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アイリスの工事不要クーラーで真夏の熱帯夜に即応! 快適すぎる!

家電 Watchの書き手の皆さんと編集部が「よかった」と思えたものやサービスなどを、ゆるめに紹介するコーナーです。日々のちょっとした気づきなども共有します
ポータブルクーラー IPK-2805U

筆者は約20年、東京都内の築ウン十年のマンションで暮らしている。特に感じるのは、ここ数年の夏の夜の暑さが尋常ではないこと。10年前くらいまでは寝室にクーラーがなくても、もちろん暑かったけれど、なんとか乗り切れていた。それが今では、クーラーなしだと寝室が余裕で30℃を超えるほど暑くなる。

そこで、リビングのクーラーをほぼ一晩中稼働させて、冷えた空気を扇風機で寝室まで送り込むという対策を、ここ数年とっている。ただ、これだとリビングのエアコンへの負担が多く、すぐに壊れてしまいそうだし、エコではないような気がして誰にともなく悪い気がしてしまう。

そんななか、家電 Watchでも紹介するたびに人気記事となる、スポットクーラーを試してみることにした。借りたのは、アイリスオーヤマの「ポータブルクーラー IPK-2805U」。直販価格は76,780円。

予想外に大きな梱包で驚いた

「ポータブルクーラー IPK-2805U」は、コンプレッサーと熱交換器を使用したモデル。一般的な壁掛けの家庭用エアコンの室内機と室外機を一体化したような仕組みだ。

家に届いた時には、その梱包された状態の予想外の大きさに驚いた。我が家の昭和仕様&少人数世帯向けの狭いマンションの廊下を、ギリギリ運べるくらいの幅。「あれ?……“ポータブル”クーラーを頼んだはずだけど、間違えちゃったかなぁ」と思ったほど。さらに、ぜひ使ってみたいと言っていた妻にまで「あちゃぁ〜、こんなに大きなもの、どうすんの?」と、追い打ちをかけられる。

この種のエアコンは「スポットクーラー」や「ポータブルクーラー」と呼称されているため、てっきり、気軽にクルマで持ち運べるくらいにはコンパクトなものだと、筆者が勘違いしていただけだった。同機の本体サイズは約300×316×696mm(幅×奥行き×高さ)で、確認してみると、他メーカーから発売されている同じ仕組みのスポットクーラーなどと、ほとんどサイズは変わらない。

さらに箱から本体と付属品を出して分かった。付属品が場所を取っているのだ。特にかさばっていたのは排気ダクトやダクトエンド、それに同機の売りの1つである「隙間用アタッチメント」だった。

蛇腹の排気ダクトは、伸ばすと身長150cmの息子よりも長い
隙間用アタッチメント

隙間用アタッチメントで気軽に使い始められる

ファーストインプレッションは良くなかったが、使ってみれば快眠が待っているんじゃないかと期待して、とにかく設置してみた。寝室の入口に置いて、本体背面に排気ダクトを繋げて、その先端には隙間用アタッチメントを取り付けた。就寝時はドアの隙間から排気しようという戦略だ。

隙間用アタッチメントは名前の通り、隙間から排気しようというもの。付属の円筒形ダクトが実測で幅が14cm弱なのに対して、隙間用アタッチメントの幅は約6cm。例えば部屋のドアから室外へ排気する場合は、同アタッチメントを使った場合の方が、圧倒的に隙間が減る。つまり暖かい空気が室外から入って来にくいので、効率的だ。

左が隙間用アタッチメント
隙間用アタッチメントは、ドアで挟むようにして使う
付属の円筒形ダクトの幅が14cm弱(実測)で、隙間用アタッチメントの幅が約6cm。圧倒的に隙間が減る
ドアの反対側から見ると、隙間が少ないことが分かりやすい

結果、寝室の中はとても涼しくなり、寝心地が向上した気がする。筆者の主観では、駆動音がとてつもなくうるさく感じたので、ノイズキャンセリングイヤホンで音楽を聞きながら寝たが、妻は、暑いよりもうるさい方がいい……ということなのか特に文句もなく、すやすやと眠っていた。それでも筆者が思うには、置く部屋の環境にもよるが、うるさくて眠れない人はいると思う。

それでも1〜2時間くらい冷風運転していると、30℃前後だった室温は26℃くらいにまで下がる(6畳)。そうとうの熱帯夜ではない限り、電源を切ってもそのまま朝まで眠れるほどだ。もし暑くて寝苦しさを感じた時は、寝ながら腕を伸ばして電源をONにでき、すぐに部屋を冷やせるので、とても快適になったといえる。

問題は、隙間用アタッチメントで廊下へ送った熱風の排気だ。

夜中に喉が乾いたりトイレに行ったりするために廊下に出ると、モワァ〜っと熱気が籠もっている。そりゃそうだよなぁ……という事象なのだけれど、これは効率がとても悪いと感じた。

隙間用アタッチメントは、排気のためのドアやシャッターなどの開口部を最小限にできるため、ガレージや窓のない部屋では間違いなく便利だろう。だが、寝室に窓があるのなら、窓から排気した方が良いに決まっている。

やっぱり窓からの排気が断然おすすめ!

見た目の印象では「大きいなぁ」と感じた本体だが、接地面積は約300×316mm(幅×奥行き)なので、狭い寝室でも、窓際に設置するのは難しくなかった。取扱説明書を見ながら付属の窓パネルセットを組み立て、本体背面と窓パネルを、蛇腹の排気ダクトを引き伸ばして繋げるだけ。窓に設置するのにかかった時間は10分ほどだ。

窓から排気するために設置し直した

窓パネルを設置した状態だと、窓の鍵が締められない。マンションの7階とはいえ、防犯上怖いので窓に付属の補助鍵を取り付けた。排気ダクトに取り付ける隙間用アタッチメントもだが、こうした細かい点まで行き届いた付属品が同梱されているのは助かる。

窓パネルを設置してからは、廊下に排気する必要がなくなり、部屋が冷えていくスピードがアップした。確実に家全体での冷房効率も快適性も上がった。

窓パネルが、ぴったりと窓にフィットする

使い方も、就寝時に電源を入れるのではなく、寝室で寝る約1時間前からあらかじめ部屋を冷やしておき、就寝時に電源をオフにするように変えた。これで就寝時にリビングから寝室へ行って「暑い!」と感じることもなくなり、駆動音に辟易することもなく、より入眠しやすくなった。

運転モードは、冷風のほか送風(換気)と除湿で切り替えられるが、筆者は冷風のみを使っている。その冷風だが、電源をオンまたはオフにするか、風量を強か弱の2段階でしか選べない。一般的なエアコンのように細かく設定できないのは、仕方がないとはいえ残念ポイントだ。

そうした不便な点もあるが、総じて満足している。妻も「はじめは文句ばっかり言っちゃったけど、すごく助かってるよね」とご満悦だ。

我が家のように通常のエアコンを設置しにくい部屋や、隙間用アタッチメントを使えば、窓のないサービスルームで使うのにも良いだろう。もちろんガレージや倉庫でも活躍するはず。また例外なく夏の暑さが厳しくなってきたと聞くようになった、北海道などの寒冷地でも、部屋の一つ一つにエアコンを設置していくのではなく、こうしたポータブルクーラーを活用するのも、選択肢としてアリだろうと思う。

河原塚 英信