趣味の節電道入門

第24回:セラミックス製「おひつ」の意外なメリット

 炊飯器でご飯を長時間保温するのは電気のムダで、味も落ちてしまう。

 これは常識だと思っていたが、最近の高級な炊飯器では、保温時に定期的にスチームが投入されておいしさを維持するらしい。だが、炊いたご飯を半日以上も保温するのは、節電家としてはナシだ(笑)。

 わが家では、食事が終わったら炊飯器の保温は切り、次の食事の少し前に保温し直すか電子レンジで加熱するようにしている。ご飯が少量余った場合はラップに包んで冷凍することも多い。冷凍ご飯をチンするのでも、保温し続けるよりは節電になるのだ。

 だが、ご飯を炊飯器に入れたままでは、食事のある程度前に保温を再開しなければならないし、ご飯の量が多いと冷凍するのが面倒だ。

 これを解決すべく、有田焼だというセラミックス製の「おひつ」を購入した。

 購入したのは、東彼セラミックスの「有田焼 遠赤セラミックス ご飯用保存容器 おひつ君」の3合用(1,500cc)。長いので以下「おひつ君」と呼ぶ(ついでに上のイラストの説明は必要? 本筋とは関係ないので、意味不明でもスルーしてください)。

 おひつ君はセラミックス製なので、もちろんプラスチックの容器に比べると重いが、有田焼と聞いて連想するずっしり感はない。想像していたよりも軽く、ご飯を入れても持ち運びに負担はないが、床などに落下させると割れてしまうだろう。わが家には注意力散漫な小学生男子がいるので、とくに注意を要する。

 さっそく、炊飯器からおひつ君にご飯をよそう。すぐに蓋をかぶせてしまうと、蒸気が水滴に変わりご飯がべたつき、傷みやすくなってしまうので、しばらくは蓋を開けた状態で放置しておく。食事中は、ここからご飯をよそい、食事が終わる頃には粗熱が取れるので、蓋ができる。ホコリなどが気になるなら、昔の人がしていたように、乾いた布巾を1枚かぶせておくとよいだろう。

 おひつ君の素材であるセラミックスは微細な気孔が無数に空いている。これが水蒸気をほどよく吸収しべたつきを防ぎ、ご飯が乾燥すると逆に、水分を補給し乾燥を防ぐ。珪藻土の土壁のような機能を持つのだ。

 朝炊いたご飯を、おひつ君に入れて冷蔵庫で保存。夜、そのまま電子レンジで加熱してから食べてみたところ、ご飯の粒が立ったおいしさを味わえた。気のせいか炊きたてよりも美味い?

「有田焼 遠赤セラミックス ご飯用保存容器 おひつ君」購入価格は1,998円(Amazon)。色は黒と白が選べ、1合用もある
蓋をして冷蔵庫に。蓋があっても長時間冷蔵庫に入れておくと、ご飯が乾燥してしまう。目安は1日程度
そのまま電子レンジに入れて加熱。耐熱性なので、冷蔵庫からレンジ加熱の温度差でも割れることはないという。ラップをかぶせる手間がないのも便利

炊飯器のローテーションがスムーズに

 節電のほかに、ご飯をおいしく保存できる、ラップの消費を減らせるといった利点のあるおひつ君だが、使ってみてもうひとつメリットを見つけた。炊飯器の内釜がすぐに洗えることだ。

 わが家では、夕方にご飯を炊きそのまま保存、翌朝や昼までそのご飯を食べるというパターンが多い。夕方に炊飯器をセットするのは、日中自宅にいがちな筆者の仕事になることが多いが、炊飯器にご飯が残っていると、余ったご飯を冷凍したり、内釜を洗ったりしなければならない。これが何気に面倒。炊飯器が古く、内側のコーティングが剥げてきているので、なかなかキレイにならないのだ。

 だが、おひつ君の登場により、内釜をその日のうちに洗ってもらえるようになり(洗い物は妻が担当している)、ご飯を炊く→残りをおひつ君に→内釜を洗う→翌日ご飯を炊く、というローテーションが上手く回るようになった。おひつ君、アリだ(有田)。

おひつ君に入っていると、炊飯器よりもおいしく見える。ちょっと旅館気分にも
小さめのしゃもじなら、おひつ君の中に入れたまま蓋ができる。ご飯が黄色いのは、劣化しているのではなく炊き込みご飯だから。念のため

小口 覺