藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
リズムのミニミニ扇風機が洗面所にちょうどよかった
2024年5月23日 07:05
「そういえば今日、後輩の子が学校で、持ってたハンディファンを床に落としたら、ガコガコ妙な音が出るようになっちゃってさ」
と、風呂上がりの高校生の娘が話すので、歯を磨きながら「え、それやばいよバッテリーが爆発しちゃうかもよ!」と言ったら、「いや、ウチらも『やめなよ使うの危ないよ』って言ったんだけど、今日、暑かったからさあ……」……「いやそれにしても」云々。
狭い洗面所で話したあと、ふう……と娘がため息をつく。
「で、ふと思ったんだよね。ウチらの高校時代を思い出すときって、きっとハンディファンがあったなあ、って思い出すんだろうなぁ、って」
「ふーん……」
そりゃまた随分と俯瞰的な……と感心しながら、でもそうだよなあ、2006年生まれの女子高生と違って、1974年生まれの筆者の高校時代の思い出にはハンディファンなんて、影も形もないものなあ、と思ったのだ。
当時の高校生が、夏に暑さのあまり狂ったように顔や身体を煽いでいたのは……下敷きだった。
今や100円ショップでも買える温故知新的グッズ「扇子」を持ち歩く文化もなかったことを思うと、私たちの頃は今よりチョット野蛮だったのかな、という気がしないでもない。夏といえば今や男性でもさす日傘なんて、若い女子ですら見た記憶もないもの。
今年もきっと猛暑、酷暑がやってくるだろうし、もはやこの異常に暑い夏を生き延びるのに「マイ日陰」を作り出す日傘や、「マイ扇風機」たるハンディファンは必要不可欠といえるだろう。
しかし風を送る系の道具を日常的に使う人ほど思い知っているだろうことは、その「ファン」の汚れっぷりがある。空気を通す物は必ず汚れる。微粒子的なもの、繊維的なもの、毛的なものがその3大要因だ。
とはいえ子供の頃から、「指がちょん切れちゃうから扇風機に指を突っ込んではいけません!」と叱られてきた民としては、いかな掃除目的とはいえ、ファンの周りをみだりに触るのは、はばかられる感がある。
事実ファンの周囲の安全目的(?)と思われるガード部分は、妙に目が細かいというか複雑形状をしていて、汚れが溜まるのに掃除しにくいったらない。
さてリズムの「Silky Wind Mini」は、小さいけれどハンディではない、据え置きタイプのミニファンだ。
据え置きタイプではあるけど使用者は一人想定のパーソナルな扇風機であるという点が、存外、新しい。
その想定使用シーンはエアコンがかかっているものの自席はあまり涼しくないオフィスのデスクだったり、エアコンの設定温度をあまり低くしたくはないものの微かな風が欲しいリビングや寝室の自分の周囲だったりするのだろう。
しかしわが家においては、ことミニファンの使用頻度というか、必要性の高い箇所は、洗面所なのだ。
3人いる年頃の娘たちが長時間滞留し、それぞれ髪型だの顔だのを作るのに、春以降いい感じの風がないと蒸し暑く、すぐ汗だくになってしまうのだった。洗面所にはエアコンの風も届かないし……。
もちろんこれまで試行錯誤は行なってきた。扇風機は邪魔で、小ぶりのエアサーキュレーターを置いたこともあるが、床置きするとホコリやえげつない量の抜け毛を吸い上げて汚れ過ぎるし、洗面台に置くには大きすぎる。それではと、吊り挟み式の扇風機を使った時期もあるが、設置場所が難しく落下を繰り返した(そして壊れた)。
結局誰かの持ち込んだハンディファンを駆使していた時期もあったが、所有者不明なためしばしば行方不明になったり、あってもバッテリーが切れていたりして、小トラブルの元になりよろしくなかった。
という、ごく家庭的な事情に、この据え置きタイプの「Silky Wind Mini」はフィットした。
据え置きタイプなので洗面台にいつもあり、邪魔にならないサイズもちょうどいい。しかも抜け毛が吸い上げられてひっ絡まっても、本体を分解しやすく掃除しやすい構造をしている! 汚れやすい環境にピッタリなのだ。
思えば筆者が高校時代に住んでいた家には、そもそも洗面所すらなかった。それはそれでなんとなく暮らせてしまっていたし、何があるから豊かで、何がないから貧しいというほど世の中は単純なものではないということくらいは、半世紀生きていればさすがに思い当たる。
とはいえ今年から「いい感じの風が吹く洗面所のある暮らし」が、大人になりつつある娘たちの、この家での思い出に加わるのだろう。
それはそれで悪くなかろう。そしてその掃除係が自動的に筆者になるだろうことも甘んじて享受しよう。子供と暮らす時間は有限だ。そしてあらゆるものは、使われるからこそ汚れるのだ。