寺
そのまま東京スカイツリーへ
個人差はあると思いますが、クッション性の高いサドルでお尻が痛くなることはありませんでした

この日は時間に制約がありましたが、休日に同じルートを走ったらいろいろ寄り道して買い物も楽しめそうです。バックパックに収納しにくいもの、お土産が増えた時などフロントのカゴはあると便利でしょう。

充電に関しては、本体直接充電がオススメです。先述したようにチューブが下がっているので、スタンドで立たせた状態でロックを外すとバッテリーが床や地面に当たってしまい抜けません。マニュアルに記載されている「キックスタンドを使いリアタイヤを持ち上げて抜き取ります」という方法か、横に倒してバッテリーを抜くか、サイクルスタンドに吊って抜くのがいいでしょう。

ほぼ満充電状態でお借りしましたが、出発前に社内で充電のテストを
コンパクトな充電器
バッテリー本体
中央が着脱のキースペースで、右下が充電ポート。左下が電源スイッチ。電源を入れてから操作スイッチを起動します
フレームの構造的に直立状態ではバッテリーを抜き取ることができません。コンパクトなミニベロなので直接充電がオススメかと思います
とはいえ車体を横に倒したり、サイクルスタンドに吊らなくてもバッテリーは外せます
ユーザーマニュアルに記載されていますが、バッテリー電源をオフにした状態で鍵穴にキーを差し込みロックを解除。車体前輪とキックスタンドが地面に設置した状態でステムかハンドルをしっかり握って、車体を左側(キックスタンド装着方向)に傾けて後輪を浮かす。そのままの状態でバッテリー端面のリブを持って後方に引き出せます

シェアサイクルのヘビーユーザーにオススメかも

コロナ禍でシェアサイクルで自転車通勤を自転車通勤を始めた人も少なくないでしょう。また、電動アシスト自転車を利用するフードデリバリーの方もよく見かけます。ポートも増えており、ちょい乗りには便利ですね。移動手段として使い始めたシェアサイクルで、自転車の気持ち良さや楽しさに気付き「自分の愛車がほしい」と考えているなら、「mini LOOP」シリーズを選択肢に入れてはいかがでしょう。

シェアサイクルの料金は非常にリーズナブルなので、それと比べると車体価格を高く感じるかもしれません。ですが、やっぱり愛車を所有すると自転車生活がもっと快適に楽しくなるはず。シェアサイクルを借りる際にバッテリー残量をチェックしたり、サドルの高さを変えたり、1回30分の時間を気にすることもありません。

たとえば千代田区の「ちよくる」だと月額会員で2,200円(1回30分)。1年間契約した場合は26,400円/年。1回の利用が30分を超過すると165円/30分。頻繁に使うユーザーが月に10回超過したと考えると1,650円/月で、年間で想定した場合19,800円。単純計算にはなりませんが、合計で46,200円。「mini LOOP20」が99,990円と考えると非常にお得さを感じるのではないでしょうか。ポートまで移動せずに自宅から直行直帰できます。

まだまだ自転車不足が見込まれる中、お気に入りのモデルが見つからず、春からの新生活の通勤・通学にまずはシェアサイクル利用を考えている人にもオススメしたいと思います。

e-bike部