趣味の節電道入門

第35回:電子レンジで使える圧力鍋は節電になるのか?

 省エネの調理器具といえば、圧力鍋である。容器内の気圧を高めることで、より短時間で美味しく調理できる、賢い主婦のマストアイテム的な存在だ。最近は真空保温の「シャトルシェフ」も人気なようだけど。

 その圧力鍋、うちにもあるのだが自身では使ったことがない。なんか扱いが面倒くさそうでね。いや、子供の頃に「使い方間違ったら爆発する」と母親から言われたことが影響しているのかもしれない。

 だが、つい先日、電子レンジで使える圧力鍋なるものが存在すると知り、興味本位で購入した。圧力鍋がガスの節約になるのだから、電気の節約になるのではないかと期待しつつ……。

マイヤー「電子レンジ圧力鍋」。実勢価格は3,000円~5,000円前後。容量は2.3L。意外なことに生産国はインド。経済産業省の安全基準を満たした「PSCマーク」を取得している
まずは白飯を炊いてみる。米は洗って水に30分以上つけておく
フタをしてレンジでチン。2合の場合、600Wで10分加熱。その後15分蒸らす(そのまま放置)
青い「圧力表示弁」は、加圧された状態では上に上がり、内圧が抜けると下に下がる。フタを開けるのは圧が抜けてからだ
無事にご飯が炊きあがっていた。おひつのように、そのままテーブルに置いてもいいだろう

 次に付属のレシピに掲載されていた「丸ごと玉ねぎのとろとろ煮」を作ってみた。玉ねぎ2個の上下を切り落とし、十字に切れ目を入れる。1カップ分の水と顆粒コンソメ、切ったベーコン、ローリエ2枚を加えて、600Wで12分+蒸らし5分。

 仕上がった料理は、驚きのトロトロ感で、コンソメが染みて美味しくできた。

たまねぎ、ベーコン、調味料を入れる
トロトロに
器に盛って胡椒を振りかける。普通の圧力鍋よりも洗いやすいのも特徴だ

 デザートとして「りんごのコンポート」を作った。リンゴ2個を1/4に切り、赤ワイン2カップと砂糖を加えて、600Wで15分加熱+蒸らし10分で調理完了だ。

リンゴ2個を1/4に切り、赤ワインを入れる
フタを開けて色が付いていたらOK。冷蔵庫で冷やすとなお良し

 さて、電子レンジ圧力鍋の節電効果はいかほどか? 白飯を炊くのに必要な電力をざっくり計算してみた。

 電気炊飯器の平均消費電力を200Wh、炊飯時間45分と想定すると、1回あたりの使用量は150Wh(200×45÷60)。一方、電子レンジの消費電力を1200Whと仮定すると(「?」と思った方もいるだろうが、電子レンジの500Wや600Wは消費電力ではないのだ)、10分間の加熱では200Wh(1,200×10÷60)となる。

 なんと電気炊飯器の方が電気を食わないのであった。それに、今までガスを使っていた調理の置き換えになるので、結果として電気の消費は増えるであろう。

 とはいえ、レンジで気軽に圧力鍋が使えるのは楽しい。ガスコンロのように消し忘れの心配がないので、仕事の合間に仕掛けておける。鍋自体の保温性が高いので、しばらくの間なら放置しておいても温かい料理が食べられる。

 余談だが、これらの調理をした翌朝、12年ほど使用した炊飯器が故障した。知り合いの占い師からは、「もうレンジで炊きゃいいだろ」と炊飯器がすねたのだろうと言われる。具体的には、フタを固定するパーツが折れたのだが、炊飯器の“折れる心”ってそこだったのか(笑)。

 毎日レンジでご飯を炊くわけにもいかないので、さっそく圧力IHの炊飯器をネットで注文した。新しい炊飯器は省エネ性能も進化している。節電的にも結果オーライだ。

新たに購入した炊飯器は、象印の「圧力IH炊飯ジャー 極め炊き/NP-BU10」。この原稿を書いている最中に届いた。省エネ基準達成率119%、年間消費電力量は70.9kWh。味は、まだ炊いてないからわからない

小口 覺