老師オグチの家電カンフー

鉄道模型でSTEAM教育とは、こはいかに?

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
新宿区西落合にある「ホビーセンターカトー東京」と京急「デハ268」

天気が良かったので関水金属の本社「ホビーセンターカトー東京」までウォーキングしてみました。関水金属、KATOと聞いて理解できるのは、鉄道模型を触ったことがある人でしょう。このショールームには巨大なレイアウト(鉄道模型を走らせるためのジオラマ)があり、Nゲージをはじめ鉄道模型も販売されています。

こちらで売れ筋のお土産っぽかったのが、「STEAMで深まる Nゲージ赤い電車キット」です。長い商品名ですが、本社前にディスプレイされている京急「デハ268」の組み立てキットです。

正直、「なぜにSTEAM?」という疑問も生じます。ちなみに、STEAMとは教育の世界で注目されている概念で、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の頭文字を組み合わせたものです。

【訂正】記事初出時、関水金属の社名を誤って記載しておりました。お詫びして訂正いたします(6月13日)

店内には巨大なレイアウトが。2階には自身の手で走らせられるコーナーもある
一般的なNゲージ模型も販売されているが、一見さんには「STEAMで深まる」シリーズが推しっぽい
「STEAMで深まる Nゲージ赤い電車キット」(4,620円)

何はともあれ作ってみます。組み立てに接着剤は不要。必要な道具はカッターナイフぐらいです。

まずは床下に台車(鉄道車両の車体を支える装置、要は車輪まわり)とカプラーセット(連結器)をはめ込みます。指で押せばパチンとはまります。

次に集電シューと室内灯ユニット、照明板を取り付けます。集電シューは、線路から車輪を通して電気を取り込む銅板のパーツです。室内灯ユニットは小さなLEDのパーツ。私が子供の頃(1970〜80年代)は、LEDは存在していたものの白色はなく、鉄道模型には採用されていませんでした。

そして床下に赤いボディーをはめ込みます。ボディには塗装が施され、車両番号も張り込まれてます。技術を伴う作業ではないですが、なにぶん細かいので老眼には辛く、パーツを破損しないような注意が必要です。特に屋根に取り付けるパンタグラフは、力加減が難しかった。極めつけは「ジャンパ栓」です。車両の前面に垂れ下がっているケーブルのようなパーツですが、細かすぎて無理! 同製品は対象年齢が8歳以上とありますが、上は「老眼が進むまで」と書いてあった方がいいかもしれません(笑)。

線路や電気を流すための電池ソケットも入っている
床下に台車とカプラー(連結器)をはめ込む。これは超カンタン
集電シュー、室内灯ユニット、照明番を取り付ける。これも容易
ボディを床下にはめ込む。全然上手くいかないと思ったら、前後が逆だった
パンタグラフとジャンパ栓を取り付けて完成(後者は断念)

車両が完成したら、照明を光らせてみます。使用するのは9Vの積層電池。付属の線路に乗せると、室内灯が明るく光りました。

当初のSTEAMに対しての疑問ですが、ここで電気について学ぶことができます。鉄道模型では、線路の片側がプラス、もう片側がマイナスになっていて、これを入れ替えることで前進/後進を切り替えます。このキットにはモーターはありませんが、前照灯(ヘッドライト)と尾灯(テールライト)が切り替わります。

模型業界は消費者が高齢化していることもあり、こうしたSTEAM教育の視点でのアピールが強まっています。家電メーカーさんも、STEAMをテーマにした組み立てキットを作ってみてはどうでしょう。安全面等で難しさもあるでしょうが、首掛け扇風機やLEDのデスクライトあたりなら可能じゃないですか?

鉄道模型は、線路の片側がプラス、もう片側がマイナスになっている
そのため車両を置く方向によってヘッドライトとレールライトの点灯が切り替わる
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>