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パナソニック、次亜塩素酸でインフルエンザウイルスを99%以上抑制する空間清浄技術

「次亜塩素酸を用いた空間清浄技術」の仕組み

 パナソニック エコシステムズは、除菌や脱臭に特化した「次亜塩素酸を用いた空間清浄技術」の説明会を開催した。

 次亜塩素酸による空間清浄技術は、インフルエンザウイルスやノロウイルスの抑制に効果があることが実証されている。検証は、パナソニック エコシステムズと北里環境科学センターにより、約25立方m(約6畳)の空間で、検証装置から次亜塩素酸を発生させて行なわれた。

 検証によると、部屋のドアノブなどに付着したA型インフルエンザウイルスを、60分で99%以上抑制、ネコカリシウイルス(ノロウイルス代替)を240分で99%以上の抑制効果を確認できたという。

 また、部屋に浮遊したA型インフルエンザウイルスは5分で99%以上、ネコカリシウイルスは10分で99%以上、抑制効果を確認できたとしている。これにより、次亜塩素酸は部屋に付着したウイルスだけでなく、空気中に浮遊しているウイルスにも効果があると実証された。

ドアノブに付着したA型インフルエンザウイルスは60分で99%以上抑制
部屋に浮遊したネコカリシウイルスは10分で99%以上抑制

 これまで空気清浄に用いられていたフィルターやイオン技術に加えて、今後同社では次亜塩素酸による空間清浄技術にも注力していくという。

 同技術は、食塩水を電気分解して得られる「次亜塩素酸水」を、回転式の除菌フィルターに通し揮発させ、ファンで空気中に飛散させることで、部屋中の菌やウイルスを抑制する。次亜塩素酸は、インフルエンザウイルスやノロウイルスの、タンパク質や脂質などを破壊し、感染力を喪失させられるという。

インフルエンザウイルスやノロウイルスの抑制に次亜塩素酸が有効

毎年発生するインフルエンザの感染対策に

パナソニック エコシステムズ IAQビジネスユニット チームリーダー 木下 剛氏

 同社は、IAQ(Indoor AIR Quality)と呼ばれる室内空気質の関連事業に取り組んでおり、扇風機や空気清浄機、空間清浄機などを展開している。

 パナソニック エコシステムズ IAQビジネスユニット チームリーダー 木下 剛氏は、空間清浄技術を用いてウイルスを抑制する必要性について、次のように語った。

 「空気は人が1日にもっとも多く体に取り入れる物質で、その中には健康に影響を与える因子も含まれています。インフルエンザやノロウイルスは毎年感染が発生しており、除菌機器は今後ますますニーズが高まるでしょう。特に、人が多く集まる場所は感染予防対策がいっそう求められており、病院や介護施設、幼稚園など除菌が必要な空間は500万室以上あると推定します。パナソニックでは、こうした場所に向けた空間清浄機器の開発を進めていきます」

介護施設や幼稚園など、除菌が必要な空間は500万室以上あるという

 会場では、ミニチュアのデモ機を使って、脱臭機能の検証も行なわれた。食べ物のニオイに含まれる酢酸をコットンに染み込ませ、2つのボックスに投入。ニオイを充満させた後、一方ではデモ機を作動。3分後、何もしていないボックスはまだ酢酸のニオイが充満していたのに対し、デモ機を作動させた方は酢酸のニオイが消えていた。

 パナソニック エコシステムズでは今後も、次亜塩素酸の技術を活用して、ウイルスの感染経路を遮断する一歩進んだ感染対策を通じて、社会貢献を目指すという。

脱臭機能の検証。酢酸をコットンに染み込ませ、2つのボックスに投入する
次亜塩素酸を発生させるデモ機
3分後、デモ機を入れたボックスは酢酸のニオイが消えていた

 なお上記で紹介した、次亜塩素酸による空間清浄技術と同様の仕組みが搭載された製品として、同社では空間清浄機「ジアイーノ」を展開している。介護施設や幼稚園などでの使用を想定しており、適用畳数約24畳の「コンパクトタイプ F-JML30-W」と、約40畳の「標準タイプ F-JDL50-W」の2機種をラインナップ。希望小売価格は順に、26万3,000円、35万7,000円(税抜)。

空間清浄機「ジアイーノ」
食塩水を使うため、専用の塩タブレットを用いる

西村 夢音