老師オグチの家電カンフー
電子工作のはんだ付けにはヒーリング効果があります
2019年5月8日 06:30
ゴールデンウィーク、NHK風に言うなら春の大型連休が終わりました。とくに外出の用事もなく普通に仕事をしていたのですが、少しは趣味的なことをしたく、電子工作をしました。
小学生の頃は、トランジスターラジオなどを作っていましたが、本格的に“はんだごて”を握るのは30年以上ぶりです。
購入したのは、デジタル時計のキット。今や液晶ディスプレイなどが氾濫していますが、昔デジタルといえば、7つのLEDを組み合わせて数字を表示する「7セグメントディスプレイ」で、イケてるデバイスにはこれが使われていたんですよ。
パーツを机に並べて、さあ作るぞと意気込んだのですが、いきなりトラブルが発生します。はんだごてを何十分加熱しても、はんだが溶けないのです。まさか、はんだに消費期限があるとは思えないので、十分に加熱されていないのではと、新しいはんだごてをホームセンターに買いに行きました。
1,000円ちょいとはいえ、使用頻度の低いものに出費するのは痛いなと思っていたら、良い製品を見つけました。はんだごてとしても使えるホットナイフ(ヒートカッター)です。プラスチックや塩化ビニール、アクリル、発泡スチロールなどを、加熱した刃で切る工具で、各種工作などに用いられています。
しかし、日常的に役立ちそうなのは、工具やパソコン周辺機器などに多い、固く透明な樹脂で覆われたパッケージ(ブリスターパッケージというらしいです)を開封する際です。ハサミでは固すぎて切りづらく、カッターは勢い余って中の商品を傷つけてしまいそうで恐い、アレを切るのに便利そうです。
閑話休題。はんだ付け作業に入ります。基板と部品の足を3秒ぐらい加熱、はんだを押し当てる。溶けたら、はんだを離し、こてを離す、とこんな手順です。
否が応でも集中力が求められます。はんだが溶けた瞬間、指先にその感覚が伝わり、独特のニオイが発生する。それを繰り返していくと、さらに集中力が増してきて、はんだがキレイに付く確率が上がってくる。写経や瞑想のような無心になれる、ヒーリング効果がありますよ、はんだ付けには! 癒やされたい女子もやったらいいと思います。
考えてみれば、基板って見た目が仏教のマンダラみたいですよね。トランジスターは如来ですかね。大仏などの仏像には金や銅、鉛、すずが使われますが、電子回路もまさにこういった成分で構成されています。電子回路がハードウェアとしての仏像なら、そこに載せられるソフトウェアはお経でしょうか。日本や中国で電子産業が発展したのも、東洋思想が関係しているのかもしれません。小学生にプログラミングを教えるのもいいけど、はんだ付けも必修にしたらいいんじゃないか……などの妄想も交えながら、ようやくすべての部品を付け終えました。
ドキドキしながら電池を接続すると、パッとLEDが点灯。しかし、LEDの一部が点灯しない。しかも、時間の1ケタ目なので時計としては致命的。おかしいなぁ、はんだはちゃんと付いてるんだが……。そんな「チーーーン!」な結末でしたが、自分で作ってみると、製品の初期不良にも少しは寛容になれる気がしました。合掌。