難波賢二のe-bikeアラウンド

今がまさに買い時!? この冬のボーナスでe-bikeを購入すべき3つの理由

 冬のボーナスの使い道を考えている人も多いなか、この冬までに出揃ったe-bikeはぜひこのタイミングで買っておくべきと筆者は考えています。ここから、その理由を説明しましょう。

e-bikeがほしいならこの冬のボーナスでの購入をオススメします

 まず、登場したばかりの電気製品を買うなんてチャレンジが過ぎるんじゃないの? と考える人も多いと思います。日本においては各メーカーのモデルが出揃ってきた今年がe-bike元年と言われていますが、ヨーロッパやアメリカでは既に約10年間の歴史があるのでドライブユニットも3世代目ぐらいに入っています。信頼性については、これまでにトラブルは出尽くしており、ドライブユニットやバッテリーはもちろん、それらに対応するフレーム側でもe-bike特有のトラブルは解消されていると言ってもいいでしょう。

2019年モデルでは、各メーカーが一気にe-bikeを投入

 iPhoneでいえばiPhone 6が登場してきた頃の完成度と考えるとわかりやすく、登場から4年経った現在でも使っている人がいるように、今、国内に出揃ってきたe-bikeも、もちろん電気製品としてのアップデートは毎年あるものの、5年後も普通に乗れることでしょう。また、リチウムイオンバッテリーの進化はもはや技術的な限界に近づきつつあるため、今から短期間で容量が倍になるという進化も考えにくいのが現実です。次世代のバッテリーとして期待されている全固体電池は、2025年頃には電気自動車の世界では実用化されるでしょうが、e-bikeや家電にそれが降りて来るのは、もうしばらく先になるだろうと思われます。

理由その1:今だけ!? 戦略的なお買い得価格!!

 さて、前置きが長くなりました。冬のボーナスで今すぐe-bikeを買う理由です。まず1つは、現在、国内で発売されているほぼ全ブランドのe-bikeにいえることですが、テスト販売的な意味も込めて「定価が非常に抑えられている」という話があります。その理由として、メーカーも今年の春頃に価格を決定していますが、その当時は売れるかどうか自信がなかったことが挙げられるのです。

現状の国内価格は各メーカー出血覚悟の導入価格

 個別のモデル名は避けますが、日本とヨーロッパでほぼ同じ仕様のe-bikeが売られているモデルで見ると、彼の地では3,249ユーロで売られているのに、日本での定価は36万円といった具合です。ヨーロッパが主戦場のブランドなのに、1ユーロの為替を手数料込みで135円と想定すると、ヨーロッパでよりも日本で買ったほうがかなり安い。これは既存のスポーツサイクルではあり得ない話で、輸入品ですから基本的にヨーロッパ価格よりも15%程度高いというのが通常で、競争が激しいカテゴリーでもヨーロッパと同じぐらいというのが相場です。

 スマートフォンもSUV(自動車)も登場したばかりの頃は、輸入ブランド各社は日本市場攻略のための戦略価格を設定していましたが、一度人気に火がついて売れ出すと、原材料費や為替を理由に年を重ねるごとに値上げというのはよくある展開です。本国メーカー側もインポーターも日本市場を盛り上げるために、出血価格で売り出している今こそが購入すべきタイミングといえるでしょう。

理由その2:生産量が少ないため完売してしまうことも

 次に「入荷台数が限られる」という話です。自転車生産での話になりますが、電気製品のように1つの生産ラインで同じ製品を作り続けるといったことは自転車では少なく、毎週、もしくは毎日ラインを組み替えて生産する自転車をチェンジするのが通常の自転車製造のしくみです。よって、短期間に需要が盛り上がったからといってオンデマンドで追加オーダーというケースはあまりなく、あくまでもメーカー側が需要予測に基づいて生産しています。しかし、e-bikeに限っては売れるかどうかわからなかったうえに、日本専用仕様なので在庫を本国側で各国に融通することもできないため、生産量は非常に限られます。

欧州で展開する旗艦ドライブユニットを搭載しているモデルも非常に多い

 実際に、現在発売しているe-bikeのなかでも既に19モデルの初回ロットを売り切ったケースもあると耳にしますし、筆者自身も春に気に入った小径e-bikeがあったので購入しようとしたところ春に入荷したロットは既に完売しており、7カ月待ってようやく先日納車されたという具合です。

 少量生産のファッションやアウトドア用品が好きな人なら、“追加生産はないと考えて気に入った製品があったら即購入”というルーチンになっているかと思いますが、現在のe-bikeに関しても各メーカーが潤沢に在庫を持っているわけではないので、値段の高い商品とはいえ決断力も求められます。

シマノ「STEPS E8080」はシマノが欧州で展開している旗艦ドライブユニットの国内仕様

 そして日本仕様のe-bikeは、いつまで続くのか誰も答えを知らないスタートダッシュの特別期間でもあります。というのも、例えばシマノ「STEPS E8080」。これは欧州でシマノが展開する旗艦ドライブユニットになるのはご存じかもしれませんが、このドライブユニットは、基本的にヨーロッパだと日本円で50万円以上のカテゴリーのe-bikeに搭載されています。もちろん、旗艦ドライブユニットなので130万円ぐらいする高価格帯のe-bikeもこのドライブユニットを搭載しています。

 なぜ、シマノが国内に旗艦ドライブユニットしか展開しないのかの理由は知るところではありません。しかし、アルミ製のクロスバイクや小径車ですらE8000(日本仕様のE8080)が装着されているという夢のような現実は、どう考えてもe-bikeが国内で10万台規模で売れるようになってきた頃には続いていないでしょう。

 ヤマハやボッシュもそうですが、ヨーロッパで展開しているドライブユニットをすべて日本仕様で作っている頃には、この価格ヒエラルキーとドライブユニットのギャップはすべて解消されていると考えるのが順当です。そこまでに何年かかるのかは誰もわかりませんし、その頃のドライブユニットは現在の旗艦ドライブユニットよりも、すべてにおいてパフォーマンスが上なのかもしれません。しかし、人生で自由に遊べる時間は限られているので、今悩んでいる場合ではないというのが私の持論です。

 バッテリーも各社サードパーティではなく、ドライブユニットメーカー純正のバッテリーを採用しているブランドがほとんどというのも、今迷わずにe-bikeを買うべき理由のひとつかもしれません。やはりメーカー純正は安心です。

理由その3:冬も楽しめるのがe-bikeの魅力

 最後にどうして、この冬のボーナスでの購入をオススメするのか? それは、e-bikeは冬も楽しいスポーツだからです。電動アシストによって簡単に標高差が稼げる乗り物なので、もちろん暑い夏は山岳部に入って涼しいサイクリングを楽しめるのもe-bikeの魅力の一つですが、実は冬も楽しいスポーツであります。

昨年の冬の間、実は筆者はプロトタイプのe-bikeに乗ってその遊び方を開拓してきた

 昨年の冬はまだ国内で大容量タイプのe-bikeは発売されていませんでしたが、筆者は型式認定が取れたばかりのプロトタイプをメーカーから借りて関東の山でeサイクリングの遊び方を開拓していました。日本中で唯一「一冬走った」経験からいえば、e-bikeでの冬のサイクリングがロードバイクより遥かに楽しい理由は「寒くない」の一言に尽きます。

 荒川や江戸川のサイクリングロードを厳冬期の早朝にロードバイクで数時間走ったりするのは、多くのサイクリストなら経験したことがあるでしょうが、一言でいえば「修行」。いや、凍てつく風は容赦なく体温を奪うので、修行を通り越して苦行ですらあります。

汗をかかないので、冬でも寒くないのがe-bikeの特徴

 その一方で、房総や神奈川の山中に走りに行くと、今度は上りで汗をかいて下りで冷えての繰り返し。これがe-bikeで遊びに行くと、上りでは体が温まる程度の運動になるのに大汗をかくほどの心拍数にはならないので上りはポカポカと暖かく、下りも汗をかいていないので暖かい。寒暖差が少ないからこそウェア選びもシンプルになります。そして、平地を含む巡航速度域自体がロードバイクよりもゆっくりなので、風で体温を奪われることも少なく、幸せな冬のサイクリングを楽しむことができるのです。余談ですが、真冬は流石にバッテリー駆動なので航続距離は15%ほど減るので、残容量には気をつけて走るのがオススメです。

 いかがでしょう? このような理由をまとめると、「この冬のボーナスで、今すぐe-bikeを買ってみませんか?」となります。サイクリストの人も、そうでない人も、e-bikeに乗って冬の山道をe-bikeに乗ってみんなでワイワイ走ってみると、これまでは知らなかったいろいろな発見があるはずです。ゆえに2019年の年越しサイクリングや、新年からの新しい趣味にはe-bikeをオススメしたいというのが筆者の考えです。

2018年の年末年始休暇、新年からの週末はe-bikeで遊ぶというのがオススメです

難波賢二

国際派自転車ジャーナリスト 1979年生まれ。20年近く昔のe-bikeの黎明期よりその動向を取材してきた自転車ジャーナリスト。洋の東西を問わず自転車トレンド全般に詳しく世界の自転車業界に強いコネクションを持つ。MTBの始祖ゲイリー・フィッシャーの結婚式にアジアから唯一招待された人物として知られる。