ぷーこの家電日記

第467回

全力で楽しみ、心震えたWBC2023

とうとうWBCが終わってしまった。お気に入りのドラマが終わってしまった時に「○○ロス」と言われる軽い喪失感を覚えることはあるけれど、WBCロスはとにかく大きかった。あんなにも夢中に熱くなったのはいつ以来だろうかという程だった。全試合もう声も涙も出しながらとにかく夢中になった。漫画でもこんな展開ないぞってくらいに凄すぎて、言葉にできない。人は感極まると急激に語彙力が下がるものだ。感嘆詞くらいしか出てこない(笑)。

WBC開催中、我が家では一つのブームが起きた。対戦チームの国の料理やお酒を食べたり飲んだりしながらテレビで応援することだ。きっかけはリーグ戦2戦目の韓国戦だ。1戦目の勝利の喜びと金曜日という週末の解放感も相まって、美味しいものを思い切り食べながら、お酒を飲みながら応援したかった私。「今夜は韓国料理食べてソジュ(焼酎)でも飲みながら観戦しない?」と夫にLINEしたところ「大賛成!」と返事が来て、仕事終わって急いで買い物をして帰宅し、作りながら食べながら飲みながら観戦して勝利を喜ぶという最高の週末を迎えたのだ。

「相手チームを食ってやれ! 相手チームを飲み込んでやれ!」というような軽い願掛けに近い晩酌を非常に気に入ったらしい夫は、翌日外出していた帰りにチェコビールを買って帰ってきて「これ飲みながらチェコ戦応援しよう」とウキウキしている。「せっかくならチェコ料理でも作ればよかったね」と言うと「チェコ料理ってどんな料理?」「チェコってどんな国?」と興味の幅も会話も広がっていく。

チェコ選手達の素晴らしさもあって、今までほとんど知らなかったチェコという国にかなり興味を持つ夫。国際試合の目的や良さってこういうところにもあるよなぁ。勉強や学びのきっかけには強制や義務よりも興味や好奇心の力の方が強いのだ。自分の好きなスポーツや食べ物などがきっかけで色んなことに興味を持てるのって、今更野球選手にはなれない私たちにもできる小さな成長だ!

チェコ戦が終わった後に「明日はオージービーフ? オーストラリアビールって売ってるかな? やっぱりワインにする?」と前のめりの夫に、「もしかして、対戦相手の国のものを食べるの気に入っちゃったの? ブームなの?」と確認すると「めちゃくちゃ気に入った」らしい。結局オーストラリア戦の時はオーストラリアの羊肉とオーストラリアワインを楽しみながら試合も楽しんだ。

リーグ戦は予定が決まっているからまだ良いけれど、次からはトーナメント戦。「え? 次はどこ?」と、料理準備のため他リーグや他国同士の試合の行方まで気になってきて全試合見たくなってきた。ここまで来ると侍ジャパンに夢中ではなくて、WBCという大会にどっぷり夢中だ。でもJ SPORTSとスポーツチャンネルに登録しないと見れないようで、かなり悩んだけれど、「これ以上課金する余裕も時間もないわよ!」と自分に言い聞かせて我慢した。

準々決勝はイタリア戦となった。イタリアンは私たちにも馴染みがある。美味しいイタリアワインと料理で勝利の美酒に酔った! 飲みすぎて二日酔い!(笑)

メキシコかプエルトリコが次の対戦相手と知った時は「プエルトリコ? プエルトリコ料理って何?」とちょっと焦った。私はプエルトリコについて何も知らない。失礼な話、今回地図を確認するまで場所すら曖昧で知らなかった。ましてや食文化に関しては全く知らない。「世界の郷土料理事典」という本を引っ張り出して見てみるも「モフォンゴ!? 青バナナ(プランテン)?」と難易度が高い(笑)。そんな邪道な理由からメキシコを応援したりした。

結局、期待通りメキシコが勝ち進んできたのだけれど、メキシコ戦はずっとハラハラドキドキして、緊張感に耐えられない程どっぷり疲れた。そして試合を見ながら食べる予定だったタコスとコロナビールは、朝8時からの試合に胃袋がついていけずにお蔵入りに(笑)。タコスは我が家で一度大ブームを巻き起こした食べ物で、トルティーヤプレスを持っているくらいに作りまくった得意料理だったのに残念だ。

そして最後の決勝戦は平日の朝から。朝マックでも食べれば良かったなーと思いながら、手につかない仕事をしている間に終わってしまった。なんでもない夕飯を食べながら録画していた試合をじっくり見ながら、感動と終わってしまった喪失感で泣いた泣いた。

とにかく物凄く楽しくて感動した2週間だった。3月に入るまでこんなに夢中になるなんて想像もしていなかったいわゆる「にわかファン」の私でさえこんなに心震えるのだもの。野球少年の目にはこのWBCはどんな風に映ったのだろうか。

イチロー選手の姿を見てWBCに出ることを夢見た村上選手のように、今大会を見た少年たちが今後またスター選手となって私の心を鷲掴みにしてくれるんだろう。それを想像するだけで感動で泣けてくる。そしてそれを想像しながら無性に「長生きしたい!」という感情に襲われた。

WBCは終わっちゃったけれど、プロ野球のシーズンも始まるし、声出し応援も解禁されてるし、今年は野球観戦行きたいなー! 年々記憶力が低下してきて、新しい選手の応援歌が中々覚えられないのだけれど、まだまだそんなこと言ってられない! これからも楽しいことにはミーハーに全力で参加していきたいと思っているのであります。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。