老師オグチの家電カンフー

から揚げより簡単!? 「焼き天ぷらの素」を試す

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
少量の油で作れる「焼き天ぷらの素」でいろいろ揚げて(焼いて)みた

食べるのは好きだけど、作るのはちょっと……となる料理の代表が、天ぷらじゃないでしょうか。衣の作り方や付け方、油の温度管理、調理後の油の処理など、なかなかハードルが高いイメージです。かつて、子供の弁当用にから揚げを毎日のように作っていた妻に、「天ぷら食べたい」と言ってみたところ、嫌な顔で拒否られたこともあります。「天ぷらなめてんのか」と。

温度管理や油の処理は、電気フライヤーを使えばラクかなと購入を検討したこともありますが、キッチンでの置き場所を確保しなければならないこともあって、見送っていました。そんな煮え切らない思いを引きずっていたところ、フライパンでめちゃくちゃ美味しく天ぷらが作れる粉がネットでバズっているのを見つけました。昭和産業「もう揚げない!! 焼き天ぷらの素」です。

フライパンで作れるということは、ホットプレートでもできるはず。昭和(SHOWA)の天ぷら粉といえば、白地に赤丸のパッケージを思い出す昭和世代も多いのではないでしょうか。そんな老舗天ぷら粉メーカーから出ている製品がおかしいもののはずはないと、早速スーパーで買ってきました。

昭和産業「もう揚げない!! 焼き天ぷらの素」1袋120gでスーパーでの売値は138円ぐらい(右上はオリジナルの昭和「天ぷら粉」のパッケージ)

1袋の容量は120g(2~3人前)。これに対し、120mlの水を入れてかき混ぜると衣ができあがります。タネ(具材)を浸して、油を引いたフライパンで焼くだけですが、先に書いたようにホットプレート(シロカ「おうちいろり」)を使ってみます。

まずは、ナスとマイタケ。3分から5分くらいでカリッと揚がります。食べてみると全然油っぽさはないです。ホットプレートの何が便利かって、温度調節がほったらかしで済むのと、ダイニングテーブルに座って調理できることですね。この時は、テレビでプロ野球の開幕戦を見ながら(&酒を飲みながら)作って(つまんで)おりました。

シロカ「おうちいろり」の深鍋に1cm弱の油を入れて加熱。油はもっと少量で大丈夫なようだが、揚げてる気分になりたかったので
カリサクに仕上がった(油切りには「おうちいろり」の焼き網を使用)

続いて作ったのは鶏天。鶏のささみ肉を半分に切って、衣の入ったボールにぶち込み、これまたホットプレートに投入するだけ。これも5〜6分で完成。安くてヘルシーな鶏肉ですが、天ぷらにすると満足度が高いです。調理前に下味を付けておけば、塩やつゆなしで食べられる鶏天になりますね。

鶏のささみを天ぷらに

この日の最後は、かき揚げ。実は、かき揚げは初挑戦です。天ぷらの中でも、かき揚げは難易度が高いとされているじゃないですか。普通に揚げると、油の中でタネがバラバラになりがちらしいんですが、ホットプレートならその心配はなし。バラバラになりようないし、お箸で形も簡単に整えられます。

天ぷらを卓上で椅子に座りながら揚げられる(焼ける)、しかも、お好み焼きの気軽さで。これは革命的じゃないでしょうか。近い将来、天ぷらはホットプレートで作る料理になっているかもしれません(それもどうかと思うが)。

雑なかき揚げの材料
「もう揚げない!! 焼き天ぷらの素」1袋にタマネギ1個、紅生姜と海老を投入して混ぜ合わせる
油が浅いのでタネがバラバラにならずに調理できる
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>