藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
畳や布団のダニ対策に「ダニアーススプレー」
2022年6月27日 07:05
街中で暮らしてかれこれ四半世紀になる。街中であるだけでなく、住まいは集合住宅で、さらに一番長く住んでいるのは高層階だ。
ベランダに出れば見渡す限りの灰色の街並み。
田舎育ちにはそれが息苦しく、狭いベランダをジャングルのように植物だらけにしていた時期もあるのだが、大規模修繕のタイミングで大幅に減らした。
減らしてみると長年付き合ってきたワラジムシやアリ、流しのゴキブリとの遭遇が激減し、蚊も出なくなった。一概にそれがいいこととも思えないのだが、だいぶん暮らしにかかる「手数」自体が減った感は否めないのであった。
一方、北関東にある実家は田畑に囲まれた土の上に建つ一戸建てなのだが、ここに長年住まってきた両親が立て続けに逝き、にわかに筆者が管理することになってしまった。
いろいろのごたごたでコロナ禍に訪れにくく、半年ほど放置したところ、あれよあれよという間に建物はセイタカアワダチソウに覆われ、内部ではカビが生え、謎の虫が多量に湧いてしまい、大変に困惑することとなった。
街中にはない土の力を感じた。緑の脅威といおうか。自然の圧というべきか。
人が暮らさなくなった家を、隙あらば「自然に還そう、分解しよう」という微生物ら、昆虫らの意思を前に、
「こりゃー、しのごの言っていられないな」
と、正直なところ思った。
街中で暮らしている20年以上、筆者はわりと“自然派”を自認している暮らしであったのだが、それはしょせん灰色の町に住む者の道楽であったと省みざるをえなかったのだった。
筆者は覚悟し、強力な総合害虫駆除剤……、燻煙剤を家中の面積に合致する個数、きっちり使用し、家を閉め切った上でいぶしにいぶした。その1カ月後、凄惨な結果を見た。そうして下処理したところで多量の家財の処分を開始し、いま2年目に至る。
つまりは、梅雨も2回目になる、となると戻ってくる気配を感じるのだ。あのいろいろの虫たち、小さいダニらがまた。
でも燻煙剤はやはり、いろいろとハードなので、もうしばらく使いたくない。というところで二間続きの座敷(和室)の掃除とケアにと思案し導入したのが、この「ダニアーススプレー」なのである。
「ダニアーススプレー」、使い方は簡単である。畳1枚の広さに10回を目安にスプレーし、まんべんなく薬剤で濡らす。1時間ほど、しっかり乾かす。その後に、掃除機で吸う。
このとき窓は開け放して換気をしながらにする。威力、におい等勘案しての比較的マイルドな商品チョイスではあるが、やはり自分自身はスプレーの霧を吸わない風上にいた方が良い。
「ハーブの香り」を謳うこの商品は確かにハーブ系のにおいがするが、それほど強くはない。でも進んで嗅ぎたいわけでもない。スプレーをたっぷり吹き付けても、畳がべたつかないのは良いところである。
まあ、しっかり噴霧するとわりと1本すぐになくなるのだが、こういった害虫防除スプレーに限らず「液体」は長い期間大事に使うものではないので、梅雨前掃除に使い切ってしまうくらいで、ちょうどいいのではないかと思う。
かれこれ暮らしの手数が増えると、体力も気力も消耗する。
まあ、しかしそれも悪いことばかりではないのだろう。自然の勢い、圧に圧されながら、それもまた生きているが故だと感じ入る今日このごろなのだ。
余談だが、これを冬寝具にスプレーし、しっかり天日に干して乾かしたところで押し入れに仕舞うと夏に寝具で増えがちなツメダニ(刺すダニ)の発生予防になるという方向でも活用できるだろう。ペットと暮らす場合はノミ対策にもなる。また屋外での除草作業などの前には衣類にスプレーしておく(よく乾かしてから着る)ことで、マダニ防除にも役立ちそうだ。自宅にも一本常駐し、PTAの奉仕作業の際などに試してみたい。