データで読み解く家電の今
縮小傾向にあった冷蔵庫需要がやや上向きに。今後のトレンドは小・中容量モデルが牽引する!?
2017年11月6日 07:00
冷蔵庫は、洗濯機や炊飯器と同様に、世帯構成やライフスタイルの変化に応じて、進化し続けている。GfKジャパンのアナリスト・宮本徹氏は、昨今の冷蔵庫の進化を次のように語る。
「断熱材の進化やコンプレッサーの位置の変化によりスリム・大容量化が進み、設置面積が従来と同じでも収納できる容量が増加。食材のまとめ買いニーズに対応できる製品が拡大しました。
さらに、冷凍機能の充実・野菜室の高機能化により、生鮮食品の鮮度保持性能も向上しています」
特に共働き世帯が急増していることを背景に、買い溜めした食材や作りおきした食品を、長期間保存したいというユーザーのニーズに応える機能がトレンドとなっている。
そうした冷蔵庫の家電量販店における販売動向を見ると、2017年1月から9月の販売台数は、前年比で3%増。6月から8月の販売が振るわなかった前年と比較するとやや上向いている。
とはいえ、ここ数年の販売台数の推移は弱含み。理由として、エコポイント制度や消費増税などにより、2013年頃までに需要が先食いされた影響と考えられるという。また冷蔵庫の平均使用年数が伸びていることも一因とみられる。
容量クラス別の数量構成比をみると、ここ数年続いていた401L以上の大容量クラスの拡大が一服。一方で、200L以下の小容量が、35%に達している。
宮本氏は、小中容量クラスにおけるデザイン面などでの進化にも注目だという。
「以前は大容量のハイクラスモデルを中心に採用されていたガラスドアですが、現在は小・中容量クラスのモデルにも採用されてきています」(宮本氏)
実際にデータをみても、ガラスドアモデルの需要拡大は続いる。数量構成比では、5年前に数%ほどだったのが、2017年には37%にまで達した。
「単身世帯や少人数世帯向けの冷蔵庫はこれまでシンプルなデザインで安価なものが多かったものの、最近ではガラストップのほか、ステンレス扉を採用したモデルも登場しており、選択肢が広がってきています。
炊飯器で3.5合炊きなど小容量の高付加価値モデルが人気を集めているように、冷蔵庫においてもこうした小・中容量での取り組みが進むのか、注目されます」(宮本氏)
出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」