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子どもの予防接種、受ける?受けない?メリットとデメリットを知ろう

近年、子どもに予防接種を受けさせないなど、ママさんたちのワクチンへの不信感が強まっています。国や自治体から奨励されている予防接種ですが、どんな問題があるのでしょうか。ワクチンの基礎知識も踏まえて解説いたします。

 

ワクチンの目的は、健康なまま免疫を付けること

ワクチンを用いた予防接種の目的は、細菌やウイルスなどによる病気に対して、健康なときや適応力の大きい乳幼児のうちに、ワクチンを注射するなどして、その病気に対する免疫力を作ることです。そうすることで、個人の発病や症状の悪化を防ぐことができ、結果的には、集団感染も予防できるメリットがあります。

 

日本で受けられる予防接種

日本で受けられる子ども向けの予防接種は、定期接種、任意接種の2つに分類されます。定期接種は生後2カ月〜小学校卒業くらいまでの定められた期間に無償で受けられるもの、任意接種は費用補助がなく全額負担で、受けても受けなくてもよいものです。全ての定期接種を、小学校の卒業くらいまでに、受け終わるようなスケジュールも公開されています。

◇出典:国立感染症研究所ホームページ(予防接種スケジュール)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/vaccine-j/2525-v-schedule.html

ワクチンの種類

使用されるワクチンには、主に3つの種類があり、病原体の毒性を弱めた「生ワクチン」、死んだ病原体の必要成分だけを抽出した「不活化ワクチン」、病原体が作り出す毒素だけを無毒化した「トキソイド」に分けられます。生ワクチンの免疫力が一番高く、ほぼ一生免疫が持続しますが、不活性ワクチンとトキソイドは一定期間経つと免疫力が低下するのでワクチンの追加接種が必要になります。

【生ワクチン】
定期接種:麻疹、風疹、BCG
任意接種:水痘、おたふくかぜ、ロタウイルス

【不活化ワクチン】
定期接種:ポリオ、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス(子宮頸がんウイルス)、Hib感染症(インフルエンザ菌b型)
任意接種:インフルエンザ、A型・B型肝炎

【トキソイド】
定期接種:破傷風、ジフテリア

 

子どもにワクチンを受けさせない理由

親御さんが子どもにワクチンを受けさせない一番の理由は、ワクチン接種で起こる副反応の可能性です。副反応の多くは、接種後30分ほどで起こる即時型で、じん麻疹、手足のしびれ、動悸、めまい、呼吸困難、血圧低下といった、アナフィラキシーショックが知られています。とは言え、じん麻疹や呼吸困難は命に関わる場合もあり、注意が必要です。

もう一つの理由は、ワクチンに「チメロサール」という水銀成分を含有した防腐剤が使用される場合があることです。チメロサールは、自閉症や発達障害との因果関係が指摘されることもあり、使用を禁止している国もある成分ですが、日本と米国は因果関係を否定しているため、国内ではワクチンの一部に使用されています。日本では、水銀汚染による水俣病の記憶もあるので、チメロサールを使用したワクチンを拒否する人たちが多いとも言えます。

 

まとめ

いかがでしたか?ワクチンの問題は複雑ですが、まずは打つことによるメリットとデメリットをしっかり判断できるように、情報を入手しましょう。そして信頼できる医師を見つけて、疑問点を確認するといいですね。そのうえで、予防接種を受けるか、受けないか、を決めていってください。

 

宮本知明(薬剤師)

病院薬剤師を経て「薬と共存しない生活」の念いからホリスティックな健康観と出逢う。現在は、新婚女性、新米ママさんを統合医療の知識をもった「ホリスティックな健康観を持つ女性」に育成する活動を通して、いつもの台所を「食材の薬箱」、家庭の薬箱を「植物の薬箱」、笑顔が「心の薬箱」になる提案を行なっています。
薬剤師/GAJ認定ジェモセラピスト(植物療法士)/漢方ソムリエ/薬膳マイスター(国際薬膳食育師3級)/アンチエイジングプランナー。Facebookはこちら