藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

シルクやウールのシミ取りにも「ザウトマン」は手応えアリ

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
ザウトマン

社会人としても人の子の親としても「ペーペー」だった、20代の筆者に年長の仕事仲間が「仕事や健康、人生を通しては自分より10歳上。子育てでは子供の年齢より5歳上の人の動向・情報を参考にするのがいい」と教えてくれたことがあった。そして実際のところ、その教えは以後20余年に渡って大変、役立つことになった。

親の介護や死に際しての覚悟や準備、子供の発育や進路そのほか、少し先を行く人の惜しげない経験のシェアに、どれほど学び救われたか知れない。

そういった先人による有益情報の一つに、痒いだの蒸れるだの、更年期的な妙齢になると女性はしばしば自然素材の衣類に傾倒する傾向が出てくる……というものがあった。

しかしながら長らく他人事だった、そんな感受性が果たして五十路を前に筆者にもついに現れたのである。

ポリエステルやナイロンやレーヨンは嫌だなあ、綿もいいけどもっと柔らかい素材が着たいなあというフェーズ。そうしてぬるりとシルクだのカシミアだのというデリケート素材周りを右往左往し始めたのだけれども、着用の頻度が高まるに比例してそれらにも容赦ない汚れが頻繁につくのだということに程なく気付くことになる。

特に直に身につけるものに顕著だ。しぜん高まる「シミ」汚れ落としの必要性。しかしいわゆる「シミ取り洗剤」の多くは、その強力さゆえにか「絹(シルク)」や「毛(ウール)」には使えないのだ。

そんなこんなで必要に迫られ探し見つけたのが「ザウトマン」だ。これは非常にレアなことに、シルクやウール、カシミア、赤ちゃんの衣類などといったいわゆる「(洗えるけど)デリケートな素材」広範に使用できる。

パッケージ裏

液性は弱アルカリ性なれど原材料はシンプルで、界面活性剤の割合も比較的低い。これで大丈夫なんだろうかといささか危ぶみつつ、なんだかんだ付着する血液や肌荒れなどによる浸出液、脇や鼠蹊部から出る汗、うっかり微量でも存在感ある食べこぼし等々でできたシルクやウール衣類のシミ部分に使う。

液性は弱アルカリ性。界面活性剤の割合も比較的低めだ

具体的には、シミ汚れを見つけた時点からできるだけ時を置かずに、液を塗り揉み込み、軽く濯ぐ。
また様子を見て繰り返し塗り込み、その後シルク、ウールならお洒落着用の中性洗剤で洗濯する、というプロセスで対処する。

もちろん綿麻やポリエステル等のあまりデリケートでない衣類全般にも使える。洗濯方法はそれらのやり方に準じる。

まあ、こういった「シミ取り」自体はさして難しくない作業だが、まず塗り込みの段階でシミの汚れ部分が洗剤液に溶け出してくるのがわかる。「シミ取り」には汚れが剥がれる感のものと溶け出す感のものがあるが、これは溶ける系。「漂白」ではないのでシミ色素の分解ではなく、汚れ成分の物理的「取り出し」といった印象、なるほど生地を傷めにくい。

またこの手洗いの際に指先がアルカリでヌルヌルになることもなく安心感がある。それでいてシミ部分はよく落ちる。付着して時間が経ってしまったものでも試してみたが、手応えがあった。

薄手のシルクの衣類は冷房の効いた部屋での過剰な冷えを抑制し、肌にぴたりと貼り付かない限りは長袖でも夏はかえって涼しくすら感じられるので、自律神経の不穏な更年期女性としては暑い時期でも着る頻度を落としたくなかったりする事情がある。汚れてもその的確な洗濯に寄与する道具が手元にあるというだけで、だいぶん気楽に着用することができ、ありがたい。

こんな生活の知恵の手札をちまちま増やしているのも多少の年の功か。いずれ年若い人の役に立てるならば冥利に尽きると思うのだ。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。