ニュース

上海の家電展示会で日本メーカーの活躍と中国メーカーの躍進を見てきた!

 3月9日〜12日の日程で開催されている「中国家電博覧会(AWE)」を取材してきた。AWEは、中国の経済やファッション、トレンドの中心である上海で開かれる、地域最大級の生活家電が中心の博覧会。ハイアールや美的(Midea)などの中国メーカーを中心に、日本や韓国、欧米のメーカーも出展していた。

製品“単体”ではなく、憧れの“生活空間”を展示したパナソニック

 そんななか、パナソニックは展示会のオープンと同時に、カンファレンスを主催。同社の中国における事業戦略をメディア向けに説明した。主な内容は、中国において同社は、世帯年収21万元(日本円で約365万円)以上をターゲットにした、プレミアム商品を中心に展開していくことを説明。プレミアム商品により、「健康」で「余裕」と「品」のある暮らしを実現するとした。

スピーカー内蔵のカーペットなどが配置されたリビングルーム
ベッドルーム
ダイニング

 そしてプレミアム製品を展示するとともに、「憧れのライフスタイル」を住空間の中で展示したのが、AWEでのパナソニックブース。これまでも欧州や日本で展示された、リビングやダイニングキッチンのほか、ベットルームやサニタリールームなどを再現。また、キッチンブースでは、フードスペシャリストによる同社製品を使った実演が行なわれ、スムージーや生チョコレート、混ぜご飯などが楽しめるスペースとなっていた。

コーヒーメーカーやスムージーを使った実演デモ
コーヒーやスムージー、ホームベーカリーで作った生チョコレートが試食できる
炊飯器やレンジを使った実演デモ
レンジを使って作ったブルスケッタ
炊飯器で炊いた混ぜご飯

 多くの製品が日本でも発売済みのものである一方で、中国において企画から製造、販売までされている製品も少なくなかった。

 まずスチームオーブンレンジに関しては、「NU-JK100」が目立っていた。20秒で蒸気を発生させる調理開始の速さと、蒸したり焼いたり揚げたりできることを謳っていた。

スチームオーブンレンジ「NU-JK100」。20秒で蒸気を発生させ、230℃の熱風で料理を包むという。また1台で蒸す、焼く、揚げる料理が可能なのが特徴
日本メーカーの炊飯器は、中国では人気カテゴリーの一つ。日本製と中国オリジナル商品が混在していた
ロボット掃除機は、日本国内よりもラインナップが豊富
ルーロよりも、やわらかい三角形のロボット掃除機
珈琲机(コーヒーメーカー)「NC-ZA1」。タッチ操作でアメリカン・コーヒーやエスプレッソなどが簡単に自動で淹れられる
ミラー仕上げの大型冷蔵庫は、中国市場で人気だという
パナソニックの空気“消毒机(器)”

 展示会場では、昨今、SARSやPM2.5などが話題になったこともあり、空気清浄についての関心が、非常に高いことが伺えた。それは、展示会場全体でのラインナップの多さにも現れていた。

 そして、この空気清浄機に関しては、日本の「空気清浄機」表記を一歩進めた印象の「空気“消毒机(器)”」という表記も多数見受けられた。パナソニック アプライアンス中国の広報担当者の話によれば、消毒机とは検証機関に認められた製品でのみ謳って良いという。また、認可を受けるには、製品の空気清浄機能はもちろん、工場の製造環境なども審査対象とされる。

空気“消毒机”に認定されていることを示すステッカー
空気消毒机の内部構造
主な仕様を表記

 キッチンでのビルトイン製品も、多くのスペースを割いてアピールされていた。担当者によれば、中国では日本円で年収400万円前後の世帯でもビルトイン製品を検討するという。

片手で楽々と引き出せる棚。高い場所までスペースを有効活用できる
野菜などを洗浄する機器
油を使う調理が多い中国では、換気扇の性能がアピールされていた

あくまでも製品をそのまま中国で販売する日立

日本で作られていることがアピールされた日立製作所のブース

 日本の家電メーカーの出展は、パナソニックと日立製作所に絞られていた。そして日立は、中国オリジナル製品も積極的に開発するパナソニックとは対照的だった。

 日立の担当者によれば、中国内で販売する製品は、原則として、日本国内でも高価格帯のモデルとして販売されているものを、そのまま持ってきているという。さらに、中国国内では量販店では販売せず、百貨店で買えるようにしているという。

 当然、ターゲットはプレミアム層に絞っている。担当者に聞くと、関税や奢侈税(消費税と似た税)により、同じ製品でも日本国内で購入するよりも2〜3割高い。それでも、日立および日本製への信頼感により、多くの消費者から支持されているという。

ミラー仕上げの扉は、日立が最初に投入したという
プラチナ触媒とスペースの真空化により、肉や魚の鮮度を長期間保つ「真空チルドルーム」。説明用ステッカーも日本語のまま
プラチナ触媒により、野菜の鮮度を保つなどの高機能性が、食の安全に対する関心が強い中国人にも受け入れられている
中国でもドラムの経が大きいモデルが人気になり始めているという
多くの製品で「日本製」であることが分かるステッカーが貼られていた
オーブンで作られたチキンが試食できる

デザインに力を入れ始めた中国メーカー

 「中国家電博覧会(AWE)」では、業務用機器の展示は見られず、そのほとんどがコンシューマー向けの生活家電に限定されていた(一部AV機器の展示もあったがスペースとしては少なかった)。にも関わらず、これだけのメーカーがあるのか! と驚くほど無数のメーカーが出展していた。

美的(Midea)のブース
ハイアールのブース

 中でも圧倒的に大きなブースを構えていたのが、ハイアールと美的(Midea)。この2メーカーについては、機能だけでなくデザインにも力を入れていることがひと目で分かった。

 まずはハイアール。日本でもアクアを展開する同グループは、「ハイアール」と「カサルテ」の2ブランドを大きくプロモーションしていた。

ハイアールの空気清浄機。加湿機能や香りを発生させる機能も追加できる
空気浄化器
お馴染みのR2-D2冷蔵庫も目立つ場所に展示されていた
ハイアールのプレミアムブランドである「Casarte(カサルテ)」。生活家電からキッチン家電まで展開する

 日本ではまだ製品を見ることがない「美的(Midea)」も、中国を代表する生活家電メーカー。展示された様々な製品は、いずれも清潔感のあるデザインだった。

美的グループの「比佛利(ビバリー)」ブランドの洗濯機。人体工学にもとづき、45度傾斜させることで、衣類の出し入れのしやすさを謳っていた
卓上サイズの空気消毒器「SPWQ100Y-A01」。本体サイズは280×204×304mmで、カラーは「象牙白」。効率良く空気中の菌や病原微生物を除去する、と表記されていた
電気圧力鍋「MY-SS5050XL」。カラーは「郁金色」
蒸し器だろうか?
炊飯器はラインナップも多く、来場者の多くが興味を持っていた

 ハイアールや美的以外にも、目に止まったデザインの家電をまとめておく。

Lavoの空気浄化器
inxniというブランドのロボット掃除機。レーザーでスキャニングしてマップを作りながら効率的に掃除していくという
LEXYの空気浄化器。PM2.5の量を数値で表示するほか、イオンを放出するモデル
ASDのIH圧力炊飯器。中国らしい豪華なカラーリング。厚い内釜を採用しているという
冷蔵庫の展示も多く、様々なデザインの製品が置かれていた
レシピを表示するディスプレイを搭載
配色が鮮やかなモデルや、ディズニーなどのキャラクター(おそらく本物)をプリントしたモデルも見られた

 さらに「中国って凄いな」と感じたのが、人の背丈を超える大きさの縦型エアコン。その大きさもさることながら、その多彩なデザインに驚いた。

他の生活家電やキッチン家電とは違い、とにかく目立つデザインが多かった縦型のエアコン

まさに百花繚乱の中国メーカーが次のトレンドを作り出せるか?

 中国国内では、ブランド力では外国メーカー、特に日本メーカーが強みを発揮しているように感じた。パナソニックや日立製作所が、自社が日本ブランドであることをアピールしているのもそのためだ。またハイアールのブースや家電量販店では、 “三洋”の2文字が、大きく表示された製品が多く見受けられた。

 同時に中国の生活家電メーカーの力強さも感じられた。「どこかで見たことあるような」既視感を感じさせるデザインや機能である製品も多いが、トライを恐れず多くのアイテムを製品化している様子が伺えた。

 そんな百花繚乱の中国メーカーのブースを見ていると、新たな発想の製品が中国メーカーから生み出される日も近いのでは、と感じさせられた。いや、もしかすると中国語を解さない筆者が見落としただけで、そうした優れた製品が今回の中国家電博覧会で、既に展示されていたのかもしれない。

(河原塚 英信)