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【ダウン症児と私39】度重なる中耳炎で、耳鼻科外来に頻繁に通う日々

生まれたときから両耳が悪く、生後6カ月で「滲出性中耳炎」と診断され、1歳2カ月で耳にチューブを入れる手術を受けたユキトくん。今回は、その後もたびたび悩まされている中耳炎への奮闘について伺いました。

 

中耳炎でチューブを外し、再手術を受ける

Q.連載の14回、15回でご紹介した、1歳2カ月のときに受けた耳にチューブを入れる手術は、まだ小さいユキトくんには大変な経験でしたよね。手術は成功し、4カ月ごとに経過を観察されていましたが、その後はどんな様子でしたか?

 

【ダウン症児と私14】小さな身体で全身麻酔、中耳炎の手術を受ける
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column/lifestyle/1161998.html

【ダウン症児と私15】予定時間を過ぎても終らない手術と「中耳炎」のその後
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column/lifestyle/1162027.html

 

A. 手術は無事に成功したのですが、そのあと風邪を引いて中耳炎になり、チューブが膿でグチャグチャになってしまったため、先生にチューブを取り除いてもらいました。すると数カ月でまた膿が溜まってしまい、またチューブを入れる手術を受けました。

 

チューブが耳の中に落ちる事故、そして再び手術

Q.再手術のあとはどうでしたか? 

A.その後も、風邪を引くとしょっちゅう中耳炎になるので、定期的に耳鼻科外来へ行かなくてはなりませんでした。総合病院で耳を見てもらうとき、ユキトは毎回泣き叫んで暴れてしまうので、ベッドの上に仰向けに寝かせ、両手を脇に揃えた気をつけの姿勢で、全身をバスタオルでグルグル巻きにします。さらに網を掛け、ベッドに完全に固定して検査を受けていました。ユキトは首から下が完全に動かせなくなるので、さらに大泣きしますが、こうしないと耳の中を見てもらうことができない状態でした。

あるとき、総合病院の予約が混んでいて受診できなかったので、個人病院の耳鼻科で診てもらうことにしました。ですが、バスタオルや網で固定をしないで検査を始めたので、ユキトが暴れてしまい、チューブが耳の奥へ落ちてしまいました。先生は耳の奥へ落ちたチューブを一生懸命取ろうとしてくれましたが取れなかったので、慌てて総合病院に電話したところ、手術をしてくれた先生が、手術用のいちばん小さなピンセットで奥に落ちたチューブを取り出してくださり、事無きを得ました。でもやっぱり、また膿が溜まってしまったので、再手術をしてチューブを入れ直すことになりました。

 

耳から膿が、投薬と2日に1回の通院で回復

Q.子どもが風邪を引くのは避けられないことですが、大変ですね。集団生活をしていればなおさらです。幼稚園に通うようになってから、状況に変化があったのでしょうか?

A.今年の4月から弟が保育園に行くようになりましたが、初めて集団生活をするようになったとたんに風邪を引き、それがユキトにもうつりました。するとユキトの耳から、膿のような耳だれが出てきたんです。そのときのユキトは、耳の中にチューブが入っているので、私は慌てて掛かり付けの総合病院に電話して、診てもらうようにお願いをしました。

 

Q.すぐに見てもらえましたか?

A.幸いすぐに診るもらえて、抗生剤、整腸剤などの粉薬と点耳薬を処方されました。でも総合病院は混み合うので、新たな感染を防ぐためにも、その後は近くの個人病院で処置をしてもらうことにして、1カ月後にまた総合病院で見てもらうことにしました。

 

Q.個人病院への通院では、どのような処置をしてもらいましたか?

A.ピオクタニンという紫色の殺菌消毒薬を注射器で耳の中へ入れて、全部吸い取る「洗浄」をしてもらいました。その後、この処置を2日に1回してもらうようになりました。耳を直接洗浄するのはとても効果的で、1カ月で膿がでなくなり、総合病院の検査でも「首から下はプールに入っていい」と言われるまでになりました。

でもその1週間後、また耳から膿が出てきてしまいました。そして今も耳鼻科外来へ通い続いています。

 

Q.プールには入れない夏を過ごされたのですか?

A.はい。いつになったらプールに入れるのかと不安に思い、耳鼻科の先生に聞くと「チューブを入れている子は、自分で耳栓を脱着できて、触らずにプールの授業を受けられるようになってからで、健常の子で10歳くらい、知的障害のある子はもっと掛かります」と言われました。耳の状況は十分に気を付けておかなくてはなりません。まずは、耳の中の化膿が早く落ち着いて欲しいと思っています。

 

ダウン症の基礎知識39:長く続く「滲出性中耳炎」の治療法

滲出性中耳炎は、鼓膜の奥の中耳腔に膿や液体が溜まる病気です。3歳ころから10歳ころまでの子どもに多く見られ、子どもの難聴原因のなかで一番多いと言われています。投薬で治療する方法以外に、ユキトくんのようにチューブを入れる手術や、鼓膜切開術など複数の治療法があります。チューブを入れる手術は、鼓膜に小さなシリコンやテフロンのチューブを入れます。チューブを入れることで、鼓膜の穴を数カ月から1年以上開けたままにできるため、中耳の風通しを良くして膿や液体が溜まるのを防ぎます。多くの場合チューブは自然に抜けるそうですが、そうでない場合は中耳炎の治り具合を見ながら抜くこともあるそうです。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。