藤本健のソーラーリポート

V2Hに蓄電池を追加で設置、電気を買わない生活は叶う!?

「藤本健のソーラーリポート」は、再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電・ソーラーエネルギーの業界動向を、“ソーラーマニア”のライター・藤本健氏が追っていく連載記事です(編集部)
V2Hに据え置きの蓄電池を追加することで、さらに効率的な運用や電気代削減につながるのか!?

日産の電気自動車サクラを、家の蓄電池代わりに購入し、太陽光発電とセットで運用を始めてから2年半以上が経つ。V2Hに関する情報はネット上にはいろいろあるけれど、メーカーや販売店系の情報ばかりで、ユーザー視点での情報が少ないだけに、混乱や失敗、苦労続きだった。

一方で、この連載でも取り上げてきたとおり検証してきた結果、蓄電池としての性能は極めて低いことがハッキリしたため、別途据え置き型の蓄電池を導入するに至った。

本来であれば、もっと前に導入しようと思っていたのだが、まさかの太陽光発電側にも問題が発覚し、シャープ側も巻き込んでの騒動で時間がかかってしまったのは前回記事にしたとおり。2025年6月中旬にようやく工事を終え、運用をスタートしていた。

その結果、実際にV2Hと比較して本当に性能がいいものなのか、V2Hと併用できるのかなど、その際の運用のポイントなども含めてわかってきたのでレポートしたい。

さらなる追加投資で、シャープ蓄電池の設置工事へ

新たな蓄電池の導入はコスト的にいえばかなりの負担であったことは事実。補助金などがあったとはいえ、すでにV2Hを実現するために日産のサクラ自体はもちろん、ニチコンのV2Hのシステム導入などで、自分の持ち出しは300万円を超えていた。

ここに、さらに180万円近い出費というのは納得いくものではないけれど、ここは莫大にお金のかかる趣味なんだと割り切って、蓄電池の導入に踏み切ったわけだ。

サクラ購入、V2Hシステム導入などですでに大きな出費があったうえに、蓄電池の購入も決行

また、これまでの検証から節電生活を送っている筆者の環境下においていえば、V2Hは非常に効率が悪く、10の充電をしても4程度しか放電することができない40%程度の性能。その反省から、できる限り効率のいいものを導入しようと、太陽光発電のパワコンに直接接続できるシャープの蓄電池の中から、容量9.5kWhのモデルに決めた。

容量9.5kWhのシャープ製蓄電池を購入

その工事は2025年6月19日の予定となった。事前の下見調査では「状況によっては、ケーブルを通すために家の壁に穴をあけるかも……」という話が出ていたり、「雨の場合は、途中までの作業で終えて、後日晴れた日に」とも言われていた。

やはり高圧で、大きい電力量の機材の工事であるため濡れたら危険。梅雨の時期ではあったけれど、雨がほとんど降らない空梅雨だったこともあり、当日は晴れ。6人の作業員が大きな機材を運び込み、着々と作業を進めていった。

6人の作業員の皆さんによって工事は順調に進んだ

以前に太陽光発電機器の工事をしてくれた人たちでもあるため、以前と同様に床下に潜り込んでくれて、うまくケーブルを通してくれたこともあり、壁の穴あけもせずにお昼過ぎには作業完了。

無事設置が完了した

この工事においては、V2Hのシステムの上に設置していたブレーカー部分にRPR(逆電力継電器)の設置も必要とのことで、車庫からパワコンまでの配線も行なわれた。その結果、取り付けられたのが結構大きな金属の箱。9.5kWhともなると、それなりの設置場所が必要となるのだ。

RPR(逆電力継電器)も設置

13時半ごろに、さっそく通電させると、太陽光側では3.3kW程度の発電がされており、その多くの電気が、蓄電池へ充電されていくことがモニターから見える。また、電子レンジやオーブントースターを動作させ、3kW以上の電気を無理やり消費させると、蓄電池から放電することも確認でき、無事工事は完了だ。

太陽光発電により蓄電池へ充電されているのが確認できた
充電と放電どちらも無事できた

営業担当の方から使い方の説明があり、モニターを使って蓄電池運転モード設定をすることで、主には夜間に充電を行なう経済性モードと太陽光発電の余剰電力を充電するクリーンモードの2種類の設定ができるとのこと。またクリーンモードにも夜間充電ありとなしがあるとのことだったが、ウチの場合は「クリーンモード(夜間充電なし)」一択のようだ。

蓄電池の運転モード設定

V2Hと合わせて電気代を削減できた

ここで気になるのはV2Hとの関係。朝から充電がはじまり、蓄電池が満タンになったら、自動的にサクラへの充電に切り替わるようになってほしいが、そういうことは可能なのか? また場合によってはサクラへの充電を優先させることは可能なのか? さらにいえば、蓄電池に貯めた電気をサクラに移すことは可能なのか? ……などなど疑問が浮かんでくる。

営業担当者は「おそらく蓄電池が満タンになったらサクラへ充電されるようになると思うけれど、この辺はやってみないとわからない。また蓄電池を止めることは基本的にできないので、サクラへの充電を優先させるのは難しいと思う」とのこと。

また現時点の蓄電池の残り容量がどのくらいかはハッキリとは確認する術はなく、モニターに表示される蓄電池のアイコンの状態からだいたいの状況を把握するしかない、とのことで、かなり適当な状況だ。

一方で、この辺はきっとHEMSでコントロールすることで、より細かくコントロールできるはず、という読みはあった。以前から使っているNature Remo Eを使えば、できるのではないかと。

工事の方々が帰ったのちにモニターを見ると、着実に充電されていく様子を確認できた。ここでNature Remo Eのアプリを使って新たなEchonet Lite機器の検出を行なったところ、蓄電池が見つかり、無事に追加できた。

Nature Remo Eともつながった

その蓄電池をアプリから見たところ、ちょっと感激。シャープのモニターでは、アイコンの状況からザックリした充電状況しか把握できなかったのに、Nature Remo Eアプリなら1%単位で細かくチェックできるのだ。

Nature Remo Eアプリは充電状況を1%単位で細かくチェックできる

さらに蓄電池の制御ボタンをタップしてみると、充電、放電、待機、自動と4つのモードを設定できる。シャープのモニターでのコントロールと比較して、圧倒的に便利で細かく制御することができるのだ。

より細かな制御ができた

その日、蓄電池は午後1時半ごろスタートで、ほぼ空の状態からの充電ではあったが、夏至近くの晴れの日であったために、夕方にはほぼ満タン。また、比較的涼しい日だったので、ほとんどエアコンも使わなかったため、夜間になっても、それほど蓄電池の残量は減っていかない。あくまでも感覚値ではあったが、V2Hと比較して、バッテリーの減り方が少ないのだ。サクラが20kWhなのに対し、この蓄電池は9.5kWhと半分なのに、減り方がゆっくりということは、確実に効率はよさそうだ。

そのまま翌朝を迎えたが残量は50%程度あって、尽きていないどころか、かなりの余裕。つまり、東京電力側から電気を買わずに、ウチで発電した電気だけで一晩過ごすことができたわけだ。もちろん、V2Hにおいても、エアコンを使わない日であれば、そういうことも珍しくはないが、これまでと比較しても明らかに余裕はある。

ちなみに、一般的にリチウムイオン電池は、完全充電と完全放電を繰り返すのはよくないといわれている。そのため、完全放電しないように、蓄電池キープ残量設定というものが可能で、初期設定の20%にしてある。一方、100%充電の回避はできないとのことであり、メーカー側も満充電は問題ないと言っているので、こちらはそのままの運用としている。

残量の下限は20%に

2日目も晴れたため、朝から充電されていったが、昼頃に満充電を迎えると売電される形になったが、そうなったことをV2H側が検知し、自動的にサクラへの充電が始まった。これはV2Hがグリーンモードという設定になっているからで、停止状態にあっても放電状態にあっても、売電せずに充電するというもの。こちらとしては、まさに理想の運用ができるようになった形だ。

そして、この日も電力をまったく買わないまま翌朝を迎え、その次の日も同様。そろそろエアコンを使うようにはなっていたけれど、適度に使っても、蓄電池は20%まで下がることなく、朝になり、また充電が始まるという繰り返し。もっとも厳密にいうとわずかな電力を売ったり買ったりはしている。

V2Hだけのときは、常に50Wを買う形になっていたが、今回の工事で取り付けたRPRが効いているからなのか、20W弱の売り買いになっているのもちょっとうれしいところ。これについては、HEMSであるNature Remo Eからも見て取れるが、東京電力のWebサイトから時間別の電気使用量を見ても、4~5時間に0.1kW程度の消費になっていることからも、確認できる。

東京電力のサイトを見てもわずかな消費にとどまっていたことが分かる

その東京電力のWebサイトにおいて、日々の電気料金のグラフを見ても面白い。工事日までもV2Hの頑張りにより、1日100円程度の電気代に抑えていたが、工事翌日からは1日の電気代が0~20円程度へと下がっているのだ。

工事翌日の6月20日からは、電気代が分かりやすく減っていた

ただし、翌7月に入ると、外気温がさらに上がったからか夜中に電池切れになることが時々起こり、そうなると系統から電気を買う形になった。7月5日、まさにそういうことが起こり、明け方4時~6時ごろに多少の電気を購入したことが、Nature Remo Eのグラフからもわかる。その結果の料金は57円だった。

2025年7月の電気代

そんなこんなで、エアコンを使っても、ほぼ自家電力で賄えるようになり、サクラにも電気をためられるので、適度に走らせても燃料費がかからない生活が可能になった。そして7月中旬に届いた、2025年6月20日~7月19日の東京電力からの7月分利用明細を掲載する。

明細を見ると、使った電力は22kWhで543円。それに基本料金の1,474円が追加されるのと、再エネ賦課金、消費税などの調整をした結果が、2,104円となっているのだ。この利用状況からすると基本料金が高すぎなので、見直しが必要なのかもしれないが、もう少し様子を見ながら考えていく予定だ。

電気代の明細

効率の面でもひとまず満足できる結果に

では、そもそもの懸案であった、効率のほうはどうなっているのか。短時間の蓄電池への充放電の状況をチェックしながら計算すると80~90%程度のようだったが、もう少ししっかり計算するためには、1か月間での充電した電力量と放電した電力量の比率を見ると見えてくるはず。実際7月のデータをNature Remo Eで表示させてみた。

Nature Remo Eからみた2025年7月のデータ

表示を見ると245kWhの充電に対し、208kWhを取り出したことになるので208÷245=84.9%の効率ということになる。以前のV2Hの状況を計算した際には40%を切ることもあったのと比較すると、据え置き型蓄電池は断然高効率であることがわかる。90%くらい出てくれるのでは……という淡い期待を持っていたところまではいかなかったが、これなら十分満足がいく内容だ。

もう一つの課題としてあったのは、この新たに入れた蓄電池と、V2Hの効率のいい併用についてだ。前述のように明け方に電気が足りなくなったら、V2H側から放電させるように自動で切り替えられたらいいのだが、そのためのいい方法が見つからない。Nature Remo E側のオートメーションコントロールを駆使すると、できそうな気もするけれど、うまくいかないのだ。

「午前3時くらいに蓄電池が切れる」といった予想を立てて3時からV2Hの放電を開始するというのも手だが、実際の電力消費がない状態でV2Hの放電を行なうと、何も使っていないのにバッテリーが減っていくという超ムダな現象が生じるので、あまりやりたくないところ。

そうした中、ふと考えたのはサクラから蓄電池へと電気を送るバケツリレー。というのもV2Hは放電状態にすると、アイドリングしているような状態になって電気を食うため、消費電力が少なければ少ないほど効率が悪くなるというのが、これまでの検証からわかっている。そこで、サクラから放電し、蓄電池を充電という状況にすれば、大きい消費電力で運用できるためV2Hの効率を上げられるのではないか、というわけだ。

実際に試してみると、蓄電池は最大で30A=3kWの消費電力で貯めていくことができる。さらに家で使っている電気もV2Hでの供給となるため、4kW程度とかなり大きな電力を使う形となる。そのため30分も電気を送ると、蓄電池は残量を15%程度増やすことができるので、夜寝る前にバケツリレーを行なえば、朝まで持たせることができる。

このバケツリレーのスタート時点と終了時点でのサクラの残量と実際の使用電力を計算すると、このときの効率が見えてくる。

7月22日に行なったバケツリレーにおいて消費電力は多少前後するとは思うが、34分間で3,428Wを使用していたと仮定すると、3,428×34/60=約1.94kWhを消費したことになる。

スタート時のV2Hのバッテリー残量
蓄電池の残量
終了時の蓄電池の残量
V2Hの残量
充電と放電の履歴

その間でサクラの残量は94%から82%に減っているので20kWhの容量だから2.4kWhが減った形だ。つまり1942÷2400=約81%の効率ということになる。これはV2Hの利用法としては、かなり効率が上がっているといっていいのではないだろうか?もっともここでは充電効率は見ていないし、バケツリレー先の蓄電池において85%の効率なのだか、V2H効率81%×蓄電池充電効率85%=約69%の効率ということにはなるが、V2Hを上手に活用する方法を見出すことができたように感じる。

こうした結果

こうした結果、7月いっぱい、ほぼ電気を買わずに生活することができた。その中には雨や曇りが3日間続いた日もあったが、エアコン1日中つけっぱなしでも、この状況が実現できたという面では十分満足。

もちろん、これまで莫大な投資をしてきたので、それを回収できるとは思えないけれど、まあ、ここはソーラーマニアの趣味ということで割り切っている。このまま、なんとか夏を終え、日があまり当たらない冬を乗り越えられるのかが心配なところだが、どうなっていくか楽しみでもある。

藤本 健