藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

目に見えないダニの存在を感じられる「ダニ捕りロボ」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 この春先とても多忙だったので、家族の衣替えが手薄だった。具体的には、冬物を放り込んでおいたプラスティックの衣装ケースのなかに、防虫剤もダニ捕りマットも入れ忘れてしまった。

 かくして、急な寒さに慌てて秋冬物を発掘して着ようという段になって、私は激しいクシャミと鼻水に見舞われることになる。タイミングとしては紛らわしいが、これは風邪によるものではない。およそこの衣装ケースのなかで繁殖してしまったダニのしわざである。

 果たして。ひとに喘息や鼻炎やアトピー性皮膚炎などの「アレルギー症状」を引き起こす「アレルゲン」として知られているもののなかで、「ダニ」という存在は、よく聞く名称のうちのひとつだろう。

 しかし耳にはするものの、多くのひとにとって「でも自分には関係ない」と軽視されがちな存在だったりしないだろうか。なんとすれば、見えないから。見たことがないものだからだ。

 アレルゲン。食べ物、金属、見える。カビも、わかる。花粉も、細かいけど、まとまれば黄色く見える(CMなどで杉山からブワーっと煙っているところを見るだけでも目が痒くなる!)。でもダニって……いるの? 本当にいるの? どこに? 都市伝説?

 布団のなかにいるという。まくらのなかにもいるという。絨毯に潜んでいる。布ソファもあやしいらしい。ベッドマットのなかに。エアコンのフィルターからも検出。女性のロングブーツもあやしいらしい。バッグ。タンス。……見えないけれどなあ。

 しかもアレルゲンとして強力なのは、生きてチマチマと動いている(顕微鏡のなかの)その生き物本体より、微細な排泄物(糞)の乾いたもの、砕けたものだとか。動いていたダニが死んで、しかも乾燥してバラバラになった塵(死骸の粉末)が一番悪いとか言われても、いったいどうしろと? と、困ってしまうのが本音ではないだろうか。

 というか、私はとても困っていた。我が子が「ダニ」に感作しての喘息で、頻繁に救急車のお世話になっていたからだ。

日革研究所「ダニ捕りロボ」

 その頃、悩みを聞きつけたわけでもないが、縁あってこの「ダニ捕りロボ」を我が家に送ってくれた方がいた。私は半信半疑のままながら、押入れの布団や、普段寝ている布団の足元にこれらを仕込んでみることにした。さしたる手間を要さないのが忙しい、子育ての日々ではありがたかった。

 すると程なく、子どもの喘息発作も、自分ではダニアレルギーだという自覚もなかった私のクシャミ・鼻水までも、うそのように治まってしまった。

 私が行なった実作業は、商品パッケージを開けてケースに納め、押し入れやらの布団の隙間にこれを「挟んだ」だけである。その後、たんすや衣装ケースや布ソファなどにもくまなく「挟む」ようになった私は、うっかり挟み忘れることがあると途端クシャミ鼻水に見舞われるために、体感として私はダニの実在を信じるに至っている次第だ。

 「ダニ捕りロボ」は、特殊な美味しいにおいのなかにダニを引き寄せ、強制乾燥させ殺虫するがため、使用者に実体を見せてのアピールはかなわない。

 いつか我が家に仕込んだロボのシートをラボに持参して、いったい何匹いたものかこの目で確かめてみたいと思っている。

パッケージを開けてケースに収めたら、押し入れなどに挟むだけ