イベントレポート IFA 2015

パナソニック、住空間に溶けこんだ家電で“憧れのくらし”を提案

パナソニックブースの様子

 世界的な家電見本市「IFA 2015」がドイツ・ベルリンで開幕した。開催期間は9月4~9日。

 パナソニックブースでは、「A Better Life, A Better World」をテーマに、Future Lifestyleなどの7つのコーナーに分類。

 3,300平方mの展示スペースを活用し、同社が持つAV機器から白物家電、理美容製品などの個々の製品展示に終始するのではなく、これらの製品が連携することで実現する「憧れのくらし」を前面に打ち出す。住空間全体を表現した「ライフスタイル・ショーケース」に位置づけた展示内容となった。

キッチンや寝室空間を表現した「Future Lifestyle」

 パナソニックブースを東側から入ると、真っ先に目が入るのが「Future Lifestyle」のコーナーだ。ここでは、「ライフスタイル・ショウケース:Better Living Tomorrow」と題して、2018~2020年を想定した「憧れのくらし」を提案。調理、だんらん、くつろぎ、美容・健康をテーマに、インテリアと家電が調和した住空間を表現し、「Kitchen」、「Dining」、「Living」、「Bedroom」の4つの住空間に分けて展示していた。

 「Kitchen」では、栄養バランスが高い本格的な調理を行なうための先進調理家電とクラウドサービスを紹介。「自宅にプロのシェフと栄養士がいるかのような豊かな食生活」を実現するという。

 具体的には、ビルトインキッチンとして、フリースタイルIHクッキングヒーターと、コードレスキッチン家電を展示。今回の新たな提案として、食品の発酵や熟成などに適したビルトインフードマチュアリングストッカーを展示した。

 また、クラウドサービスでは、パーソナルキッチンスクリーンを中核に、家電機器が互いにつながることで家族の食生活にあわせたレシピ提案や調理を楽しむサービスを、デモを通じて紹介してみせた。

コードレスキッチン家電。IHクッキングヒーターの上に置くだけで、上方向から焼くことができる
カメラを埋め込んでいるフード。上方向から調理の写真を撮影して、SNSにアップするといった使い方も可能
パーソナルキッチンスクリーンにレシピ情報などを表示する

 「Dining」では、存在が住空間の邪魔にならないように、映像を表示する時以外は、窓として機能する透明スクリーンを展示。加えて、プロジェクター機能を併せ持つダウンライトで、テーブルを演出するプロダクトも見られた。そして、これら映像や照明による空間演出、あるいは情報通知により、「自然と会話が生まれる楽しいだんらんのひと時」を実現するシーンを提案してみせた。

 「Living」では、インテリアとして住空間に溶け込んだ映像・音響装置で、「一人でも、みんなでも、思い思いにくつろげる空間」を演出。中でも表示情報に合わせて、ディスプレイが昇降して、最適な画面サイズに変わるアンビエントディスプレイが目を引いた。

 また、スピーカーそのものがリビングに溶け込んだ、カーペット内蔵型スピーカー、ラグスピーカーも展示。映画鑑賞に適した最大6.1chサラウンドなのに加え、会話や読書といった様々なくつろぎの状況に応じて、聴きたい人の場所に合わせて音を届ける範囲をコントロールできるという。

プロジェクター機能を併せ持つダウンライトで、テーブルを演出するスマートダウンライト
映像を表示する時以外は、窓として機能する透明スクリーン
カーペット内蔵型スピーカーであるラグスピーカー
最適な画面サイズに変わるアンビエントディスプレイ
アンビエントディスプレイ動作の様子

 「Bedroom」では、住空間に溶け込んだビルトイン機器やサービスによって、「自宅にプロのアドバイザーがいるかのように、自分らしく美・健康を高められる生活を実現する」という提案だ。

 センサー技術を活用して、太陽の動きに合わせた人間の生体リズムに基づいたサーカディアン照明システムを展開。さらに映像や空調、音響を連携した快眠ソリューションのほか、バイタルチェックや拡大鏡、後ろ姿見などの新機能を追加したインタラクティブミラーを展示した。

サーカディアン照明システム。バイタル情報の表示のほか、木漏れ日のような演出もできる
バイタルチェックやメイクの方法を提案するインタラクティブミラー

4Kホームシアターからセキュリティまで「Home Entertainment」

 2つめの「Home Entertainment」のコーナーでは、今回のIFA 2015で発表し、欧州で10月から発売予定の4K対応の65型有機ELテレビ「TX-65CZ950」や、4Kホームシアターシステムを展示。参考展示としては、Ultra HD Blu-ray規格対応プレーヤーや、防水仕様の24型ポータブルテレビの開発試作品も並んでいた。

欧州で10月から発売する4K対応65型有機ELテレビ「TX-65CZ950」
有機ELテレビの新製品と、プラズマテレビの比較を行ない、ブラズマテレビを超える画質を実現したことを訴求
4K対応VIERAのラインアップを展示した
くつろいで視聴できる環境も提案する
参考出展した24型ポータブルテレビ

 技術展示コーナーでは、VIERAの高画質技術や、Wi-Fiを利用して家庭内の複数の機器で同時に音楽を再生する規格「AllPlay」などを紹介。さらにコンテンツのアクセス性を高める「Firefox OS」、アンテナ線を使わずにLANや無線経由でテレビ放送が受信できる「SAT>IP」対応機器による家庭内ストリーミング、ホームセキュリティシステムなどをみせた。

AllPlay対応のコンパクトステレオシステム「SC-ALL5CD」、ワイヤレススピーカーシステム製品「SC-ALL2」などを展示
アンテナ線を使わずにLANや無線経由でテレビ放送が受信できる「SAT>IP」対応機器
Firefox OSにより実現した「My Home Screen 2.0」
ネットワークカメラ「Nubo」
4G LTE網などを利用して、監視カメラで撮影した映像をスマートフォンで確認できるセキュリティサービス
ホームセキュリティの提案も。新たな発表したAllianzとの提携内容を訴求

ウェアラブルカメラや4Kビデオで屋外の利用シーンを提案

 3つめの「Imaging」では“Urban Park”という切り口から展示を行なった。

 ここでは、屋外での利用シーンに最適化した製品群を展示。重さ約45gと小型軽量化したウェアラブルカメラ「A1」と、4Kビデオカメラ「WX970」をワイヤレスで接続し、A1の映像をワイプ画面に表示させたワイヤレスツインカメラソリューションを紹介。

 LUMIX独自の「4K PHOTO」の提案などを行なう一方、技術展示コーナーでは、GX8に搭載した世界初のコントロール手ブレ補正システムを訴求。同時に、撮影後にフォーカス位置を自由に選択できる、開発中の新機能「フォーカスセレクト」などを、デモを交えて紹介。フォトギャラリーでは、「4K PHOTO」で決定的瞬間を捉えた作例などを展示した。

LUMIXでは4K動画対応のミラーレス一眼デジタルカメラ新「GX8」を展示
今秋発売予定のレンズ一体型デジタルカメラ「FZ300」
重さ約45gと小型軽量化したウェアラブルカメラ「A1」
フォトギャラリーでは、「4K PHOTO」で決定的瞬間を捉えた作例などを展示

 4つめの「Beauty/Spa」では、「Salon」をイメージした展示を行ない、プロのスタイリストやスキンケアアドバイザーを通じて、ヘアケアからスキンケアにまで広がる美容機器を訴求。家庭で手軽に美を高められる生活を提案した。

 美容機器では、「乾かしながら潤いのある髪へ」をテーマに、ナノイー搭載のヘアケア製品や、毛穴の奥から潤いを与え、クレンジングと水分補給を実感できるスチーマー、欧州で8月から発売したばかりのIPLエピレーター「ES-WH8」を展示。

 メンズグルーミングでは、5枚刃を採用したラムダッシュ「ES-LV95」と、39段階の長さ調整ができるトリマー「ER-GB80」などを、実際に試すこときができるようにしていた。

ヘアケア製品を実際に試すことができるコーナーを用意
メンズグルーミングも試用できる

大容量タイプの洗濯機やビルトイン冷蔵庫など、欧州向けの白物家電

 また、Laundryのコーナーでは、オプティカルセンサーによって実現するAutoCare機能により、汚れ具合や洗剤の種類に合わせて、最適な洗濯ができることを強調。

 大容量10kgモデル「NA-140ZS1/XS1/XR1」と、強力スチームにより、柔軟剤を使わず洗濯物をふっくら仕上げることができる「168ZS1」を展示した。いずれも欧州で2016年2月に発売する予定。

 このほか、1951年に発売したパナソニックの第1号洗濯機も展示されていた。

左から大容量10kgモデル「NA-140ZS1」、「NA-XS1」、「NA-XR1」
強力スチームでふっくら仕上げる「NA-168ZS1」
同じ筐体サイズながらも大型のドラムを搭載できるのがパナソニックの特徴。制御に関する部品を小型化した
洗濯機に搭載されたオプティカルセンサー
AutoCare機能により、汚れ具合や洗剤の種類に合わせて、最適な洗濯ができる
1951年に発売したパナソニックの第1号洗濯機を展示

 「Cooking/Kitchen」では、フードスペシャリストによるミニクッキング教室を通じて、スロージューサーやスチームオーブン、ブレッドベーカリーによる食生活を提案。特設ステージでは、辻調理師学校の講師によるIHクッキングヒーターを用いた和食の料理デモを実施する。

フードスペシャリストによるミニクッキング教室を開催
辻調理師学校の講師によるIHクッキングヒーターを用いた和食の料理デモを実施
ホームベーカリー「SD-ZB2512」
スチームオーブンレンジ「NN-CS894」
スロージューサー「MJ-L500」

 冷蔵庫の展示では、野菜の鮮度を保つVitamin Safe機能などを紹介し、パナソニックならではの付加価値を訴求してみせた。

 さらに、ビルトイン機器の展示にも力を注いでおり、今年6月からドイツで販売を開始したIHクッキングヒーター、スチームオーブンレンジ、食器洗い乾燥機、レンジフード、冷蔵庫などのビルトインキッチン機器を展示。この分野への本格参入をアピールしてみせた。

冷蔵庫では様々な付加価値機能を搭載している
野菜の鮮度を保つVitamin Safe機能などを紹介
保鮮に強みを発揮することを訴求
ビルトインタイプのIHクッキングヒーター。独自の光火力センサーで、調理に最適な温度制御を可能とした
キャビネットに組み込んだ冷蔵庫など

50周年を迎えるTechnicsブランドの新製品

 最後はTechnics(テクニクス)。昨年のIFAで復活を発表したパナソニックのオーディオブランド、Technicsは、今年でブランド誕生50周年を迎える。これまでのブランドの歩みを映像で紹介するほか、新たに発表したグランドクラスやプレミアムクラス オールインワンHi-Fiシステム「OTTAVA SC-C500」を展示。

 新開発のダイレクトドライブモーター搭載の、ダイレクトドライブ方式アナログターンテーブルの開発試作機を参考展示した。試聴ルームも設置し、現行のリファレンスクラス R1シリーズ、プレミアムクラス C700シリーズと、新製品のグランドクラス G30シリーズのサウンドデモを実施している。

参考展示されたダイレクトドライブ方式アナログターンテーブル
プレミアムクラス オールインワンHi-Fiシステム「OTTAVA SC-C500」
グランドクラスのネットワークオーディオアンプ「SU-G30」とミュージックサーバー「ST-G30」。欧州で2016年春発売予定
プレミアムステレオヘッドホン「EAH-T700」も展示。欧州で2015年内に発売する

大河原 克行