10分こそうじ

60代のうちにやっておきたい 整理収納で暮らしやすい家へ

年に一度の大掃除より、日々の“小”掃除。整理収納アドバイザーとお掃除スペシャリストの資格を持つ筆者が、1日の終わりに10分でできる掃除や片付けのポイントをお伝えします
元気なうちに家の整理に取り組みましょう

ライフスタイルや健康状態など、様々な変化が起こる60代。子供の独立で部屋の使い方が変わったお宅も多いことでしょう。部屋や収納に余裕が出れば、家の中がスッキリすると思いきや、空きスペースについついモノを置きっぱなしにすることで、数年後にはモノで溢れた家となったケースを多く見てきました。

今後のシニアライフを快適にするため、元気なうちに家の整理収納をやっておくことをおすすめします。今回は60代に意識してほしい6つのことをお伝えします。

1.無意識にやっていませんか? 床置き・直置き

リビングから廊下、玄関に床置きしているものはありませんか? 床にモノがいっぱいだと歩きにくいし、つまずいて転倒する危険があります。これは無意識のうちに行なっている生活動作のクセ。置きっぱなしにしているモノは必要・不要を決め、必要なモノはそれを使用する部屋へ。不要なものはその場でゴミ袋へ。粗大ゴミは忘れないよう回収日を記入したメモをゴミ袋に貼っておきましょう。

廊下に使わないモノが置きっぱなしになっていませんか?

2.実は収納の中がモノでいっぱい?

片付けてもすぐ散らかってしまうお宅に多いのが、収納の中がモノでいっぱいになっていること。収納の仕方というより、収納しているモノの量が多すぎることが一番の原因です。部屋や収納が空いている時は、押し込めばなんとかなるので、整理するのをつい後回しにしてしまうのですよね……。

収納の中に何が入っているか把握できなければ、使いたい時に使えないことになりかねません。これではもったいないですよね。いつか使うかもと、なんとなく手元に残していたい気持ちは分かりますが、「いつかより今」、快適に生活することを優先させましょう。

3.動作が無理なくできる収納

これから歳を重ねると「腕を上げる」「かがむ」動作に負担がかかることもあるでしょう。毎日繰り返しても辛くならないしまい方にすることで、散らからない部屋になります。日常生活で頻繁に使うモノを優先して、使いやすい位置に収納しましょう。出し入れのしやすさの目安は、「目の高さから腰の位置」くらいにすると身体の負担が少ないといわれています。

たまにしか使わないモノも、
押入れの天袋や、床下収納などに入れておくと、出し入れするときに身体に大きな負担がかかります。押入れの中段〜上段など、目が届く位置に移動することをおすすめします。

4.生活動線に合ったしまい方

生活動線は短い方がいいと聞いたことはありませんか? 例えば、ボックスティッシュのストックは、どこに収納しているでしょうか。納戸? それとも廊下収納でしょうか? ティッシュを補充するたびに離れた場所にある収納まで行くのは意外と面倒。とりあえずココに、とティッシュのストックが床置きになってしまう場合もあります。そんな時は、これまでの収納の定位置を見直し、使う部屋にストックするスペースを設けましょう。

スーパーから帰宅したら、鍵を置く場所はどこ?
買い物袋を最初に置く場所はどこ?
コートをかける場所はどこ?

こんな風に日々の生活を具体的にイメージして、モノの置き場所やしまう場所を見つけていくと、無駄な生活動線を減らすことができます。これまでの習慣で「なんとなく」しまっていた場所から「無理なく自然としまいやすい」場所に収納し直していきましょう

5.出しておく・しまっておく

出しておく収納

「収納する」というと棚や引き出しの中にしまうものと思っている方が多いのではないでしょうか。目の前からモノが見えなくなると、部屋の中はスッキリとしますが、しまった場所があとでわからなくなり、持っていることを忘れてしまうことも。日々、使うものはカゴを使って出しっぱなしにして、溢れないよう整理するといいでしょう。

出しておく収納の例

・郵便物を入れるカゴを用意する
・読みかけの雑誌や書類をカゴなどにまとめる
・薬、健康食品、お茶菓子などはカゴに入れてテーブルの上や近くに置く

郵便物はしまわずに出しておいても◎

しまっておく収納

しまっておく収納は、開け閉めしやすい収納用品に変えることがポイント。歳を重ねるとどうしても手や腕の力が弱くなってしまいます。これまで難なく開け閉めができていた重いタンスの引き出しが使いづらく感じることも。そのため、プラスチックの収納ケースなど、軽い力で開け閉めできる引き出しに変更することをオススメします。

このほか、これまで引き出しにしまっていたパジャマなどは、フタのないカゴにポイっと入れるだけの収納にする。キッチンの菜箸やお玉などの調理小物は、ツールポットに挿して調理台に置いておく。といった工夫でモノの出し入れがしやすくなります。

キッチンツールはしまわずポットに挿して置いておくと出し入れしやすくなります

6.中の見える収納用品を使ってラベリングをする

収納用品は中の見える透明や半透明のものを使うのがおすすめです。そのうえで何が入れてあるのかを大まかにラベリングするようにしましょう。入っているものをすべてラベルに書き出すのでなく、どんな種類の物が入っているか大きく書くのです。ご自身がわかりやすいのはもちろん、今後、ご家族や介護ヘルパーなどサポートしてくれる人達が探す手間も省けます。

介護も見据えて安心できる家に

自宅を使いやすく整えるには、体力的にも精神的にもかなり負担がかかります。60代のうちから今後を見越した生活動線を考え、整理収納を行なうのがおすすめ。早めに使いにくさを解消することで、この先無理なく安全に生活を送ることができるようになります。

もしも将来的に介護サービスなどを受けることになった時にも、第三者が必要なモノがどこにあるのかがわかりやすく、サポートする側にとってもサポートを受けるご自身にとっても安心です。

丸 マイ

整理収納アドバイザー、クリンネスト(お掃除スペシャリスト)講師。個人宅の整理収納サービス「mawaru暮らし」主宰。片づけ苦手主婦だった自身の経験から、楽に片づく収納提案を行なっている。ほかにも、子供からシニアまで幅広い層へ片づけや掃除の楽しさを伝える講師としても活動中。