老師オグチの家電カンフー

サンヨー時代のエネループがいまだ現役選手

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 ここ10年ほど、充電式のニッケル水素電池「エネループ」を使い続けております。全部で30本ぐらいあるでしょうか。今はパナソニックブランドになっていますが、うちにいるのはすべて三洋電機時代のエネループです。

わが家で使用されているエネループ(の一部)。世代的には第2~3世代。すべて「eneloop」ロゴ、つまり三洋電機時代の製品です
ついでに、先日発掘されたモバイルバッテリー「eneloop mobile booster」も。12年ぐらい前の製品で、さすがにもう使えない

 充電するタイプの製品が10年以上使い続けられていることも珍しいですが、充電池自体が10年以上腐らずに使えているのは、割と奇跡的じゃないでしょうか。しかし、そうは言っても繰り返し使用されてきたことによる衰えはあるようで、以前より明らかに使える時間が短くなってきました。

 たとえばパソコンのトラックパッドに入れて残量を見ると、充電したばかりなのに50%を切っていたりします。むーん、これはもう寿命なのか。引退させてあげたほうがいいのか、それともキング・カズ的な粘りでまだ頑張れるのか。それを確かめるために「買い替え目安診断機能」が搭載されている充電器を新しく購入しました。

今回購入した「急速充電器 BQ-CC85」(左)と今まで使ってきた充電器「NC-TGR01」(右)
残量に応じて赤(約20%以下)→黄(約20%?80%)→緑(約80%以上)をLEDの色が変化し、100%になると消灯する。ダメージを受けた状態の電池は赤2回点滅表示となり、微弱電流による予備充電で電池の状態を改善するという

 結果から言うと、買い替え推奨表示(黄色LED点滅)は出なかったものの、3本が異常(赤LED点滅)となり、引退させることにしました。大多数の選手は現役続行です。犬猫の歳を「人間の年齢で言うと」と換算しますが、うちのエネループは人間の年齢で言うと60~70歳ぐらいですかね。定年を過ぎているけど、まだ年金がもらえず働き続けなきゃならない。人生100年時代ツラすぎです。

赤LEDが点滅し続ける異常終了となったので、こちらの2本は引退させることにした

 とはいえ、悪いことばかりじゃありません。新しい充電器にはダメージを受けている電池の状態を改善する機能があり、明らかに若返った電池もあります。以前は充電直後でも48%の表示が出ていた電池が91%に。70歳が30歳の体力に戻ったぐらいのインパクトです。

 「いつまでもお元気で」なんて少し嘘が混じった言葉がありますが、そんな気持ちにもなります。サンヨー時代の製品なのも、そんな気にさせるのでしょうか。まあ、繰り返し使えば確実に寿命に至るんですけどね。逆に稼動回数を減らせば、10年後、20年後も生きているかもしれません。いつまでもお元気で。

満充電時の電池残量。旧充電器では48%だったのが91%に
カメラのストロボ用に新メンバー(エネループ ハイエンドモデル)を補強。容量はスタンダードモデルより大きいが、繰返し回数は4分の1の約150回(新JIS規格)。パワフルだがロートル選手よりも寿命は短いかも

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>