老師オグチの家電カンフー

酒飲みのための火遊び? 炙り寿司&燻製ウイスキーが楽しい

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
イワタニのカセットガスクッキングトーチバーナー「炙りの達人」

「そういえば、昔買って1回も使っていないガストーチがあったな」と思い出し、キッチンの奥から発掘しました。ガストーチって、ハンディタイプのガスバーナーのことです。購入した目的は思い出せませんが、酒のつまみをこれで炙ってみようとスーパーでしめ鯖を買ってきました。

発掘されたガストーチは、Iwatani(岩谷産業)製で、カセットコンロで使われるガスボンベ(CB缶)を使うタイプ。ボンベを取り付け、ロックを解除、レバーを握ると勢い良く炎が噴出します。

しめ鯖をファイヤー。鯖の脂が赤く燃えている
皿に盛り付け
香ばしさによって旨みが増す

火力に若干ビビりながら、しめ鯖を炙ってみます。チリチリと皮目が焦げ、香ばしい匂いを発するしめ鯖。包丁で切って、わさびと醤油でいただくと、ウマい! ちゃんとした店で出てくる味ですよ。そして、当然のように酒が進みます。ただ、時間が経つと炙り立ての香ばしさは消えていくので、少量ずつ炙った方が良いかもしれません。追い炙りすると焼きすぎになりそうだし。

ついでに、スーパーで買ってきたサーモンの寿司も炙ってみたところ、回転寿司によくある炙りサーモンに。これは楽しい。えんがわとか、脂多めの食材に炙りは合うでしょう。あ、チャーシューなんかも良さそうですね。ただ、寿司や切り身のような小さな食材だと、こちらのガストーチは火力が強すぎて扱いづらいです。もっと小型の火力の弱いタイプが使いやすく、かつ安全かもしれません。

サーモン寿司も炙り(右の青いのが炎)

続いての火遊びは、ウイスキーの燻製。肉や魚、チーズなどを燻製にする燻製機以外にも、グラスに乗せて使うウイスキー用の燻製機があるんですよ。

受け皿に燻製チップを入れて、トーチで加熱。煙が出たら蓋を閉める。そうすると、グラス内に煙が充満し、2~3分ほどでウイスキーに薫香がつきます。スコッチウイスキーのスモーキーさ(ピート臭)とはまた異なる香り。言い方は悪いですが、焚き火のような匂いで、アクセントとしては面白い。あまりクセのないウイスキーで作るハイボールも刺激的な味わいになりますし、飲みながらの手遊びとしては最高です。

Temiry「カクテルスモーカー」(Amazonにて3,280円で購入)
購入した製品には、チェリー、オーク、アップル、ピーカンの4種類のチップが付属
グラスに煙が充満し薫香がウイスキーに
いつものハイボールがスモーキーになる

魚の炙りもウイスキーの燻製も、少し手を加えることで価値が上がるという意味で錬金術のようです(味付け玉子とかもそうですね)。自分の富が増えるわけではありませんが(むしろ酒を飲んでいるだけなので逆)、酔いが回っていると、とても生産性の高い行為をしてるように思えてきます。炙りと燻製はかなり良いコンビでは? 炙りと燻製を両方できる調理家電とか、どこかのメーカーさんが一緒に開発してくれませんかね?

ついでにナッツも燻製してみたり
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>