老師オグチの家電カンフー

NHK「魔改造の夜」の新ネタを勝手に考えてみた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
「魔改造の夜」の新しいネタを考えてみました

エンジニアが家電やオモチャを“魔改造”し、モンスターへと変身させる「魔改造の夜」。必ず録画するほど好きな番組です。私はエンジニアではないので、モンスターを作ることはできませんが、家電ライターとして新ネタを考えてみました。

まずは番組の分析から。魔改造の元となるのは、主に家電製品とオモチャです。

家電製品はその機能や動力源を利用して競技が考え出されます(例「扇風機50メートル走」「トースター高跳び」「ホームベーカリー パン大食い競争」など)。オモチャでは、その遊び方をベースに競技が考えられ、動力などによって対応します(例「キックスケーター25m綱渡り」「ワニちゃん水鉄砲 バースデーケーキろうそく消し」など)。

最近は、家電製品からのアイデアが枯渇しているのでしょうか、後者の比率が増えている気がします(家電ライターとして、家電からのアイデアを出さなくては、という使命感が湧きますね)。

次に、番組として求められる「面白さ」を整理してみました。

1.意外性
なじみのある家電やオモチャがモンスターに変貌するというギャップですね。家電の場合、本来の用途と異なる目的が求められます。

2.競技性
ルールの分かりやすさやエンタメ性ですね。白黒ハッキリつけられることが求められます。

3.難易度
技術者が解決すべき課題が視聴者にも明確に伝わること。パワーとコントロール性のバランスなど、難易度が高いほど技術者は燃えますし、勝負が面白くなる傾向があります。

制限としては、次の3点でしょうか。

1.撮影スタジオのスペースに収まること
広大なスペースを要する競技もダメだし、小さすぎても絵になりにくい。

2.収録時間が長すぎないこと
勝負の緊迫感を視聴者に伝えるために、数分で方が付く勝負であること。24時間耐久レースなどはおそらく不可です。

3.安全性の確保
演者がその場にいるため、大きな火を使うといった危険な競技はNGだと思われます。

以上を踏まえて、3つの競技を考案しました。

サーキュレーターバレーボール

サーキュレーターの風でボールをコントロール

上下左右に首振りするサーキュレーターを使ったバレーボール。

【ルール】サーキュレーターの数は最大6台まで。先攻のチームはコート端からサーブ、自陣に入ったボールをサーキュレーターで跳ね返し、相手コートに送り返す(10秒以内など時間制限を設ける)。ボールを相手コートに戻せなければ失点。3点獲得すれば勝利となる。サーキュレーターのコントロールは、人によるリモコン操作でもプログラムによる自動操縦でも可能。

番組では、3つのチーム(企業)が個々に試技を行ない、記録を競うスタイルですが、参加チームを4つに増やしてトーナメント戦もアリなのではないでしょうか。3回の試合で優勝が決まり、3位決定戦を含めて4試合となります。

掃除機騎馬戦

ロボット掃除機とスティック掃除機による騎馬戦

ロボット掃除機とスティック掃除機を使用した騎馬戦。

【ルール】1チーム3台の騎馬(ロボット掃除機の上にスティック掃除機を設置)を用意。指定された高さに帽子をかぶせる。騎馬のコントロールは、リモコン操作でも自動操縦でも可能。帽子を取られたり、転倒すれば失点。制限時間内に多くの帽子を残したチームが勝利となる。

2チームが対決するトーナメント戦でも、3チームが同時に戦う形式でも可能。速度や小回り性能、転倒しにくさ、吸引性能といった個々の性能だけでなく、戦略も勝負を分ける要素となるでしょう。

かき氷器冬山登山

山盛りのかき氷の高さ競争

かき氷器が削った氷に登った高さを競う。

【ルール】
かき氷器が自ら削った氷で山を作りながら登っていく。一定時間内に最も高い場所に登らせたチームが勝利となる。山から落下しても再度登っても良い。氷はその都度人力で供給して良いが、かき氷器自体に手を触れてはいけない。

他にも考えましたが絵を描くのが面倒くさくなったので割愛。NHKの皆さまからのご連絡お待ちしています(笑)。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>